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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

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新規開店

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「家の近くに新しいお店ができるそうです」

「へぇ、何の店なの?」

「薬局です」

「うわぁ微妙。まあ便利っちゃ便利だけど」

「開店したら一緒に行ってみましょうよ」

「いや、開店セールとかするわけでもあるまいし、男女二人で行くとこじゃないよね」

「この睡眠薬よく眠れそう、みたいな」

「怖いよ。まだ寝不足だったの? 大丈夫?」

「今日はこの精力剤試してみようか、みたいな」

「突然の下ネタ。普段からそういうことしてるような言い方やめてくんない?」

「このコンドームあなたにぴったりじゃない? みたいな」

「服屋みたいなノリで。君は僕の何を知ってるんだよ」

「まぁ調剤薬局なのでそんなのたぶん売ってませんけど」

「何のための会話だったんだ」

「身近に新しいお店ができるとしたら、どんなお店がいいですか?」

「本屋ができたら嬉しいね。毎日通うかも」

「エロ本立ち読みし放題ですもんね」

「さっきから発想が幼いんだけど。何、中学生の霊か何かに憑かれてるの?」

「他には?」

「……ファミレスとかがいいかな。夕飯作るの面倒くさいときとか、楽だし」

「そういうときは私の家に来ていいんですよ?」

「いや、それは悪いよさすがに」

「お茶づけくらいは出してあげます」

「帰ってほしいんじゃないか。むしろ来てほしくないんじゃないか」

「いえ、お茶づけくらいしか作れないので」

「レパートリー少ないってレベルじゃないなそれ。普段何食べて生きてるんだ」

「カップ麺とかレトルト食品とか冷凍食品とか缶詰めとか、手間のかからないもので済ませます」

「不健康過ぎるっていうか寝不足の原因それだろ。料理覚えようよ」

「女の子は料理ができなくちゃいけないみたいな考えは古いですよ。あ、そうです! あなたがうちに来て料理すれば――」

「アイデアが閃いた風を装って僕を使おうとするな。教えろっていうなら別にいいけど」

「はぁ、別にあなたが一緒に暮らしてくれれば何の問題もないと思うんですが」

「こんなときだけデレるな」

「あなたが毎日料理してくれたら抱かれてもいいです」

「なにその最低な告白」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
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