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大菩薩未来研究所
三人は、ロボットを横目で見ながら、家の中に入って行った。ロボットは、新型の補佐ロボットだった。
叔母さんは、電話をしていた。ロボットが、三人に声を掛けた。
「どうぞ、中に入ってください。」
三人は、大きな窓のあるリビングルームに通された。
ロボットは、ぶっきらぼうに立っていた。
「どうぞ、お座りください。」
テーブルの上には、暖かい緑茶が置いてあった。
「どうぞ、お召し上がりください。」
ロボットは、ペコリと頭を下げ立ち去ろうとした。涌井いづみが呼び止めた。
「あっ、ちょっと待って。」
「わたしの名前は、涌井いづみ。あなたの名前は?」
ロボットは振り向き、深く頭を下げた。
「あっしの名は、…高野山太郎と言うものでござんす。」
「高野山太郎…、いい名前ね。高野山と関係あるのかな?」
「いいえ、別に。」
愛美めぐみが挨拶をした。
「わたしは、白山愛美です。よろしくね。」
龍次が挨拶した。
「保土ヶ谷龍次ほどがやりゅうじです。よろしく!」
ロボットは驚いた。
「保土ヶ谷龍次…」
驚くロボット見て、涌井いづみが尋ねた。
「どうしたの?」
「いいえ、別に。」
ロボットは、何事もなかったかのように、そそくさと奥に引っ込んだ。
「あのロボット、変ねえ。まるで知ってる人を見るように、じっと龍次さんを見てたわ。」
龍次は、「この御茶、おいしいなあ。」と言いながら、御茶を飲んでいた。
「龍次さん、お知り合い?」
「お知り合いって、あのロボットと?」
「ええ。」
「ロボットに知り合いはいませんよ。」
「そうでしょうねえ。」
叔母さんは、まだ玄関で電話をしていた。
壁に大菩薩峠から見える富士山の大きな写真が掛けてあった。
「いいなあ、この富士山。」
「写真は、叔父の趣味なんです。」
「構図がいいなあ…」
「龍次さんも、写真やるんですか?」
「あちこちに行って、なんでもかんでも撮ってます。でも、なかなかいいのが撮れないんですよ。センスの問題かな?」
「こんど見せてください。」
「いいですよ。インターネットでメールで送りますよ。」
「お願いします。」
愛美は、写真を見ていた。
「大菩薩峠って、笹が多いのね。」
「大菩薩峠は、ほとんど笹に覆われてるんだよ。」
涌井いづみは、龍次の顔を見た。
「詳しいんですねえ。」
「以前に、何度も来たことがあるんです。」
「そうなんですか?。」
「内職のハイテク案山子かかしを届けにね。」
「それ、売れているんですか?」
「大菩薩では、一度に十本も売れました。」
「それは良かったですね。」
「帰りに自然薯じねんじょを採って行きました。」
自然薯じねんじょ、好きなんですか?」
「仕事場では、自然薯の龍次と呼ばれています。」
愛美が質問した。
自然薯じねんじょって、何あに?」
「山芋のことだよ。天然のね。」
「山芋とどこが違うの?」
「味が違うんだよ。粘りもあるし。」
「そうなんだ。」
「今度、食べさせてあげるよ。」
「そんなに美味しいの?」
「とっても旨いよ。」
「食べた後、口の周りが痒くなるでしょう。」
「そうかなあ?」
「確か、なったような気がしたんだけど…」
愛美は、あまり興味がないみたいだった。
涌井いづみが質問した。
「どの辺りで?」
「大菩薩未来研究所の下の方です。」
「去年の秋に新日本赤軍のロケット砲で炎上した、あの大菩薩未来研究所ですか?」
「はい。その大菩薩未来研究所です。僕は、その日に目撃したんですよ。爆発と炎上を、この目でね。」
愛美は、びっくりした。
「え〜〜〜、ほんとう!?」
「ほんとうだよ。凄かったよ。」
涌井いずみは、興味深く不気味に微笑んでいた。



この小説は シュールミント の続きです。

最新作は、 人間村 です。

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