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甘い罰。
作:Maria


「いいよ。先生と一緒なら怖くない。先生を好きになったのが罰だって言うんなら、そんな素敵な罰はないよ。」





苦しい、なんて思ったことはない。
恋する気持ちを苦しいなんて思ったことがない。
苦しみさえも、愛おしいから。





愛する気持ちになぜ、善悪があるのだろう。
例えば17歳は17歳に恋することが普通なのか?





10歳が20歳を愛おしいと思うことはおかしな事なのかな。





男は女に恋をして、女は男にしか恋をしてはいけないのですか。






どうしてだか、答えが出るまで歩き続けよう。
そう思って足を踏み出してからもうかなり歩いてる気がする。



なぜあの子の恋は許されて、
あの子の恋は悪と烙印を押されるのだろうか。






「2-C、澤山さん、至急校長室へ来て下さい。」





これから、私は愛の在り方について、大の大人たちに説いてやろうと思ってる。





「澤山さんは一週間の停学処分になりました。これが一週間分の課題です。しっかり自宅で反省するように…」



反省という言葉の意味が分からなかった。






それにしても、この狭い校長室に、一体何人入れば気が済むんだってほど大人がいっぱいいる。





「…犯罪者。」



誰かのその一言にはっとした。





「先生は犯罪者なんかじゃない!!先生は何にも悪くないもん!」





ねぇ、ママ。
ママは私のこと、もう嫌い?





その日私は、ママの涙を初めて見た。



もし、先生が犯罪者だっていうんなら、私だって同じだ。





私だって罪を犯したよ。





ママを泣かせた。
大好きなママを悲しませちゃった。





先生は何にも言わなかった。
だけど私にはちゃんと分かっていたよ。
言葉になんかしなくたって、先生の想いはちゃんと伝わってくる。









「どうして先生は辞めるのに、私は一週間の停学なんですか?罰なら、平等に与えて下さい。」





17歳なんて、ここに居る大人たちから見たら、ただの子供なんだ。





私の言葉なんて所詮、小さな子供の戯言に過ぎない。



だから私の言葉は…





届かない。






「…ありがと。ありがとう、(あず)。」





「先生…。」





「成人と未成年なんて、ふしだら極まりない!ましてやあなたはいち教師であるということを自覚しているのですか!」





もしも、いま私たちが手を取り合いこの場所から逃げ出したとしたら、






一体この先には、どんな未来が待っているのだろう。






一体二人には、どんな冷酷な罰が与えられるというのだろう。






「梓、聞いて。君はこれから、いっぱい勉強して、たくさんのことを学んで、素敵な大人になるんだ。そのためには、ちゃんと学校に通わないといけない。」






「……先生は。先生と一緒じゃなきゃ嫌だ。」






「先生はもう学校いっぱい行ったもん。大丈夫。梓なら出来るよ。それに、梓は一人じゃない。」






私に与えられる罰は、先生と離れることなの?






そんな罰、耐えられないよ。





「…先生は平気なの?先生は、私と離れて生きていかれるの?」






私の答えは、もう決まってる。






もう、迷わない。






「学校は、私には必要ない。私に一番必要なのは、先生なんだよ。」





春風が背中を押す。
真っ白な未来に怯えてなどいられないよね。






「俺は君を幸せにしてあげられないかもしれない。」






「いいよ。先生と一緒なら怖くない。先生を好きになったのが罰だって言うんなら、そんな素敵な罰はないよ。」






そんな甘い罰なら、喜んで受けるよ。






「行こう、先生!!」





私は先生の大きな手をとった。
白くて小さな私の手と大きくて暖かな先生の手が重なる。



優しく、だけど強く握りしめる。
決して、決して二人が離れることがないように…






この先一体、どんな甘い罰が待っているのだろう…








生徒を愛してしまった先生への…





先生を愛してしまった生徒への…






甘くて残酷な…





罰…












「…もしもし。助けて…娘が誘拐されたんです!!助けて下さい!」






プープープー…














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