ハヤテのごとく!〜ヒナギクの彼氏〜(9/23)PDFで表示縦書き表示RDF


ハヤテのごとく!〜ヒナギクの彼氏〜
作:Daisy Katsura



Stage 9


 刹那、ナギは現代へと引き摺り戻され、目を開けた。
(ハヤテが、私を誘拐だと?)
「今のはハヤテの過去だが、信じるか信じないかはお前次第だ」
「私、ハヤテに聞いてみる」
「聞いてどうすんだ?」
「さあな」
「ま、兎に角ホテルへ戻るか」
 ハヤタはそう言ってしゃがんだ。どうやら、背中に乗れ、と言う事らしいが、ナギには通じなかった。
「おい、乗れ!」
「え?」
「背中に乗れと言ったんだ!」
「な、何故私が貴様に負んぶされなければならないのだ?」
「もう良い!」
 そう言って取った行動は、お姫様抱っこだった。
「なっ!?」
 ナギは頬を赤くした。が、そんなのお構いなし。
 ハヤタはコンクリを蹴って飛んだ。
「此処から飛び降りるつもりか!?」
「飛び降りる?何言ってんだ?」
「だ、だって人間ジャンプしたら引力に従って落下するでは無いか!」
「下を見ろ」
 ナギは恐る恐る下を見た。
「なっ、浮いてる!手品か!?」
「違う。俺の108の秘密の技の一つだ。舞空術と言う」
「ドラゴン○ールか!?」
「原理が違う」
「どう言う原理だ!?」
「簡単に言うとタケコ○ターと同じ原理だ」
「お前何処の時代から来たんだ?」
「禁則事項です」
 ハヤタは微笑しながらハ○ヒに出る朝○奈 み○るの声で言った。
「キモイから止めろ」
 ハヤタはナギを放した。
「うわああああ!放すなバカー!」
 ハヤタは落下するナギを追い掛け、地面すれすれの所でキャッチしてホテルを目指した。
「貴様は私を殺す気か!?」
 と、泣き叫ぶナギ。
「口の訊き方に気を付けろ。今度はマジで殺すぞ?」
「・・・ごめん」
(クソッ、ムカつく奴だ。帰ったらタマの餌にでもしてやる)
「俺がお前の心を読める事、忘れてるみたいだな」
(そうだった!こいつ人の心が読めるんだった!迂闊に物事を考え無い方が良いかもな)
 ナギは、それ以降無心状態に成った。
「おい、何か考えるか喋るかしたらどうだ?」
「何故そうしなければ為らないのだ?」
「だってお前虐めんの楽しいんだもん」
(ヒナギクの奴、よくこんな奴好きに為ったな。て言うか、こいつヒナギクには何時もどんな事してるのだ?)
「そ、それは明かせない・・・」
 ハヤタは頬を赤く染めた。
「お前、ホッペタが赤いぞ?ひょっとして、裸で抱き合ったりとかしたのか?」
なっ!?──ハヤタは顔が真っ白に成り、石の様にガチガチに硬く成った。
「嘘!?マジで!?」
 ナギは驚いた。
「み、皆には内緒・・・だぞ」
 ハヤタは汗を掻いている。
「約束しよう。で、他には無いのか?」
「有る」
「どんなだ?」
「一緒に風呂入った」
「何!?私なんかハヤテとだって一度も入った事無いぞ!」
「他にもあるぞ」
「否、もう良い。そんな事より病院へ向かってくれ。ヒナギクが入院している」
「知ってるよ。お前の記憶を読んだ。今向かっている」
「バカ!勝手に読むな!」
「それは俺が決める事で有り、お前が決める事では無い」
(クソッ、腹が立つ!やっぱ此奴タマの餌にしてやる!)
「その時はお前も一緒だ」
「だっ、誰が貴様なんかと心中するか!死ぬのはお前一人で十分だ!なんなら三千院家の権力で貴様を社会的に抹殺してやろうか!?」
「悪い。それそっくりそのままお前に返すわ」
「フッ、貴様の様な貧民がそんな事出来る訳無いだろ」
「お前の言う権力は金か?金で全てが解決出来ると思ったら大間違いだぞ」
 と、そんな事を話している間に二人はヒナギクの病室の前に着いた。
カラカラ──ナギはハヤタの代わりに窓を開け、ハヤタと共に中に入った。
「一寸、二人とも一体何処から入って来たんですか!?」
 そう言ったのはハヤテだった。
「窓からだ」
「窓からだ、って此処5階ですよ!?どうやって登って来たんですか!?」
「空を飛んで来たんだ。な?」
 と、ハヤタに振るう。が、それには答えない。
「ヒナギク!」
 ハヤタは病室の隅で椅子に座らせられ、縛られているヒナギクに駆け寄った。
「気を付けて下さいよ、朝月くん」
「えっ?」
「ヒナギクさん、さっきマリアさんに水掛けられてバーサーカーに成ってるんです」
 ハヤタはハヤテの方を向いて答える。
「もう遅い。縄解いてしまった」
 刹那、ハヤタの横を風が吹いたかと思うと、ハヤテがヒナギクに因って壁に押しつけられ、首を絞められていた。
「な、何が起こった・・・?」
「よせヒナギク!」
 と、側に在った花瓶をヒナギクに投げ付けるナギ。だが、それに気付いたヒナギクが、鞄をキャッチして投げ返した。
シャキーン!──ハヤタはかまいたちを振るい、花瓶を木っ端微塵にした。
「来いヒナギク!俺が相手に為ってやる!」
 するとヒナギクはハヤテを放し、正宗を召喚してハヤタに襲い掛かった。
カンッ!──ハヤタは振り降ろされた木刀をかまいたちで止めた。
(くっ、重い!つうかこいつヒナギクか!?)
 その時、ハヤタはヒナギクの体から紫の禍々しいオーラが放たれているのを確認した。
「てめえ何者だ!?ヒナギクじゃねえ事は判っている!」
「フッフッフッ、我は禍殿鎌鼬まがとののかまいたち。妖刀・かまいたちに眠る本来の力だ」
「本来の・・・力?」
「貴様が誰であろうと容赦はしない!」
 両者は飛び退き、構えた。
「病室は狭すぎる。閉鎖空間を張らせて貰う」
「閉鎖空間?何だそれは?」
「先刻カマイタチが使った封絶みたいな物だ。悪いがこっから先は部外者の介入は禁止されている」
 ハヤタはそう言って、閉鎖空間を形成。周囲が暗闇に包まれ、無の世界に成る。その世界は外界から完全にシャットアウトされ、外界の物の破壊を防ぐ事が出来る。
「これで思いっ切りやれるぜっ、禍殿鎌鼬!」
「掛かって来い」
 ヒナギクはハヤタを挑発した。
「おっと、その前に」
 ハヤタは疑問符を浮かべた。
「木刀では不利だ」
 ヒナギクは木刀を捨て、全身を纏うオーラを使って鍔の無い巨大な刀を形成した。否、刀と言うより刀大の巨大包丁と言うべきか。
「なっ、でけえ!」
「これが我の本来の姿、禍殿鎌鼬だ」
「何だか知らねえが行くぜ!」
 ハヤタはヒナギクに駆け寄り、かまいたちを振り降ろした。だが、ヒナギクに軽く受け止められた。
「無駄だ。貴様の持っているただのかまいたちでは、我を倒す事は出来ない」
(なら一体でうすれば・・・!?)
「しまった!」
 ハヤタはヒナギクに飛ばされた。
ズサー──着地して滑るハヤタ。
「これならどうだ!?」
 かまいたちを斜めに振るい、真空の刃を放った。
「お返しだ」
 ヒナギクは禍殿鎌鼬で跳ね返した。
「うわあっ!」
 ハヤタの全身から血が噴き出し、地に血が飛び散る。
「貴様を殺す前に言っておこう」
「何だ・・・?」
「貴様を殺したら貴様の体を頂く」
「ヒナギクが解放されんなら勝ち負けなんかどうでも良いさ」
「フッ、残念だがこのヒナギクとやらは解放されない。一生、我のシモベとして働く事に為るからな」
「なら刺し違えてでもてめえをぶっ倒す!」
「出来ると良いがな」
 刹那、ヒナギクが一瞬で背後に移動した。
はええ!)
「死ねえ!」
 薙払うヒナギク。が、ハヤタは上に飛び、感覚を開けて着地した。
ちっ!──舌打ちするヒナギク。
(どうする・・・?)
 ハヤタはスカ○ターを装着し、相手の戦闘力を計測した。
(やはり本気で行っても俺が負ける確率の方が高い!)
 ハヤタはスカ○ターをしまった。
(くっ・・・一体どうすれば!?)
「来ないのか?ならこっちから行くぞ!」
 ヒナギクは再度、ハヤタの背後に高速移動した。
なっ!?──ハヤタが振り向こうとした刹那、首に空手チョップが飛んだ。
「くっ!」
 ハヤタは怯んだ。その隙にヒナギクが回し蹴りをする。
「うぉわあ!」
 ハヤタは宙に舞った。
「これでしまいだ!」
 ヒナギクは猛スピードで突っ込んだ。
シャキーン!──ハヤタの全身に無数の傷が出来、血しぶきが起こる。
(おっ、俺は・・・死ぬ・・・のか?)
 この時、ハヤタには地に着くまでの間がスローに感じられた。
(ナギ、マリアさん、ハヤテ。皆ごめん!俺、ヒナギクを、助けられなかった・・・)
『ハヤタくんっ、諦めないで!』
 と、頭に響く声。
(誰だ・・・?)
 ハヤタは声の主をイメージした。ピンクの長髪、細い眉、黄色の瞳、貧乳。そして白皇の女子制服。
(ヒナ・・・ギク・・・?)
「はっ!?ヒナギク!」
『お願いハヤタくん!立って!戦って!そして私を助けて!』
(ありがとうヒナギク!お陰で力が満ちて来た!本当にありがとう!)
 ハヤタは力を振り絞って立ち上がり、ヒナギクの方を向いた。
「ほお、まだ立つ力が残っていたか。だが次で終わりだぁ!」
 ヒナギクは鬼の様な形相でハヤタに接近した。
グサッ!──ハヤタのかまいたちがヒナギクを貫く。
「ばっ、バカな・・・!?我が、貴様如きに・・・!?」
がはっ!──ヒナギクは吐血した。
「フッ、バカだな貴様は」
「何!?」
「この体は誰の物だ?」
「なっ!?」
「そうだ。貴様がこの世で最も愛する者の体だ。貴様がこの体を刺したと言う事は、この体は死ぬと言う事だ。それに此処はダンジョンでは無い。ダンジョンなら無事に脱出出来れば傷は塞がるのにな」
グサグサグサッ!──心に傷を負うハヤタ。
「ヒナギクが、死ぬ・・・?」
「そうだ、こいつは死ぬ。貴様が殺したのだ」
(俺が・・・殺した・・・。俺がヒナギクを殺した・・・)
「切腹しろ。こいつ殺した事に悔いて切腹をしろ」
(切腹・・・?それしか道は無い、そう言う事か・・・。ヒナギク、俺も今、そっちへ行くよ)
 その時、再び頭にヒナギクの声が響いた。
『バカね。これくらいで私が死ぬ訳無いでしょ?それにこの空間はダンジョンと同じ。あいつを倒せば全て元に戻るのよ。だからさ、思いっ切り斬り刻んじゃいなさいよ』
(解ったよヒナギク。俺、お前の言葉信じてみる)
「禍殿鎌鼬とか言ったか?」
「何だ?」
「切腹はしねえ!」
「なっ、何を言っておる!?」
「テメエをギッタギタに斬り刻んでやるって言ってんだよ!」
 ハヤタはヒナギクから剣を引っこ抜き、
「覚悟しろよっ、この詐欺師野郎!」
 と、かまいたちで文字通り斬り刻んでやった。
「バカな!貴様、この女がどうなっても良いと言うのか!?」
「もう騙されねえ!この閉鎖空間はダンジョンと同じ原理だとヒナギクが先刻教えてくれた!だから俺はそれを信じる!」
「バカな!?意識の無い者がどうやって教えると言うのだ!?」
「あるさ、此処に」
 と、頭を指差すハヤタ。
「ヒナギクの意識は、ちゃんと此処に在る!」
「くっ、あのアマ図りやがったな!?」
「残念だったな、禍殿鎌鼬。それと戦利品にこいつは頂く」
 ハヤタはそう言って、ヒナギクが持っている大刀を奪取した。
「さあて、トドメと行くか!」
 ハヤタは手にしたかまいたちと禍殿鎌鼬を合体させ、一つにした。
「よっ、よせ!我が悪かった!謝るからよしてくれ!」
「聞く耳持たん!」
 ハヤタは大刀で、ヒナギクの体を縦に、真っ二つに切り裂いた。
「うわああああ!」
 ヒナギクの体は悲鳴を上げ、爆裂霧散した。
「これで良いんだよな?」
 ハヤタはそう発し、閉鎖空間を解除した。
(ヒナギクは!?)
 ハヤタは辺りを見回し、無傷のヒナギクを見付けると、安堵の溜め息を吐いた。
「おい、今何が起こったのだ?一瞬の事でよく解らなかったぞ」
(そうか、閉鎖空間と外では時間の流れが違うのか)
「実は俺にもよく解らねえ」
「何だよそれ?」
(無視)
 ハヤタはヒナギクを揺すった。
「ヒナギク、起きろ。起きろヒナギク!」
 すると、ヒナギクは寝言を言った。
「ありがとう、ハヤタくん・・・」
「ヒナギク・・・」
 ハヤタはヒナギクを持ち上げ、ベッドに寝かせた。
「起きたら、ちゃんと例を言う。それより」
 ハヤタはナギの方を向いた。
「ハヤテに聞く事があるんじゃないのか?」
「えっ、お嬢様が僕に話しですか?」
「ハヤテ・・・?」
「何ですか、お嬢様?」
「あのさ、お前、自販機の前で言った事、本当なのか?」
「はい?」
「だから、その、誘拐・・・とか、人質とか」
 刹那、ハヤテは真っ白に成り、石の様にガッチガチに硬く成った。
(クソッ、何でバレたんだ!?)
「ハヤタ、ハヤテの心を読め」
「クソッ、何でバレたんだ!?」
「ほお、やはり本当だったのか。貴様は今日限り首だ!」
「お嬢様!?そりゃ無いですよ!」
「ウルサイウルサイウルサイウルサイ!貴様の顔など二度と見たくも無いわ!解ったら私の前からとっとと消え失せろ!それから貴様を三千院家の権力で社会的に抹殺してくれる!」
「そんなぁ・・・」
 ハヤテはショックを受けた。
「ハヤタ、このゴミを処分しろ」
「何で俺が?」
「お前を鮫島とか言う奴から助けたのは誰だったかな?」
「借りた物は返せってか?」
「当たり前だ!解ったらさっさとしろ!」
「ヘイヘイ」
 ハヤタはハヤテを担ぎ上げた。
「一寸お嬢様!?僕を首にしたら一体誰がお嬢様の執事を!?」
「ハヤタに決まってるだろ」
「何で俺?」
「本気で僕を見捨てるのですかお嬢様!?」
「うるさい、黙れ。耳が腐る」
「ナギ?それは言い過ぎだぞ」
「良いんだこんなゴミ」
「お嬢様考え直して下さい!僕はまだお嬢様に借金を返済していません!」
「喋るなと言っただろ!?借金の事は気にするな。お前の両親が利用した業者から私が返した1億5千万を私が借りてお前をそいつらに売り付ける。これでお前が私に借金した事は帳消しだ。ま、精々その借金取りから頑張って逃げ回れ。それと、白皇は今日で退学だ」
「何!?そこまでするなら僕にだって考えがある!」
「ほお、言ってみろ」
「てめえを誘拐し、身代金として三千院家の財産を根刮ぎ頂いてやる!」
「ハヤタ、さっさと頼む」
「えっ、お嬢様!?一寸待って!」
「死ねクソが!」
 ハヤテはハヤタに因って何処かへ連れて行かれた。その後、ナギは業者から自分が渡した金を借り、ハヤテをその業者に売り、更に三千院家の権力でハヤテを社会的に葬った。つまり、バイトや職と言った活動が一切出来ないのだ。そして、ハヤタが新しくナギの執事に成った。




到頭ナギにも捨てられ、振り出しに戻ってしまったハヤテ。一体どうなるのだろうか?
尚、ハヤテはまた出ます。












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