Stage final:最終話
練馬区中央病院。
ヒナギクとハヤタは面会謝絶と書かれた病室のベッドで横に為っていた。
「ごめんな、ヒナギク」
しかし、ヒナギクはシカトした。
「おいっ、シカトすんなよ!」
「五月蝿い、黙れ」
「ちょっ、何だよヒナギク?まだ怒ってんのか?」
「全く、誰の所為でミイラに成ったと思ってるの!?全部あんたの所為よ!?あんたの所為!もう二度と口聞かないから!」
「だからごめんって言ってるだろ?」
「話し掛けんなって言ってるのが解らない?」
・・・──ハヤタは沈黙した。
(まずい、ヒナギクのご機嫌が斜めだ)
「ヒナギク、返事しなくても良いから聞いてくれ」
「ぶっ殺すよ?」
そう言われ、ハヤタは開き掛けた口を閉じた。
(やばい、マジでやばい)
一方その頃、三千院家地下の牢屋では、ハヤテが入っている牢をナギが開けていた。
「ハヤテ、お前を出してやる」
ハヤテは疑問符を浮かべた。
「どう言う事ですか?お嬢様」
「や、実は先程、脱衣所の前でヒナギクとハヤタが倒れていたんだ。何が遭ったか知らんがヒナギクは全身傷だらけでハヤタはHP0で瀕死だったから病院に入院させた。だから暫くの間お前を執事として使う事にした」
てな訳で再び病院。
ハヤタは先程からヒナギクのご機嫌を取る為に話し掛けているが、当のヒナギクはご機嫌斜めのまま。
(やべえよやべえよ、このままじゃ絶縁だよ)
ハヤタはかなり焦った。
(どうすりゃ良いんだよ俺!?)
と、頭を掻き毟る。
その時、突然とドアが開き、「ヒナえもーん!」と桂 雪路が入って来た。
「お、お姉ちゃん!?」
「御姉さん!?」
刹那、ヒナギクがハヤタに殺気を放った。気安く姉と呼ぶな、と言う事らしい。
「お姉ちゃん、どうやって入ったの?ドアには鍵掛かってた筈よ」
「ああ、看護師ぶん殴って鍵開けさせたのよ」
雪路はそう言った後、「所で何でミイラなの?」と付け足した。
「あいつの所為よ!」
ヒナギクは顎でハヤタを示した。
「ほお、これはお仕置きが必要だな」
そう言って雪路は拳をポキポキと鳴らしてハヤタに歩み寄った。
「ほお、教師が生徒に暴力を振るうってのか」
「ああ?何だとコラ?」
と、雪路は睨み付けた。
「お姉ちゃん、思う存分やっちゃって頂戴」
「りょうか〜い♪」
雪路はベッドを引っくり返してハヤタを落とし、ボッコボッコのギッタンギッタンに叩きのめした・・・つもりだった。
「忍法、身代わり」
その声と共にハヤタの体が数センチの大きさに伐られた太い木に成り、何者かが雪路を羽交い締めにする。
「貴様如きがこの俺に勝てるとでも思ってるのか?」
「なっ!?」
何者かの正体はハヤタだった。
「お姉ちゃんを放しなさい!」
ヒナギクはそう言って木刀・正宗を召喚する。
「やめとけヒナギク」
「五月蝿い!」
ヒナギクがそう叫んだ刹那、傷口が開いて全身から血が飛沫した。
ヒナギクは貧血で目眩に教われて倒れた。
「言わんこっちゃ無え。・・・さて先生?」
「な、何よ?」
「罰ゲーム、受けて貰いますよ」
「罰ゲーム?面白い、受けて立ってやるわ!」
「良い度胸だ。・・・罰ゲーム!」
刹那、二人は異世界に飛んだ。
二人が飛んだ先は、D○Z界の精○と時の○屋だった。
「何か見た事ある様な景色ね」
ハヤタは鼻で笑った。
「これから貴様には孫 ○空のかめ○め波を1000発受けて貰う」
ハヤタがそう言うと、何処からとも無く孫 ○空が現れた。
「始めるぞ」
孫 ○空は空中へ飛び上がり、雪路にかめ○め波を放った。
「ちょっ、あんなもん喰らったら死ぬわ!」
だが時既に遅し。孫 ○空の放った一発目のかめ○め波は雪路にダイレクトアタック。
「ギヤァー!」
桂 雪路、LP0。
「あ、もう終わりか?」
ハヤタがそう言うと、二人は元の世界に戻った。
(あれ?ベッドの配置が変わってる・・・つうかヒナギクいねえし)
ハヤタは病室を飛び出した。
ドアには面会謝絶の張り紙が無い。
(そう言えば御姉さんもいねえ。どうなってんだ?)
ハヤタは近くのナースステーションに向かった。
「すいません、入院患者で最近退院した人っています?」
と、看護師に聞くとその人は答えた。
「いや、いませんね。仮にいたとしても教えられません」
「そうですか。では、桂 ヒナギクさんと言う患者は入院してます?」
すると看護師はパソコンをいじりだした。
「桂 ヒナギクさんですよね?その方は現在入院しておられません」
「んなバカな!?入院してる筈だ!包帯グルグル巻きのピンク色の長髪の娘が!」
「ああ、その娘でしたら2年前に退院しました」
ハヤタは混乱した。
「今何て・・・?」
「2年前に退院しました」
「おいっ、今何年だ!?」
「平成19年(2007年)です」
「マジ?」
看護師は、はい、と返事した。
(バカな。俺は2年後の未来へ飛んだと言うのか・・・。取り敢えず三千院家行くか!)
ハヤタは猛スピードで三千院家へ向かった。
「ヒナギク!」
ハヤタは自室のドアを思いっ切り開けて部屋に入った。そこには、メイド服へ着替中のピンク色の長髪で巨乳の女性がいた。
「キャーッ、誰よ!?」
女性は振り向いた。
「そんな事はどうでも良い!お前ヒナギクか!?」
「そうよ。それより誰かしら?女の人の着替覗くなんて最低よ」
「俺だよっ、朝月 隼太だ!」
「はあ?何言ってるのよ。ハヤタくんはそんなに小さく無いわよ?」
確かに、2年後のヒナギクの方がハヤタの身長より大きい。
「どうでも良いけど早く出て行きなさいよ!」
ヒナギクはそう言ってハヤタを追い出した。
(クソ、どうなってんだ!?俺が2年後の未来に飛ぶなんて・・・)
「ごめんハヤタくん!」
刹那、ヒナギクが扉を思いっ切り開いた。
「グリーヴァから聞いたわ!ハヤタくんなんでしょ!?」
「ヒナ・・・ギク・・・」
ピシッ!──ヒナギクのビンタがハヤタの頬にクリティカルヒットした。
「ハヤタくんの馬鹿!何も言わず急にいなくなって心配したんだから!」
そう言ってヒナギクはハヤタを抱き締めた。
赤く為るハヤタ。
「でも良かった、無事で」
ヒナギクは涙を流した。
「2年間何してたのよ?」
「解らない」
「は?」
ヒナギクはハヤタから離れて疑問符を浮かべた。
「どう言う事?」
「それが解らないんだ。気が付いたら2年後に飛んでた。タイムスリップって言うんだろうな。けど良かったのかもな。お前、あん時俺の事煙たがってたしな」
「馬鹿、そんな事ある訳無いじゃない!あんたがいなくなって、どれだけ寂しかったか解る!?」
「ごめん!」
ハヤタは土下座した。
「俺には何が何だか全く解らないけど兎に角ごめん!」
「一寸ハヤタくん!?」
「俺、もう二度とお前に寂しい思いさせない。だからもう一度、俺とやり直そう」
「・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」
「えっ?」
ハヤタは顔を上げた。
「何で謝るんだ?」
「結婚・・・したの」
「はあ!?」
ハヤタは驚いて飛び上がった。
「誰としたんだよ?」
その問いにヒナギクは頬を赤くして言う。
「は、ハヤテくんと・・・」
「嘘・・・だろ・・・?」
「本当よ。だから、あなたとはもう付き合えないの」
「巫座戯んな!」
と、ハヤタがヒナギクの頬を引っ叩こうとした刹那、2年後のハヤテが現れてイナ○マキックを放った。
「どわっ!」
ハヤタは吹っ飛んで廊下を転がった。
「何処の誰だか知らないけど僕の女房を虐めないで欲しいな」
「ハヤテ、2年振りだな」
そう言って立ち上がるハヤタ。
「君は何故僕の名前を知ってるのかな?」
「それは、彼がハヤタくんだからよ」
「そうか、朝月くんだから・・・って・・・・・・ええ!?」
ハヤテは驚き素っ頓狂な顔でハヤタを見た。
「本当に、2年前に失踪した朝月くん?」
「違うっ、2年後にタイムスリップしたんだ!所で、二人は何故結婚したんだ?」
「それはハヤタくんが私の前から突然と姿を消したからよ」
刹那、ハヤタの目から塩水(涙の代理)が出て来た。
「何故・・・待って・・・なかった・・・?」
「だって、二度と戻って来ないと思ったから。それに、あなたがいない分、ハヤテくんが支えてくれたから・・・」
「どっちが・・・プロポーズ・・・した・・・?」
「私よ」
「そうか。・・・ハヤテ、お前は断らなかったのか?」
「否、断ったよ。マリアさんの事が好きだったから。でも、見てしまったんだ」
ハヤテはそう言って戸籍謄本を出した。
「それは俺の!・・・そうか、見てしまったのか。つうか何処にあったんだ?」
「御嬢様が持ってたんだ」
「そうか・・・。全部見たんだな。俺がお前の実兄でマリアさんが俺らの実姉だってのを・・・。たがそれはどうでも良い。・・・痛いじゃねえか!」
ハヤタはハヤテを蹴り飛ばした。
「うわああああ!」
ハヤテは悲鳴を上げて廊下を真っ直ぐ吹っ飛び、壁にめり込んだ。
「んじゃ、行こうか」
「行くって、何処に?」
「戸籍を元に戻すのさ」
「えっ、本気?てかどうやって?」
「この屋敷にはパソコンが有ったな。それを使って役所のパソコンに侵入する。で、データをチョコット改竄する訳よ」
「駄目よそんな事しちゃ!ハッキングは犯罪よ!?」
「バレなきゃ良い」
ってな訳で、専用ルーム。目の前には一台のパソコン。んでもって画面にはハッキングソフトが開いていた。
ハヤタは目にも留まらぬスピードでキーボードを打ってコマンドを入力している。
「ねえ、止めない?まずいわよ」
しかしハヤタは聞かない。
「よし!」
ハヤタはエンターキーを押した。すると新しいウィンドウが開いた。
区内に住む色んな人の個人情報がリストとして記録されている。
ハヤタはその中の綾崎を探し当てて開いた。
「チョロイチョロイ」
ハヤタはデータをデスクトップに落とし、適当にいじくってアップした。
「これでお前は今戸籍が無い。さて、桂姓に戻すかそれとも朝月姓にするか、選択肢は二つに一つだ。どっちか選べ!棄権認めん!」
「じゃ、じゃあ桂姓に戻して。それで、2年後私に会いに来て」
「無茶な注文だな、おい」
「五月蝿いわね、早くやりなさいよ!」
「りょーかい」
ハヤタは桂のファイルを開き、データを書き換えた。
直後、ハヤタの体が半透明に成った。
「は、ハヤタくん、体が、透けてる!」
「あ、ホントだ。どう言う事なんだ?」
刹那、ハヤタはタイムスリップ前の病室に飛んだ。
「痛!」
ハヤタは尻餅を着いた。
「ヒナギク!」
ハヤタは咄嗟に立ち上がり、窓際のベッドを見た。
そこには包帯グルグル巻きのミイラヒナギクが寝ていた。
ホッとしたハヤタは安堵の溜め息を吐いた。
(ごめんな、ヒナギク。俺、絶対にお前を一人なんかにさせないからな)
「ん・・・?」
ヒナギクは目を覚ました。
ハヤタはヒナギクに近付いた。
「起きたか」
「何よ、まだいた訳?」
「まだ・・・怒ってるのか?」
「当然でしょ!あんたみたいなの、もう顔も見たく無いわ!」
ヒナギクがそう言うと、視界からハヤタが消えた。
「すいませんでした!」
「は?」
ヒナギクは上半身をそっと上げ、ハヤタを見下ろした。
ハヤタが土下座をしている。
「ふうん・・・。そんな事して、私が許すと思ってるのかしら?」
「否、思ってない。どうすれば許してくれるんだ?」
「そうね。・・・じゃあ、消えてくれる?私の前に二度と現れないで」
「えっ?」
ハヤタは顔を上げた。
「大体ね、イケメンだからって調子に乗り過ぎなのよあんた」
「は?そんなの顔とか関係無えし」
「あるわよ!私があんたを好きになった理由の9割りはその顔なのよ!」
・・・──ハヤタは沈黙した。
「そして残る1割りがあの時のあんたの告白。だから私はあんたと付き合ってたの。でも、昨日の風呂場での事で確信したわ。あんたなんかと一緒にいたら、絶対上手くやっていけない、って・・・。だからさ、もう別れましょ?」
ハヤタは立ち上がった。
「そうか・・・。そんなに俺と一緒にいるのが嫌か!もう良い!お前なんか知らねえ!」
ハヤタはそう言って病室を飛び出した。
「あ、一寸言い過ぎたかしら?でも、ハヤタくんだし、直ぐ戻ってくるわよね?きっと・・・」
ヒナギクはそう呟き、横に為って目を瞑った。
一方2年後。
ハヤタがヒナギクの目の前から消えた直後、18歳に成ったハヤタが現れた。
「ヒナギク、約束通り来てやったぞ!」
ヒナギク振り向き、「ハヤタくん!」と、駆けて抱き付いた。
「約束、覚えててくれたのね」
ヒナギクは嬉しさのあまり、涙が出て来た。
「色々と心配させてごめんな」
「良いのよ、ハヤタくんが無事なら」
ハヤタはヒナギクを抱き締めた。
「胸、暫く見ねえ内にでかく成ったな」
ヒナギクはクスッと笑い、
「バカ・・・」
と、呟いた。
「そうだ」
ハヤタはヒナギクを離した。
「お前に渡したい物があるんだ」
「渡したい物?」
ハヤタはヒナギクに招待状と書かれた葉書を渡した。
「招待状?何の?」
「結婚式だ」
「誰の?」
「俺と・・・」
「ウチのや」
そう言って現れたのは、愛沢 咲夜だった。
「はあ?」
ヒナギクは疑問符を浮かべた。
「今度ウチら、結婚すんねん」
「だからさ、一応お前にも来て貰おうかな、って思って・・・」
「ふうん・・・」
ヒナギクは機嫌を損ね、正宗を手にした。
「やっぱコロォス!」
そう言ってヒナギクは真空波を放った。
「どわ!」
ハヤタは吹っ飛び、壁を破壊して屋外に飛び出して落下した。
「何でこうなるんだぁー!?」
To be continued...
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