「くっくっくっ」
黒猫が一匹笑っている。何かを見て笑っている。
心から楽しそうに、そして、それと同じぐらい悲しそうに……
黒猫の目線の先には何かがあった。
黒猫はそれを見て笑っていた。
それがなんなのか分からない。
いや、分かるのだが理解したくない。
だからアレが何なのか分からない。
そしてその何かを黒猫は食べる。
ぐちゃぐちゃ、ばりばり、ぐちょぐちょ。
音を立てながら食べる。
ぐちゃぐちゃ、ばりばり、ぐちょぐちょ。
「くっくっくっ」
そしてまた、黒猫は笑う。
口の周りを赤黒く染めながら。
高らかにではなく、静かに、そしてどこか狂ったように笑う。
黒猫が食べているのは、それは何だろう。
目を凝らしてみても何かは分からない。
いや、何かなど初めからわかっている。
分かっているが自分の目はフェルターをかけて見えないようにしている。
でも気になる。
何かを頑張ってみようとする。
その間も黒猫は、食べながら笑う。
そして、最後に残ったのは18cm位の丸いとは言いがたい玉。
俺は最後のチャンスだと思いながら、それに目を凝らす。
黒猫はその玉を舐める。
黒猫は俺のそれを見せ付けるようにただただ舐める。
「くっ、くく」
そして黒猫はたまに思い出したかのように笑う。
そして、黒猫が笑った瞬間に、さっきまで見えなかったフィルターがなくなった。
そして見えた何かは、俺の生首だった。
うつろな瞳でこちらを見てる。
口は開き血が出てる。
そして、首から下はない。
体があったと思われるところには、ただただ血だまりあるだけ。
そして、その光景が目に見えたとき、黒猫は口だけ開きこう言った。
ど・う・だ・?・お・ま・え・の・さ・い・ご・の・す・が・た・は。
そこで、俺は目覚めた。
夢のはずなのに、しっかりと目に焼きつき、目を瞑ればまた見えてきそうなほどリアルな俺の生首。
そして声は聞いてないはずなのに、耳に残る最後の言葉。
あの血だまりの中、笑っていた黒猫。
怖いと思いながらも魅入られた。 |