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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

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キャッチー①

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「アイス、美味しいですね」

「うん、もうだいぶ季節はずれだけどね。残暑も過ぎたし」

「そのミスマッチ感がまたオツなんです。ソーダ味、一口ください」

「コーンポタージュ味なんてやめとけとあれほど」

「別においしいですよ、コンポタ味。ミスマッチかと思いきや存外美味です」

「僕は好きになれないんだよな……って、一口が多いよ!」

「かわりに私のをどうぞ」

「好きになれないって言ったよねさっき」

「好きな女の子と間接キスできると考えればお釣りがくるでしょう?」

「自意識過剰な女の子も好きになれない」

「と言いながら食べる。ツンデレですか」

「やっぱりビミョーな味だね。よくこんなもの作ろうと思ったもんだよ」

「いろいろ出てますよね。奇をてらったような変な味の商品。次はカブトムシ味が出る気がします」

「なんか想像できるけど比べようがないし、何より不味そう」

「キスの味とかはアリじゃないですか?」

「味なんてないだろ。そこまでいったら詐欺だよ。売れそうだけどさ」

「魚の方のキスです」

「生臭っ!」

「こういうのはジョークがきいてればいいんですよ。一度は食べてみたくなります」

「とりあえず珍しいもの好きなやつがターゲットなんだろうね、君みたいな」

「人は奇妙な取り合わせや限定という言葉に弱いのです。もの珍しさや今だけ感を付加価値にして束の間の人気を獲得。ずる賢い戦略ですね」

「企業も飽きられまいと必死なんだよ」

「私も考えました。冬季限定、除雪機付きケータイ!」

「メインが除雪機になるよね。ケータイ付き除雪機だよね。たぶん携帯できないけど」

「那覇限定札幌ラーメン!」

「売れるかもしれないけど本場から苦情こないかな?」

「八気筒エンジン搭載電気自動車!」

「何が目的なんだその車。あのさ、やっぱり食べ物みたいな消費物だからみんな買うんだよ。車とかケータイとかを珍しいからって理由で買う人は少ないんじゃない?」

「『おれの5人の妹が変態でバカでヤンデレでエロくて鬼畜』」

「……何が言いたいの?」

「こういう題名の小説書いたらウケそうですよね」

「消費物って言った後に小説出してくるあたり凄まじい嫌味を感じるよ。キャッチーではあるけど、そんな単純なものかな?」

「というわけで今日明日限定で、この作品は『彼と彼女の千文字会話』から『夕暮れの土手でツンデレな彼が私にズコバコ突っ込んでくるのらめぇ!』に変更です」

「タイトル詐欺だろ!」

「ひゃあんらめぇ!」

「…………」

「これで嘘は言ってないですよね」

「無理矢理すぎる」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
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