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トイレに行きたい男
作:灯宮義流


 男は急いでいた。今まで何人にぶつかってきたかわからない。
その度に因縁をつけられそうになっても、「急いでいるから」と皆避わしてきた。
口々に周りの人間は好き勝手彼に対する憶測をつぶやいているが、彼は気にしない。
彼に、そんな暇はないのだ。彼は今トイレにいかなくてはいけなかったのだ。

 そんな彼の前に、銀行強盗が現れた。
彼は、銀行の扉の前で、人質を抱えて警察を脅していた。
警察の必死の説得も空しく、強盗犯はただただ逃走手段を出せと訴えるばかりだ。
彼が、もっとも理想とするルートの目の前に、その強盗はいた。

 仕方ない、と彼は歩く早さを遅くした。
そして、ズカズカズカと強盗の前に歩いていくと、拍子抜けした強盗からナイフを奪いとった。
最後には、何か脅し文句を言おうとしていただろう強盗の胸を一刺しにしてから、また何事もなく走り始めた。

 警官達はただただ唖然とし、人質はそのまま意識を失った。


 全く、余計なタイムロスをしてしまった。
自分は急がないといけないんだ、さっさとしないとという気持ちがあった。
彼は走るのがそんなに得意とは言えなかったが、体力はあった。
だから彼は、こうして体力をうまく調節しながら、走り続けていられたのだ。
しかし、そんな彼にもつかれが見え始めた。どんな人間でも走り続けるのは難しい。

 でも、世間はそんな彼には合わせてくれない。今度は目の前でマンション建設に抗議する団体が、道を完全に封鎖していた。
確かにこの場所に作られたら、下にいる住人達は大迷惑だ。見渡す限り、あまり二階建てなどの高層な建物がない。
これでは住民は不便するだろう。特に冬などは貴重な日向が奪われて、死活問題だ。
面倒なものに巻き込まれた、と彼はまたため息をついた。
そして、おもむろにダイナマイトを取り出すと、導火線に火をつけてポイとマンションに投げいれた。

 とてつもない轟音とともに、人の悲鳴と骨格の出来始めていた建物が崩れる音が聞こえた。ついでに何かが飛び散る音も聞こえた。
目の前でそれを見てしまった抗議団体の数人は気絶し、また数人は先ほど食べたものを外に戻していた。
その後に残ったのは、瓦礫とうめき声だけだった。



 全く、今日はついてない。どうしてこう次から次へと邪魔が入るんだ。
急いでいるというのに、邪魔が入るというのは至極イライラするものである。
だが、彼の目の前に、またまた邪魔者が現れた。子どもだ。
子どもが泣いているのだ。お母さんお母さんと泣き喚いているのだ。
このまま見過ごしては、世間体としてとても不味いことになる。
ああもう面倒くさい、と彼はすぐに決断をくだした。

 彼は、泣いてる子どもを抱えると、わき腹を殴って気絶させた。
それからは何事もなかったように、彼はその場から走り去った。
通行人は、呆然とそれを眺めていた。



 やっと着いた……彼は目的地に到着した。公衆トイレだ。
いままでいろんな邪魔があったけど、もうここにくれば、邪魔するものはいない。
俺は早速目的を果たそうと、それに近づいていった。
これで、もう何もかもが安心だ。そう思っていた。さあ、用を済ませよう。

「そこまでです」

 男は、突然女に手をつかまれた。

「あなたが盗撮犯だったのね」

 彼はすぐに否定した。

「子ども抱えて女便所に行こうとする怪しい人間が、どう疑いを晴らそうっていうの?」

 しかし、すぐに黙ってしまった。

「それとあなた、罪状がいろいろと増えてるのよ。まず殺人罪」
「いや、だってあれは正当防衛でしょ」
「別にあなたに敵意を向けていたわけじゃないんだから、立派な通り魔。そして大量破壊兵器を使ったテロ行為」
「あれは、人々のために……」
「その人々が、あのあとどんなことになったか、思い出したくもないわ。そして、最後に……それ」
「……それ?」
「誘拐罪、しかも現行犯」
「…………」


 彼は、とても重い罪に問われました。


意味不明、リベンジとして第二段が書きたい。













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