Stage 1
その日、桂 ヒナギクはハヤタの事で頭が一杯で眠れなかった。訳は、先程、ハヤタに抱擁され、告白されてオーケーしてしまったからだ。
(まだ此処がドキドキしてる・・・)
ヒナギクは胸に片手を当てた。
「知らなかったわ。あいつが私の事・・・」
すると、盗み聞きしていた姉の雪路が、
「何が、知らなかったわ、なの?」
「うわぁ!」
ヒナギクは驚いてベッドから落ちた。
「お姉ちゃん、何時からそこに!?」
「ずっといたけど?それよりさ、お金貸してくれない?」
「嫌よ!どうせまたお酒に使うんでしょ?見え見えよ」
「エェ!?ケチ」
「ケチで結構」
と、布団を完全に被るヒナギク。
ピンポーン──と、チャイムが鳴った。
雪路は木刀を持って玄関に向かった。
「こんな時間に誰だぁ!?」
と、扉を開けて木刀を振る。が、その木刀は人差し指と中指二本で止められた。
「ほお、この俺に木刀を振るとは良い度胸じゃねえか。それよりヒナギクはいるか?」
「ヒナギク、お客さん」
雪路が言うと、
「こんな時間に?」
と、目を擦りながらやって来た。
「あっ・・・」
ヒナギクは緊張して後ろを向いてしまった。
「邪魔だ」
客人はそう言って雪路を退かすと、ヒナギクに近付いた。
「ヒナギクに頼みがある。俺を、俺を此処に置いてくれ」
「はあ!?」
ヒナギクは振り向いて。
「いきなり何を言い出すのよ!?」
「家追い出された。俺のアパート、女子禁制で、ヒナギクが入室したのがバレたんだ」
「一寸待ってハヤタくん!無理よ、此処に置くなんて」
「そんな事言われたって、荷物玄関に・・・」
「えっ、持って来たの!?でも、ウチお姉ちゃんいるし」
「いると何か問題でも?」
「まあね・・・」
その時、玄関の方で雪路が叫んだ。
「おっ、お金が入ってる!これで酒が買える!」
「お金?まさかお姉ちゃん!?」
ヒナギクは玄関に向かった。外では、雪路が招き猫型の貯金箱から大量の500円玉を出していた。
「一寸お姉ちゃん、何してるの!?」
「何って、お金を拾ってるのよ」
「否、それ明らかに落ちてるんじゃなくて、その貯金箱に入ってたお金だから」
「細かい事は気にしない」
「やってくれるじゃねえか」
と、そこへハヤタ再登場。
「てめえ勝手に人の金盗ってんじゃねえよっ、ああ!?」
ハヤタは雪路の胸倉を掴んで睨み付けた。
「いや、盗ったんじゃなくて借りたのよ」
「断りにも無しにか?」
冷や汗を掻く雪路。
「許すまじ!」
ハヤタは地球投げを繰り出した!
雪路は地面に埋まった!効果は抜群だ!
「そこに埋まってろ」
ハヤタはそう言い放ち、雪路が盗もうとして出した500円玉を貯金箱に戻した。
「ヒナギクゥ、助けてぇ〜」
だがヒナギクは、助ける事等せず、
「そこで反省してなさい」
と、家に入って行った。
「お前、ヒナギクの姉か?」
と、雪路を見下ろしながら聞くハヤタ。
「桂 雪路、白皇学院で社会科を担当している」
「何、白皇だと?」
「そうだけど?」
「俺、今度そっちへ転校するぞ。手帳も既にある」
そう言って白皇の生徒手帳を見せるハヤタ。
「と言う訳で、宜しくお願いしますよ。先生?」
と、不適に微笑した。
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