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雪になった女の子

作者:春生志乃
企画の方の参加に間に合いませんでしたので、エントリーできませんでしたが、作品は投稿させていただきます。
古ぼけた小さな一軒家におとうさんとおかあさんとおにいちゃんと暮らしている女の子がいました。
女の子はとても幸せに、家族と暮らしていました。
しかしあるとき、おとうさんとおかあさんが喧嘩をしていました。
おとうさんとおかあさんは女の子が思っていたよりも、仲が悪かったのです。
女の子が気付いた頃には、もうおとうさんはいなくなっていました。
おとうさんの本も、おとうさんの布団も、おとうさんの服も、何もかもが無くなっていたのです。
女の子はとても悲しみました。
けれど、おかあさんもおにいちゃんもそれほど悲しそうではありませんでした。
女の子はその様子を見て、もっと悲しくなりました。
女の子にとっては大切なおとうさんでした。
女の子はおかあさんに「おとうさんはどこへいったの」と尋ねました。
けれどおかあさんは「そんなこときかないで」と言葉を投げ捨てました。
女の子は声をあげて泣きました。
大きな声で、おとうさんに届くように泣きました。
それはおとうさんに聞こえるはずもありませんでした。
女の子は窓をあけて、おとうさんのことを探します。
行き交う人をいくらみても、おとうさんの姿はみあたりません。
泣きながら窓の外を見ているうちに、チラチラと雪が降ってきました。
まるで女の子が泣くのと同じように、どんどん雪は強くなっていきました。
女の子は人を目で追いながらも、目からは大量の涙がこぼれ落ちていました。
すると女の子の涙は、どんどん涙から雪へと変わっていきました。
泣けば泣くほど、女の子はどんどん雪になっていきます。
おとうさん、おとうさんと泣く声も、どんどん小さくなっていきました。
女の子は、女の子の姿のまま、雪のかたまりになってしまいました。
もう泣く声も、女の子の温かい体温も、何もかも、無かったことになってしまいました。
女の子の声は、おとうさんには届きませんでした。

すると扉が勢いよく開きました。
そこには先ほどまで泣いてよんでいたおとうさんの姿がありました。
おとうさんは雪になった女の子を見て、泣きました。
ごめんね、ごめんね、と何度もあやまりました。
けれど女の子は、もう声も動く事さえも出来ないのです。
おとうさんは女の子の目に一粒のしずくがあることに気付き、指でぬぐってあげました。
そして、女の子を抱きしめました。
するとみるみるうちに雪は溶けていきます。
女の子は雪から溶けて、おとうさんに抱きしめられることができました。
おとうさんの温かい体温とやさしいにおいがしました。
おとうさんの目からは涙がたくさんたくさん、落ちてきました。
女の子はおとうさんを小さなからだで抱きしめて「おかえり」と言いました。
女の子は笑顔になりました。
たくさん降っていた雪も、まるで嘘だったかのように、止んでいました。

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