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彼と彼女の千文字会話 作者:江見村元素

土手編

12/1812

小さい秋見つけた

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。
 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。



「あ、焼き芋屋さん」

「そういう季節だったね、そういえば」

「小さい秋見つけたってやつですね。どんなときに秋がきたって感じますか?」

「玄関の戸が開きやすくなったときかな。あと秋刀魚がスーパーで推され始めると秋になった気がするよ」

「私は便座が冷たくなると秋の到来を感じます」

「いきなり何を言い出すのか」

「びっくりしますよね、温かいと思って座ったら逆に冷たかったとき。ひゃんっ、てなります」

「なんでちょっと可愛い感じにアピールしたの? 便座に腰掛けた時の話だよね?」

「あと意図せずウォシュレットを発動させてしまったときとか、驚きますよね」

「うちウォシュレットとか高級なもの付いてないから、その恐れはないな」

「子供のとき間違ってやってしまって泣きました。妖怪垢舐めが出たかと」

「垢舐めって便所に出没するような妖怪だっけ?」

「妖怪糞舐めが出たかと」

「勝手に最低な亜種を生み出すな」

「あのときは貞操の危機すら覚えました」

「そんな危機を覚える子供ってなんかヤだな」

「今ではウォシュレットもやみつきになりましたけどね」

「それもなんかヤだよ。というか秋の話をしようとしてたんじゃなかったの?」

「そうでした。それで便座のヒーターを使うのは電気代が勿体ないと思って、便座カバーを買ったんです」

「うん、もう少し戻ってほしかったかな。どんだけ便所の話がしたいの?」

「驚きましたね。カバー一枚であんなに違うとは。ただO型とU型があってですね、間違えて買ってしまったU型をあなたにあげます」

「このために秋の話をしたの? ありがたいけど釈然としない。それにうちもたぶんO型なんだけど」

「じゃあ最近寒くなってきましたから、マフラーとして使ってください」

「使わないよ! 勝手に首に巻き付けるなよ! 構造的にも世間的にもあり得ないよ!」

「仕方ないですね。じゃあこの便座カバーを一度ほどしてマフラーに編み直します」

「バレンタインデーのチョコレートか」



 一人が腰を上げると、もう一人も立ち上がります。
 そうしてどちらからともなく手を繋ぎ、今日に背を向けて、去っていきました。
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