Stage 10
三千院家の門前に、ハヤテはボーッと立っていた。するとそこへ、事情を知らないマリアがやって来た。
「あら、どうしたのですか?ハヤテくん」
ハヤテはマリアに抱き付いて涙した。動揺するマリア。
「ちょっ、ハヤテくん!?どうなさったのですか?」
「聞いて下さいマリアさん。僕、お嬢様に、見捨てられたんです?」
「はい?」
「執事を首にされたんです!実は、お嬢様にバレたんです!あの日、お嬢様を誘拐しようとして声を掛けた事・・・。それにお嬢様、借金して僕を売ったんですよ!?僕は一体どうしたら良いんですかマリアさん!?」
「あらま、それは困りましたね。兎に角、お屋敷に入りましょう」
マリアはそう言って、ハヤテと敷地に入った。するとSPが現れ、ハヤテだけを追い出した。
「申し訳ありません。ナギお嬢様がハヤテ殿を一歩も敷地内に入れるなとの事ですので」
(ちっ、あのクソ女が!)
その頃、執事長の部屋では、ハヤタが執事長の話しを聞いていた。
(あー、長ったらしい話しだな)
「では朝月くん!」
「はっ!」
と、直るハヤタ。
「お嬢様の新しい執事として、しっかりと御願いします。解散」
(はあ、やっと終わった・・・)
「失礼します」
ハヤタは執事長室を出た。
(しっかし、とんでもねえ仕事引き受けちまったなぁ。しかも住み込みだなんてな)
「お、ハヤタか。執事服、似合ってるぞ」
「何だ、ナギか・・・」
「何だ、とは何だ?」
「いや。それよりさ、ヒナギクもこっちに呼びたいんだが良いか?」
「そうか、呼びたいのか」
ナギはニヤ付いた。
「貴様、それだけはよせ!ヒナギクをメイドにするなど断固反対だ!」
「別に良いでは無いか。それとも、何か文句でも?」
「ある!ヒナギクがメイド服なんか着たら・・・」
ハヤタはメイド姿のヒナギクを想像した。
「いや、それもありかな・・・」
「決まりだな。早速ヒナギクを呼んでメイドに成って貰おう」
と言う訳で、ヒナギクがお屋敷に呼ばれた。
「何で私がナギの世話係をしなきゃならないのよ!?そりゃまあ、ハヤタくんと一緒に暮らせるのは嬉しいけど・・・。兎に角、あんたの世話だけは嫌だからね!」
「駄目だヒナギク。もう決まった事だ。それに、これはハヤタが望んだ事なのだ」
「えっ、ハヤタくんが?」
コンコン──扉を叩く音がした。
「ハヤタか?入れ」
ガチャ──扉が開き、ハヤタが入って来る。
「なぁ、ハヤタからも言ってやってくれ」
「何をだ?」
「だ・か・ら!」
「ハヤタくん!」
「何だ?」
「ハヤタくん、ホントに望んでるの?私がメイドに成るの・・・」
(望んでると言わなきゃ今月の給料減給だ)
(なっ、あの餓鬼そう言う事するか!ここは従った方が良いな)
「うん、まあ」
「そう、解った。ハヤタくんがそう言うんなら、メイドやっても良いかな」
ヒナギクは頬を赤くしながら言った。
「じゃあ決まりだな!早速服を用意しよう」
そして・・・。
「は、ハヤタくん、似合ってる、かな?」
メイド服を着たヒナギクがハヤタに聞く。
「似合ってるぞ。胸が無いのが逆に目立つけど」
ヒナギクはムッとした。
「悪かったわねっ、貧乳で!」
「待て、怒るな。これでも一応、ナギよりはあるんだからさ」
刹那、ナギがハヤタに殺意を飛ばした。
「あ、否、ナギの方がある、かな?」
すると今度はヒナギクが殺意を飛ばした。
「冗談だって!ヒナギクの方がナギより断然でかい!」
ヒナギクはナギに向かって勝利の笑みを見せた。
「なっ、何だその笑みは!?おいハヤタッ、私とヒナギク、どっちがでかい!?」
「どっちって聞かれると、マリアさん、と答えたく為るのは何故だろうな?」
刹那、二人の中で何かが切れた。
「ん?」
ハヤタは疑問符を浮かべる。
ドカッ、バキッ、ボカッ!──ナギ&ヒナギクのダブル攻撃がハヤタに与えられた。
「で、どっちがでかいんだ?」
「勿論、私の方よね?」
ヒナギクはハヤタにハートを飛ばした。
(私のがでかいと言え。じゃないと減給だ)
だがハヤタは、
「ヒナギクだっ、ヒナギクの方がでかい!」
するとそこへ、マリアがやって来た。
「あら、お似合いですわよその服。所で何の言い争いをしていたのですか?」
「ああ、胸のでかささ。ヒナギクと私でどっちがでかいか、ハヤタに答えて貰っていたのだ」
「あら、面白い事をなさっているのですね。でも・・・」
マリアは不適に微笑んだ。
「ハヤタくんは私のがでかいと言ってくれますわ」
「ま、マリアもまざるのか!?胸のでかさ選手権に」
「何だその変な名の選手権?」
「うるさい!元はと言えばお前が私よりヒナギクのがでかいと言ったのが原因だろ!?」
「で?結局どなたが一番でかいのですか?」
「だからでけえのはヒナギクだって言ってんだろ!?」
「あら、そうですか。ヒナギクさんのがでかいのですか」
マリアの怒り静かに溜り、発散される。
「ハヤタくん?」
「何だ?マリアさん」
「後で私の部屋に来て下さいます?素敵なプレゼントをご用意しておきますので」
マリアはそう言って、去って行った。
「お、おいハヤタ。お前、マリアを怒らせたぞ」
「えっ、あれ怒ってるの?とてもそうは見えなかったが」
「怒ってるぞ。お前、覚悟しといた方が良いかもな」
「覚悟って、大袈裟だな。ナギは」
「大袈裟じゃない!ホントの事だ」
「あっそう。じゃあ俺はそれを確かめるべくマリアさんの下へ行くよ」
ハヤタはそう言って、マリアの部屋に向かった。
「入るぞ」
ハヤタはマリアの部屋に入った。
「いらっしゃい、ハヤタくん」
「ああ。で、プレゼントってのは?」
マリアはニヤリと笑った。
(マリアさん・・・?)
ハヤタは疑問符を浮かべた。
ブン!──突然、マリアがハヤタの顔面を殴った。
「マジかよ!?」
「ハヤタくん?私のがでかいですわよね?」
「質問の答えは変えない。ヒナギクのが世界一でかい」
「あんな貧乳の何処がでかいと言うのですか?」
と、顔を近付けるマリア。
「別に良いじゃないか。好きな女の胸が世界一でかいと言っても。てかプレゼントってのを早く出してくれないかな?」
ドカーン!──一瞬の事だった。爆音と共に、ハヤタの体がボロボロに成ったのは。
「な、何したんだ?今・・・」
「ハヤタくん?これでも答えは変えないと言うおつもりですか?」
「お前、ヒナギクの何がでかいか解ってるのか?」
「解ってます。胸ですよね?」
「ああ、胸のステータスだ」
「ステータス?」
「良いか?貧乳はステータスだ!希少価値だ!」
刹那、マリアの顔を影が覆った。
(こんな事にマジに為った私がバカでしたわ・・・)
「もう良いです。行って下さい」
「へ?プレゼントは?」
「そんなのありません!」
ハヤタは追い出されてしまった。
(マリアさん、俺あんたに何か悪い事言ったか?)
「よお、お前こんな所で何してるんだ?執事服なんか着て」
と、そこへやって来たのはタマだった。
「本日付けでナギの執事に成った」
「借金執事はどうした?」
「ああ、あいつなら・・・」
と、耳元で囁くハヤタ。
「何、首に為っただと!?何故為ったんだ!?」
「実はな、かくかくしかじかでな」
「なぬっ!?あの借金執事、お嬢にそんな事しようとしてたのか!」
「俺も、いつかああなるだろうな」
「それは何故だ?」
「俺も借金返済の為にマリアを誘拐しようとした。バレたらどうなるんだろうな?」
「お前の事など知るか」
タマはそう言って去って行った。
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