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ローカル・エリア・ネットワーク
叔母さんは、高野山太郎のことを小さな声で話し始めた。
「あのロボット、ときどき誰かにメールしてるんですよ。」
美人漫画家の涌井いづみは、興味有りげに耳を傾けていた。
「パソコンで?」
「そう。うちのパソコン使ってもいいですかって言うから、使わせてあげたの。」
「ふ~~ん、誰にメールしてるのかしら?」
龍次が、その質問に楽しそうに答えた。
「彼女でもいるんじゃないの?」
愛美めぐみが食べるのを止めて、龍次を見た。
「ば~~~か!」
「なんだって!」
「ロボットに彼女なんかいるわけないだろう。」
「そんなこと分からないよ。」
「おめでたいよ。」
「なんだって!」
叔母さんが止めた。
「あんたたち、親子みたいだねえ。」
龍次は、愛美めぐみを睨んでいた。
「それにしても、ロボットがメールするなんてねえ?」
「ブログみたいなのも書いてましたよ。」
「え~~~!?」
「不思議なロボットなんですよお。」
「そりゃあ、最新型だなあ。」
涌井いづみも、大きく頷いていた。
「わたしも、初めてです。そういうのって。」
「最近は、文章もろくに書けない若者が多いのにねえ。」
涌井いづみは驚いた。
「えっ、そうなんですか?」
「ええ、テレビの特別番組でやってました。うちの会社でもそうなんですよ。レポートが書けない社員が多くて困っているんですよ。で、会社で再教育してるんです。」
「作文の再教育ですか?」
「そう、作文の再教育をね。まるで学校ですよ。」
「どうしてなんでしょうねえ?」
「作文とか、日記とか書かなかったんじゃないんでしょうかねえ。」
「そうかも知れませんねえ。」
「メールは、日常会話と同じですからねえ。文章力は養われない。」
「そうですねえ。」
「断片的には知識はあるんですよ。ただ、それを関連づけられないんでしょうねえ。」
「なあるほど。」
「クイズみたいに、断片的には知ってるんですよ。」
「なあるほどね。」
「関連づけが、まったくできないんですよ。」
「ばらばらに覚えても、現実社会では役に立たないですね。」
「そうなんですよお。」
愛美めぐみが、龍次の意見に大きく頷いていた、
「その通りだわ。最近の人って、断片的な知識ばっかりで、ぜんぜん分かってないのよ。」
龍次は、また睨んだ。でも少し微笑んでいた。
「へ~~~え、僕と同じ意見なの?」
「まあね。」
「嬉しいなあ。」
「ランって、あるでしょう?」
「ラン?花の蘭?」
「じゃなくって、パソコンのラン。」
「あるよ。」
「あれって、言葉は誰でも知ってても、どういうものか分かってない人が多いよね。」
「そうかなあ?」
「わたしの友人には、そういう人が多いのよ。」
「そうなの?」
「ランって、ローカル・エリア・ネットワークの略でしょう?」
「そうだよ。」
「それすら分かってないで、ラン、ランって使っているのよ。」
「そうなんだ。」
それは、インテリの龍次には、とても不思議なことだった。
「だったら、日本もインドみたいに、小学校からコンピュータのプログラムを教えるべきだなあ。」
涌井いづみも同感だった。
「そうですよね。これからは、パソコンやタイプの能力が最も大切ですよね。英語も。」
「日本は、いつもやることが遅いんだよ。こんなことだらか、韓国や中国やインドに負けちゃうんだよなあ~。大昔の、今では中国人も使わない中国輸入の難しい漢字ばっかり知っててもなあ、昔の中国人にでもなりたいのかなあ?よく分からん。それよりも、ちゃんとタイプが打てないとねえ。中国人や韓国人のほうが、英語はうまいよ。このままじゃあ、日本は取り残されちゃうね。」
みんなは、深く何度も頷いていた。






この小説は シュールミント の続きです。

最新作は、 人間村 です。

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