ハヤテのごとく!〜ヒナギクの彼氏〜(11/23)PDFで表示縦書き表示RDF


ハヤテのごとく!〜ヒナギクの彼氏〜
作:Daisy Katsura



Stage 11


 小中高一貫である白皇学院にある時計塔の最上階には、生徒会室と言う生徒会役員専用の部屋がある。ヒナギクは生徒会会長で、昼休みや放課後は何時も此処で仕事をしている。
(落ち着くわ。教室じゃ皆キャーキャー騒いで食事どころじゃないしね)
 と、ヒナギクは会長用の席に座って弁当を開けた。
「何これ?」
 ヒナギクが見たのは、ハート型にされたご飯、人参、ハンバーグ、玉子焼き等だった。
 ヒナギクは顔を引き攣らせ、
「こんな事されると困るんだけど・・・」
 と、呟いた。恐らく、この弁当の作り主はハヤタだろう。
 ヒナギクは携帯を出し、ハヤタに掛けた。
「ヒナギクか、どうした?」
「お弁当ありがとう」
「ああ、食べてくれたのね」
「まだ食べてないわよっ、て言うかこんなの食えるか!」
 ヒナギクはそう言って電話を切った。
「ハヤタくんったら!弁当くらい普通に作って欲しいわね!」
 と、弁当の中の物を窓の外に向けて投げた。
(あっ、私ったら何で投げてんのよ!?)
 ヒナギクは自分の頭を拳で叩いた。
(痛っ、一寸強すぎ・・・)
 その時、ヒナギクは閉鎖空間に閉じ込められた。
(何よこれ!?)
 ヒナギクは辺りを見回した。すると、明らかに人間では無い何かが立っていた。そいつは全身緑色で、背中に大きな翼とお尻に太い尻尾が有った。ドラゴンだ。
「ほお、この空間の中で動ける人間がいるとはな」
「誰よあんた!?」
「俺はドラゴンのグリーヴァだ。ハヤタとか言う奴を捜している」
「あなた、ハヤタくんを知ってるの?」
「奴は兄貴の仇だ」
 ヒナギクは正宗を召喚した。
「どうやらあんたは倒さなきゃいけないみたいね!」
 と、正宗をグリーヴァに向けるヒナギク。
「正宗の使い手か。だが残念だったな!貴様の様な虫ケラなど敵では無いわ!」
 グリーヴァは火の玉を吐き、それを喰らったヒナギクが怯んだ隙に猛スピードで接近し、尻尾で薙払った。
「キャア!」
 ヒナギクは吹っ飛び、地面を転がった。
「くっ・・・」
(強い・・・。今の一撃で、私の体力が殆んど無くなったわ)
ドンッ、ドンッ!──ゆっくり迫るグリーヴァ。
(お願い、助けて!)
「フッフッフッ、今楽にしてやるからな」
 グリーヴァはそう言って、ヒナギクの襟を親指と人差し指で摘み、口の前に持ち上げた。
「お前、よく見ると可愛いな。殺すのはヤメだ」
「み、見逃してくれるの?」
「まさか。お前の体を乗っ取るのさ」
「はぁ、やっぱりそうなるのね」
「何だ?随分と諦めが早いな」
「あんたを見た時からこうなる事くらい予想してたわ。それより、乗っ取るなら早く乗っ取りなさい」
 グリーヴァはヒナギクを放した。
「痛っ!」
 尻餅を着くヒナギク。
「一寸あんた!?もっと大事に扱いなさいよね!?」
「器如きが俺に指図か。良い度胸だな」
「それ、褒めてるの?」
「ああ。大抵の奴は俺の容姿を見たらビビって何も言えない。だがお前は違う。褒美にジワジワと苦痛を与えながら乗り移ってやろう」
 グリーヴァはそう言って、メタルの液体に変化し、ヒナギクの胸に飛び込んだ
「うっ!?」
 メタルの液体がミクロの細胞一つ一つに侵入していく。
(く、苦しい・・・。これが、SFとかで宇宙人に体を乗っ取られる人の、感覚って奴なのね。もう、体の自由が利かないみたい)
 液体は完全にヒナギクへ入り込んだ。
 両手を顔の前に持ってきてグーパーするヒナギク。動かしているのは中のグリーヴァだ。
「フッ」
 ヒナギクは北叟笑み、閉鎖空間解いた。すると目の前にハヤタが現れた。
 ヒナギクは驚いて飛び上がり、
「はっ、ハヤタくん!?こんな所で何してるの!?」
「閉鎖空間の存在を感知したから来てみたんだ。それよりヒナギク、中で何が遭った?」
 ヒナギクはハヤタに抱き付いた。
「中で巨大なドラゴンに襲われたわ。何で来てくれなかったの?凄く、凄く怖かったんだから!」
「すまない。入れなかったんだ。けど、お前が無事で良かった」
 ハヤタはヒナギクを抱き締めた。
 ヒナギクは北叟笑み、右手をドラゴンの手に変化させた。
「死ね!」
 そう言って、ヒナギクは鋭く尖った爪でハヤタの背中を刺した。
ボキッ!──ヒナギクの爪が折れた。
「俺が何も知らないとでも思ったか?甘いな」
 ハヤタはそう言って、ヒナギクを突き飛ばし、背中から鉄板を取り出した。
ちっ──舌打ちするヒナギク。
「貴様の殺害は失敗か。これで兄貴の解放は延期された訳だ」
「お前、グリーヴァか?」
「ご名答。お前を殺して兄貴を助ける為に遥々やって来た」
「態々竜神界りゅうじんかいから来たのか。そりゃご苦労様。けど残念だ。俺はお前とは戦う気が無い」
「お前にその気が無くてもこっちにはあるんだよ!」
 ヒナギクはそう言って、閉鎖空間を張った。
「はぁ・・・やれやれ・・・」
 ハヤタは額に手を当てた。
「閉鎖空間を張ったんだ!戦って貰うぞ!」
「嫌だね。ヒナギクを傷付けたくないんだ」
「ヒナギク?ああ、この器の事か」
ブチッ!──ハヤタの堪忍袋の緒が切れた。
「てめえ、今何と言った?」
「ヒナギクとはこの器の事か、と言ったんだ」
 と、自分を指差すヒナギク。
「ヒナギクは器じゃない。訂正しろ」
「今は俺の器だ」
 刹那、ハヤタが姿を消した。
「消えた・・・?」
「よく探せ!」
 と、ハヤタがヒナギクの後ろに現れ、回し蹴りを放った。
「どわっ!」
 ヒナギクは吹っ飛び、地面を転がった。
「おのれぇ!よくもやりやがったな!?」
 ヒナギクは水平に飛び、鋭く尖った爪でハヤタを引っ掻いた。刹那、ハヤタの左肩から右腰に向かって斜めの深い傷が出来た。だが、ハヤタは気にしない。
「どうした貴様!?戦え!」
「言っただろ?ヒナギクを傷付けたくないって」
「ならばとっとと死にやがれぇ!」
 ヒナギクはもう片方の手も変化させ、乱れ引っ掻きをした。
「うわああああっ!」
 全身を無数に切り裂かれ、悲鳴を上げるハヤタ。
「これでおしまいだ!」
 そう言ってヒナギクは、ハヤタの腹に爪を突き刺した。
グサッ!──音を立てて貫通する爪。
 ヒナギクは爪を引っこ抜いた。大量の血がボタボタとハヤタの腹から垂れ落ちる。
「面白くない」
 ヒナギクはそう言って、両手を元に戻した。
「おい、早くトドメを刺せ。俺を殺したいんだろ?」
 ヒナギクは後退した。
「早く刺せ!」
 刹那、ハヤタの後ろに巨大なドラゴンの幻影が現れた。そのドラゴンは、ヒナギクを睨み付けた。
「クソッタレェ!」
 ヒナギクは手を変化させ、ハヤタに飛び掛かった。が、何故か切り裂く事を躊躇った。否、出来なかった、そう言った方が良いか。
「何故、体が?」
 金縛りに遭ったのか、ヒナギクは体が硬直してしまった。
「どうやら、仕掛けが効いて来た様だな」
「仕掛け・・・だと?」
「実は先刻、ヒナギクを抱き締めた時にかまいたちの妖力を少量だけ注ぎ込んだんだ」
「か、かまいたちだと!?」
「これでお前は、ヒナギクを操る事もそこから抜け出す事も出来ない」
「貴様・・・!」
「ヒナギク、右手を挙げてみろ」
 ヒナギクは右手を挙げた。
なっ!?──驚くヒナギク。
「どうやら、体は取り戻したみたいだな。後は口だけか」
 ハヤタは封印の札を懐取り出し、ヒナギクの顔に貼った。刹那、札はヒナギクの中に吸い込まれた。
「ヒナギク、喋れるか?」
「あー。大丈夫みたい」
「そりゃあ良かった」
 ハヤタはそう言って、閉鎖空間を解いた。それと同時にハヤタの傷が塞がる。
「ハヤタくん、私どうなったの?」
「思いっ切りジャンプしてみろ」
 そう言われ、ヒナギクは思いっ切りジャンプした。
ガンッ!──ヒナギクは天井に頭をぶつけた。
「痛ぁ・・・どう言う事?」
 ヒナギクは頭を押さえた。
「ドラゴンのお陰で身体能力が大幅に上がったんだよ」
「へえ、そうなんだ。他には何か無いの?」
「ドラゴンに変身出来る。お前の場合はグリーヴァだな」
「ふうん。他には?」
「もう無い。ただ、注意して欲しい事がいくつかある」
 ヒナギクは疑問符を浮かべた。
「人に触る時、物に触れる時は加減をしろ?」
「どうして?」
「それは口で説明するより目で見て確かめた方が良い」
「解った、そうするわ」
「じぁ、俺は教室戻るぞ」
「あ、私も戻るわ」
 二人は教室に移動した。そして、授業を受けて放課後を迎えた。すると、ナギが教室にやって来た。
「二人とも、家に帰るぞ」
「(ヒナギク、ナギを押してみろ)」
 ハヤタはナギには聞こえない大きさで言った。
「(何で?)」
「(良いからやってみろって。面白いのが見れる)」
 ヒナギクは頷き、ナギを押した。
「うわあっ!」
 ナギは吹っ飛び、壁にめり込んだ。
「何よこれ!?」
 ヒナギクは驚き、手の平を見た。
「加減しないと今みたいになるから気を付けろ」
「わ、解った。気を付ける・・・」
「おい、ヒナギク!」
 壁に埋まったナギが呼んだ。
「お前、何時の間にそんな腕力が上がったのだ?」
「さあね。知ってたとしてもあんたには教えないわよ。じゃ、私達は先に帰ってるから」
「じゃあな」
 二人はナギをそのままにして帰路に着いた。
「おいっ、せめて私を降ろしてから行け!」




もう別の漫画に成ってる・・・












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