Stage 4
「ヒナギク!」
ハヤタは目を覚ました。だが、ヒナギクはいない。在るのはヒナギクの正宗だけ。
「正宗、ヒナギク知らないか?」
ハヤタは正宗に問い掛けるが、正宗は答えない。
「って、木刀が喋る訳無いか」
(ヒナギク・否、かまいたちの奴、何処へ行ったんだ・・・?)
ハヤタは正宗を拾い、家を出た。すると、そこはいつもの風景では無く、ダンジョンになっていた。
(こ、此処は、かまいたちの巣!?)
「ピギャー!」
魔物が一体、背後から襲い掛かって来た。
「何!?」
ハヤタが振り向くと、魔物が顔面に張り付いた。
「ハヤタ、今回も御供するです」
説明しよう。この魔物はマムル(chunsoftさん、ごめんなさい)のマムと言い、ハヤタのシモベである。
「マム、何故此処にいる?」
そう言ってハヤタはマムを掴み挙げた。
「やめるでしっ、放すでし!」
ハヤタはマムを放した。
「所でハヤタはこんな所で何をしてるですか?」
「それは此方が聞きたい。俺は家を出たら此処にいたからな。それよりマム、ピンク色の長い髪の娘を見なかったか?」
「それって、木刀を持ってる人ですか?」
「そうだ」
「カマイタチ様ですね。ハヤタ、カマイタチ様に何の用ですか!?」
「カマイタチ様、ってお前まさか!?」
「そうよ、そのまさかよ!オイラはカマイタチ様の忠実なシモベ!カマイタチ様には指一本触れさせないでし!」
「ウザイ」
ハヤタは蹴っ飛ばした。マムは遥か彼方へ飛んで行った。
その頃、ダンジョンの最下層では、ヒナギクを乗っ取ったカマイタチがハヤタを待っていた。
「早く来いハヤタ!」
と、禍々しいオーラを放ちながら叫ぶヒナギク。
「うわあー!」
ガンッ!──ヒナギクの頭にマムが激突した。
「貴様、何故戻って来た?」
「ハヤタです。ハヤタがオイラを蹴っ飛ばしたんです」
「ふっ、やはり貴様では役に立たなかったか」
ヒナギクはそう言ってマムを思いっ切り踏み潰した。
マムは9999のダメージを受けた。
マムは力尽きた。
その頃、一つ上の階では、ハヤタがミノタウロスと素手で格闘していた。
「どうしても此処は通さねえって訳か」
「俺様を倒さぬ限り、カマイタチ様には指一本触れさせない」
「ならこいつのサビにしてくれるわ!」
そう言って正宗を装備するハヤタ。
「朝月真拳奥義、斬魔刀!」
と、ハヤタが正宗を斜めに振った刹那、ミノタウロスの体が真っ二つに成り、消滅した。
「またつまらぬモノを斬ってしまった」
ハヤタはそう言いながら正宗を鞘に収め、目の前の階段を降りた。
階段を降り切ると、そこは一部屋の広い空間に成っていた。そしてその中央に、禍々しいオーラを発したヒナギクが立っている。
「よく来たな、待っていたぞハヤタ」
「カマイタチか。ヒナギクを返して貰おうか?」
と、正宗を抜くハヤタ。
「断る」
ヒナギクは妖刀・かまいたちを抜いた。
「どうしてもと言うなら、この私を倒せ」
すると、かまいたちは木刀から真剣に変化した。
「真剣だと!?」
「これが私の本来の姿だ」
ヒナギクはそう言ってハヤタに襲い掛かった。
カッ!──ハヤタは正宗でガードをした。
「そんな脆い木刀で私に勝てるとでも思っているのか?」
ヒナギクは一旦引き、かまいたちを振って真空波を繰り出した。が、ハヤタも正宗を振り、真空波を繰り出して相殺。
「カマイタチ、それは俺の技だ」
「ふっ、そうだったな。では、これはどうだ?」
ヒナギクはその場で回転斬りを行った。
「うわっ!」
刹那、ハヤタの身体中からおびただしい量の血液が吹き出した。
「流石・・・真剣・・・だな」
ハヤタは蹌踉めき、倒れそうになる。
「トドメだ!」
ヒナギクは刃先をハヤタに向け、駆け出した。
グサッ!──ハヤタの腹をかまいたちが貫通した。
「ぐっ!」
ハヤタは脱力し、ヒナギクに体を預けた。
(俺は、死ぬのか・・・?)
「カマイタチ、死に際の・・・俺の望み・・・聞いて・・・くれないか・・・?」
「良いだろう、言え」
「ヒナギクを・・・解放して・・・く・れ・・・」
ヒナギクはかまいたちをハヤタの腹から抜いた。
「うっ!」
ハヤタは腹這いに倒れた。
「お前の肉体を私にくれると言うのなら考えてやっても良い」
「それは・・・無理・・・かな・・・」
「ならばこの体は頂く。貴様は私に体を差し出さなかった事に悔いながらそこで死ぬが良い」
ヒナギクはそう言って去って行った。
「ヒナ・・・ギク・・・」
(ヒナギク、俺はお前を失いたくない)
その時、正宗が発光し、辺りを照らし出した。
「何?」
ヒナギクは振り返った。その先には、ハヤタが睨みながらこちらを向いて立っている。
「バカな!?何故まだ立っていられる!?」
「拙者は正宗。ヒナギク殿に仕える木刀でござる。ハヤタ殿のヒナギク殿を思う気持が、拙者を目覚めさせた。覚悟するでござる!」
ハヤタはそう言ってヒナギクに襲い掛かった。が、ヒナギクは真剣。木刀が敵う筈も無く、正宗は弾き飛ばされた。
「あれ、何してんだ俺?」
と、意識を取り戻したハヤタ。
「ほお、まだ生きていたか。貴様はマムより使えそうだな」
ヒナギクはそう言って、紫色の禍々しい邪気を放ったテニスボール大の球体を作り、ハヤタの体に埋め込んだ。
「うわっ!」
ハヤタの瞳が真っ黒に染まる。
「ハヤタ、お前の主は誰だ?」
「それはあなたです、カマイタチ様」
と、ハヤタは跪いて言った。
「そうだよな。では私に盾突いた責任を取って貰おうか」
「はっ、どんな罰でも謹んでお受け致します」
「立て」
ハヤタは立ち上がる。
「こいつを受けるが良い!」
ヒナギクはハヤタの体を数回斬り付けた。
ハヤタの体からおびただしい量の血が吹き出す。
「不潔だ」
そう言ってハヤタの腹にかまいたちを突き刺し、横へ引き裂いた。途端、ハヤタの身体中に金色のオーラが出現した。そして、白眼に成り、髪が金色に成って逆立つ。
「やり過ぎだぜ、カマイタチ!」
刹那、ヒナギクは吹き飛ばされた。
「なっ、貴様は一体!?」
「俺か?俺は・・・超サ○ヤ人だ!」
「サ○ヤ人だと!?」
ヒナギクは震えた。
「貴様は俺を怒らせた・・・」
シュイン!──ヒナギクの背後に高速移動するハヤタ。
「何!?」
と、ヒナギクが振り向く。
「はっ!」
ハヤタはヒナギクを蹴り飛ばし、追い討ちを掛ける。
「こいつはヒナギクの分」
ドン!──ハヤタの膝がヒナギクの腹を直撃。
「次は正宗の分」
と、ハヤタはヒナギク首を両腕で押さえ、腹にもう一度膝を直撃させる。
「がはっ!」
吐血するヒナギク。
「そしてっ、俺の分だぁ!」
と、首を放して顔面に拳を思いっ切りぶつけるハヤタ。
ヒナギクはかまいたちを手放し、吹っ飛んで壁に叩き付けられた。
「まさか・・・この私が・・・人間如きに・・・!」
ヒナギクは地面に落下。体から禍々しいオーラが抜け、妖刀・かまいたちに戻って行く。
「あれ、此処何処!?」
と、疑問符を浮かべるヒナギク。
ハヤタはヒナギクに歩み寄り、しゃがんだ。
「ハヤタくん!?」
ヒナギクは傷だらけのハヤタを見て驚いた。
「どうしたのその傷!?」
「妖刀・かまいたちからお前を救った時に出来た傷だ。心配するな、ダンジョンを抜ければ傷は塞がる」
「ありがとう。それよりその頭何?」
「気にするな」
ハヤタは微笑した。
その後、二人は無事にダンジョンを抜け、家に帰った。勿論、ハヤタはどうやってカマイタチを倒して脱出したのかは覚えていない。
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