Stage 19
此処は、ハヤテとナギが最初に出会った負け犬公園。その公園のベンチに、マリアが座って泣いていると、織田倉が現れた。
「おや、あなたは何時ぞやのメイドさんでは無いですか」
しかし、マリアは無反応だった。
織田倉は頭に疑問符を浮かべた。
「何が遭ったかは知りませんが、泣かないで下さい。折角の美貌が台無しに成りますよ?」
織田倉はマリアにハンカチを差し出した。
「ありがとうございます」
と、ハンカチを受け取って涙を拭うマリア。
「私の話し、聞いて頂けますか?」
「解りました。聞きましょう」
織田倉はマリアの隣に腰掛けた。
「実は、私の大好きな男の子が、実の弟だったんです」
「冬のソ○タみたいな展開ですね。で、どうしたんです?」
「私、信じられなくて、飛び出して来ました」
「一寸良いかい?その事は誰から聞いたの?」
「本人からです・・・」
織田倉はすっくと立ち上がり、
「酷いっ、酷すぎる!」
「えっ?」
マリアは顔を上げ、織田倉を見る。
その頃、三千院家敷地内では、ハヤタがマリアを捜し回っていた。
「マリアさーん!マリアさーん!」
しかし、マリアの返事は無い。
(何処に行ったんだよ姉さん!?)
「見ー付けた!」
と、ヒナギクがハヤタの前に現れた。
「うわっ!」
ハヤタは驚いて尻餅を着いた。
「脅かすなよ、ヒナギク」
そう言ってハヤタは立ち上がり、
「じゃあな」
と、去ろうとするが、ヒナギクが咄嗟に腕を掴んで引き留めた。
「逃がさないわよ!」
「放せヒナギク!」
「放さないわよ!」
「何でだよ!?」
「決まってるでしょ!あんたに試験勉強をさせるのよ!解ったらさっさと来る!」
ヒナギクはそう言って、ハヤタを無理矢理自室まで連れて行き、椅子に座らせた。
「はい、今日の課題」
と、机にノートを置くヒナギク。
「そのノートに私が作った問題が書いてあるから、それ解きなさい。言っとくけど、逃げようなんて思わない事ね」
「それ所じゃないんだヒナギク!マリアさんがいなく為ったんだよ!」
「そんなの関係無いでしょ?兎に角、今は勉強優先!マリアさん捜しなら私がSPに頼んどくから」
ヒナギクはそう言って、携帯でSPにマリアを捜す様、要求した。その間に、ハヤタは部屋を抜け出そうとしていた。
「逃がさないわよ」
ヒナギクはそう言って、ハヤタの服を掴んだ。
「勉強が終わるまでしっかりと見張ってるから」
と、無理矢理椅子に座らせるヒナギク。最早、彼に逃げ場は無い。
「ヒナギク、俺はトイレにも行っちゃいけないのか?」
「そんなの逃げる為の口実でしょ?」
ちっ──と、舌打ちをするハヤタ。
「ちっ、じゃないわよ!」
ヒナギクは苛付いてきた。
「やらなきゃ駄目?」
「ダメ!」
ハヤタはやれやれとでも言う様な顔で渋々ノートを開いた。
(なっ、何だこれは!?ヒナギクは俺を馬鹿にしてるのか!?)
ハヤタは鉛筆立てからシャープペンシルを取り、1頁1秒の速さで問題を解いて行く。それには、見張っているヒナギクも吃驚仰天。そして、気が付いた時には既に全頁が埋まっていた。
(何よこの人!?ホントに人間なの!?こんなのっ、こんなの有り得無いわ!)
「もう、良いよな?」
「否、まだよ!」
そう言って、ノートを追加するヒナギク。
「今度は数学をやって貰うわよ!」
因みに、今やっていたのは、英語の問題である。
ハヤタはノートを開き、1頁1秒のスピードでサラサラと問題を解く。
ヒナギクは膝を着き、
(この人、私より上かも・・・)
そう思った。
「もう良いわ、ハヤタくん」
「えっ?」
「あなたの実力、よく解ったから・・・。ノート、そこに置いておいて」
「と言う事は、もう良いんだよな?」
ヒナギクは頷いた。
「どうした?」
「話し掛けないで!一人にして頂戴」
ヒナギクは立ち上がり、ベッドに倒れ込んだ。
ハヤタは無言で部屋を出た。
(どうしたんだ、あいつ・・・)
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