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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

21/1866

事後

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「いやー楽しかったですね」

「ちょっと待ってなにこのタイトル。あれだけ計画立てといてデートはカットかよとか突っ込みたいことは他にもあるけどちょっと待って」

「いやー激しかったですね」

「何がだよ! 普通に動物園と博物館行っただけだろ!」

「その後ホテルに」

「行ってないよ! いい加減下ネタばっかだとネタ切れだと思われるからやめろ」

「実際ネタ切れじゃないんですか?」

「あるよ! 今日は動物園の話ができるだろ」

「ああ、ペンギンとかトラとかカンガルーとか、いましたね」

「そりゃいるでしょ、動物園なんだから。なんで興味なさ気なんだ」

「カンガルーの怠け方には親近感を抱きました」

「まああんまり活発に動いてくれなかったよね。彼らにサービス精神まで要求するのは酷だけども」

「動く物と書いて動物のくせに」

「そう言うと人間のエゴが際立つからやめて」

「人間だって動物なんですから問題ありません。その点ペンギンはわりとよく動いてましたね」

「散歩してるのは可愛かったね」

「大海原を泳ぐために空というフィールドを見限った結果があれです。空はおろか今では狭い水槽でしか泳げず、地に這いつくばって生きるしかない」

「さっきから感想が斜め上過ぎるんだけど。なにか嫌なことでもあったの?」

「進路というのは慎重に決めなければなりませんね」

「ペンギンからそんな教訓を得るのはたぶん君くらいだ」

「小動物系は素直に可愛かったですね。やっぱり手懐けるなら小動物か小心者です」

「なぜそこで小心者が出てくる。そしてなぜ僕を見て言う」

「あと思ったよりうんこ臭くなかったです」

「どんだけ斜に構えてるの? 中学生? これじゃなんのために行ったかわからないよ」

「あなたと行くから価値があるんです。動物たちなんて二人の感情を共有するためのダシに過ぎません」

「共有できてないんだけど」

「博物館はひたすら地味でしたね」

「確かにそうだけど、いろいろ勉強になったよ」

「誰ですかこのプラン考えたの」

「キサマだ」

「それは冗談として、楽しかったという言葉は嘘じゃないですよ。たまには出かけるのもいいものです」

「うん、僕も久しぶりに誰かと出かけられて、充実した一日だったよ」

「……さ、二人の仲が深まったところで、ホテルへ」

「行かない」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
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