Stage 21
ヒナギクとハヤタは、三千院家上空に浮かぶUFO・・・否、宇宙船を地上から眺めていた。
「ね、ねえ、ハヤタくん。も、もしかして、あ、あそこまで行くの?」
ヒナギクは体を震わせながら言った。
実はヒナギク、高い所が苦手な高所恐怖症なのである。
「他に何がある?」
「そ、そうよね。じゃあ、後は頑張って」
ヒナギクがそう言って去ろうとすると、ハヤタが彼女の項を掴んだ。
ヒナギクは振り向き様に、
「一寸、放してくれないかな?」
「逃げないよね?」
ハヤタはニッコリ笑顔で訊ねた。
「い、嫌よあんな高い所・・・」
「嫌じゃないザマス!」
ハヤタはス○夫のママの声でそう言って、ヒナギクを抱き抱えた。
「一寸!?何する気!?て言うか何故にス○夫のママ!?」
だがハヤタはその問いを無視して飛び上がった。
「キャーッ、やめてぇ!降ろしてぇー!」
と、涙を流して泣き叫ぶヒナギク。もう地上から10mは離れている。
「直ぐだ、我慢しろ」
「そう言う問題じゃ無いわよ!」
ヒナギクがそう叫んだ刹那、二人は宇宙船内部に侵入した。
「着いたぞ」
と、ハヤタはヒナギクを放す。
「はっ、放さないで!」
ヒナギクは抱きついた。
ハヤタは顔を赤くして、
「離れろよ・・・」
しかし、ヒナギクは怖がって離れない。何故なら、窓ガラスが有ってそこから外の様子が見えるからだ。
「ったく、くっついてたら動けないだろ」
ハヤタはそう言って、無理矢理ヒナギクを離す。が、彼女は維持でも離れまいと、踏ん張った。
「踏ん張ってんじゃねえよ!」
ついにぶちギレたハヤタ。額に青筋を立て、火事場の糞力と言う奴でヒナギクを押し離し、思いっ切り蹴っ飛ばした。
「痛っ!」
ヒナギクは壁に背中を叩き付けた。
「痛いわね!いきなり何するのよ!?」
「離れないのが悪い!」
「し、しょうがないじゃない。高い所怖いんだから・・・」
「知らねえな」
ハヤタはそう言って、船内を歩き始めた。
「待ってハヤタくん!置いて行かないで!」
しかし、その声はもう届かない。
そしてヒナギクは、ギャーギャー泣き出してしまった。
「おい、そこで何をしている?」
突如、背後から声が聞こえた。
「・・・ん?」
ヒナギクは泣き止み、後ろを振り返った。その先には、半透明の黒い影が立っていた。
「な、何者?」
「お前が知る必要無い」
「何よそれ?ムカつくわね」
と、顔を引き攣らせるヒナギク。
「お嬢さん、怒ると美貌が崩れますよ」
「えっ?」
ヒナギクは顔を赤くした。
「美貌だなんてそんな」
「そんな事よりお嬢さん、私にその体を頂けないか?」
「断るわ!」
ヒナギクはそう言って、すっくと立ち上がって正宗を召喚した。
「私が欲しければ私を倒す事ね!」
と、正宗を半透明の黒い影に向けるヒナギク。
「ふっ、この私に勝てるとでも思ってるのか?」
「やってみなきゃ解んねえな!」
刹那、周囲が閉鎖空間に包まれ、紫の斬撃波が飛んできた。が、その斬撃波は黒い影をすり抜けてしまった。
「誰だ!?」
と、黒い影は斬撃波が飛んできた方を向いた。その先にはマリアを抱えたハヤタがいた。
「ハヤタくん・・・」
と、ヒナギク。
「そいつをどうするつもりだ!?」
「連れて帰る」
「させんっ、させんぞ!」
黒い影はそう言ってヒナギクに重なった。
「えっ?」
刹那、ヒナギクの意識が飛んだ。
「その女は渡さん!」
ヒナギクは正宗でハヤタに攻撃。
「うわっ!」
正宗がハヤタの頭を直撃した。
「貴様、ヒナギクから出ろ!」
ハヤタはそう言って、妖刀・かまいたち木刀モードを召喚した。
「あら、ハヤタくん。私とやると言うの?」
と、ヒナギクは問う。勿論、喋っているのは中の黒い影だ。
「ヒナギクの振りして油断させる気か。だがその手には乗らん!」
ハヤタはそう言ってかまいたちを振るう。
カッ!──正宗がかまいたちを受け留めた。
「その程度なの?」
ヒナギクはそう言ってかまいたちを弾き飛ばした。
「何!?」
「隙だらけよ!」
と、腰を正宗で叩くヒナギク。
「うっ!」
もう一発。
「うっ!」
更にもう一発。
「うっ!」
「降参する?」
「降参したらヒナギクを解放するか?」
「却下」
ヒナギクは正宗でハヤタの腹を突いた。
「うっ!」
ハヤタは呻き、腹を押さえて蹲った。
「貴様の目的は何だ?」
「人間の雌に乗り移る事だ」
「何だよそれ?」
ハヤタは苦笑した。
「うっ!」
苦笑で腹が痛む。
「ま、取り敢えず、お前はあの青いのとは関係無えみたいだな」
「青いの?ああ、あのアメーバ?ハヤタくんの言う通り関係無いわよ」
「ヒナギクの振りはヤメイ!」
ハヤタは悟○手甲を填め、ヒナギクの体から半透明の黒い影を吹っ飛ばし、かまいたちを拾って真剣に変化させた。
「うぉい!そんな物何処で手に入れた!?」
「BLE○CHのル○アに借りた」
「と言う事はその手に握ってる真剣も!?」
「否、これは妖刀だ」
そう言って斬撃波を放つハヤタ。
「なっ、妖刀って言ったら霊体まで斬る事が出来るあれじゃないか!って、そんな事言ってる場合じゃねえ!」
黒い影は飛んできた斬撃波を慌ててかわした。その時、グサッとかまいたちが黒い影を貫く。
「消え失せろ」
ハヤタはかまいたちを横へスライドさせ、黒い影を切り裂いた。
黒い影は悲鳴を上げながら、地獄へと堕ちて行った。
「さてと」
ハヤタは閉鎖空間を解いた。刹那、高所恐怖症のヒナギクが悲鳴を上げる。
「キャーッ、怖い!助けてぇ!」
「やれやれ・・・」
ハヤタはかまいたちを異空間に飛ばし、ヒナギクを担いだ。
「えっ、一寸!?」
ハヤタは巨大な穴から飛び降りた。
「だっ、駄目よハヤタくん!高いわ!」
と、涙を流すヒナギク。風でその涙が上へ飛んで行く。
ドカーンッ!──突然、宇宙船が大爆発を起こし、爆風に因って落下速度が加速した。
「うわああああっ、先刻より速く為ってるう!」
「耳元でウッセーぞヒナギク!」
「そ、そんな事言ったってぇ」
「どうでも良いが着いたぞ」
ヒナギクは顔を上げた。目の前には三千院家のお屋敷。何時の間に着いたのだろうか?
「ハヤタくん、お部屋戻ったら覚えておきなさいね?」
刹那、ハヤタは硬直した。
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