挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

26/1813

暖房

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「寒くなってきたせいで、朝、布団からでるのが億劫です」

「分かる分かる。早く起きても二度寝しちゃうよね」

「昨夜とうとう毛布を出したんですが、失敗でした。毛布の吸引力は半端ないです」

「より出にくくなっちゃったか」

「かと言ってストーブをつけるほど寒くもない。節約のためならまだ我慢できる微妙な気温」

「もうストーブ出しちゃえば?」

「石油代がバカにならないんですよねぇ。ガスストーブよりかは安いんですけど」

「ケチケチしてるとまた風邪ひくよ。薬代とか診察代がかかるよりマシじゃないかな?」

「それはまぁ。でも何より腹立たしいのが……暖かい空気って上にいくでしょう? つまり、私のストーブが出した熱が上の階を意図せず暖めていることになるんです!」

「ケチ過ぎる。それくらい別にいいだろ」

「私の部屋の熱を勝手に盗んでるようなものですよ? 受熱料を払っていただきたい」

「国営放送じゃないんだから……。窓から逃げる熱のほうが大きいよ絶対」

「窓には発泡スチロールを貼っておくので問題ありません」

「怖っ。外から見たら何事かと思うだろ」

「こうなったら壁も床も天井も全て発泡スチロールの板で覆ってしまいましょうか。熱の逃げ道を完全シャットアウトです」

「一酸化炭素の逃げ道も完全シャットアウトするから死ぬぞ。絶対やっちゃダメだからね」

「じゃあもっといい方法を教えてください。暖まってお金がかからなくて、かつ他人に得させない方法を」

「最後のは許容しろよ。えっと、重ね着するとか」

「顔が寒いですし動きづらいです。お風呂入るときとか寒そう」

「じゃあ運動すれば?」

「条件はクリアしてますけど、めんどくさいし疲れます」

「軽くだよ軽く。スクワット三十回もすれば暖まるでしょ? それも嫌ならもう湯タンポでも抱えて生きろ」

「あれはわりとすぐ冷めちゃうじゃないですか。あ、そうです! あなたが私を抱えて生きれば! 暖かいしお金かからないしいろいろお得です」

「重いよ、いろんな意味で」

「これまでの話を総合すると、抱き合って運動すればいいんですね」

「素直に厚着しとけ」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
勝手にランキング参加中↑↑↓↓←→←→BA
小説家になろう 勝手にランキング

cont_access.php?citi_cont_id=361022146&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ