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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

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換気

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「今日は換気の日です」

「いい(11)空(9)気だからだってね。季節が季節だし、ストーブ長時間使ったりしたときは換気しないと」

「そんなの寒くて無理です。一酸化炭素中毒になるからって、どうして暖めた空気をわざわざ外に逃がすんですか。本末転倒もいいところです」

「冬場はどうしても空気がこもるから。一酸化炭素に限らず湿気とか匂いとかもさ。中毒だけじゃなくて、シックハウス症候群とかになったりもするんだよ」

「実家にこないだ帰ったばかりなので大丈夫です」

「ホームシックじゃない」

「キッチンの換気扇回しとけば問題ないでしょう。狭い部屋ですし」

「やらないよりはマシだろうけど、たぶんそこまで排気能力は高くないぞ」

「そんなに匂いだの空気だのが気になるならガスマスクでも付けてればいいでしょう!?」

「逆ギレするなよ」

「あ、でも確かにガスボンベ背負って生きてればどんな場所でも清浄な空気が吸えますね」

「納得するなよ」

「それに部屋が汚いままならキノコとか収穫できたりして。自給自足ですよ」

「そんなもん食うな。部屋ダメにしたら大家さんに怒られるぞ」

「見たこともないキレイな植物とか生えてきたりして」

「キレイとか呑気なこと行ってる場合じゃないからそれ」

「いっそマスクを着けないと五分で肺が腐ってしまうくらいに」

「もう換気でどうこうできるレベルじゃなくなってきた」

「何事も慣れです。その道のプロになればへっちゃらですよ」

「姫姉さまとでも呼べばいいのか。そうなったら僕、二度と君の部屋に入らないからね?」

「空気が悪くなったなら、その中でも息ができるように工夫すればいいんですよ。雑菌や毒素との共生の道を選ぶんです。粋でしょう? 息だけに」

「やかましい」

「粋な、つまりシックな生活をしているわけです。これがほんとのシックハウスって」

「やかましい」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
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