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16美少女の仲がいい罠

ブクマ1000件超えました!!


やった!!!嬉しいです!

ありがとうございます!





 ー・ー・ー



 名前:艶風(あでかぜ) コノカ

 所持金:100000

 種族:半半狐獣人(クォーターフォックス)LV2

 状態:(健康)(喜び)


 職業

 英霊【????】LV3



 STR 16【+2】

 DEX 19(+1)

 CON 14(−2)【+1】

 INT 14(+3)

 POW 14(−2)

 APP 14(+2)

 LUK 14


 スキル

 ー種族スキルー

 《隠蔽》《狐火》《妖児刀(おさなごのかたな) :眠狸(ねむりたぬき)慈狼(いつくしみおおかみ)

 ー職業スキルー

 《ブースト》《滅霊絶妖》《瞬刀》

 一般スキルー

 《看破LV1》《二刀流LV3》《綱渡LV1》

【奥義】

 ・二重回断(ふたえかいだん)AO(アナザーワン),瞬刀,二刀流]




 名前:ギアリア・トゥカタリオ

 製作者:マキナ・アルカイド

 所持金:110000

 種族:古代人形マキナ・ギア(プロトタイプ)LV.2

 状態:(基礎体)(喜び)


 職業

 ハウスキーパーLV4


 STR 6(+11)【+2】

 DEX 6(+7)

 CON 10【+1】

 INT 2

 POW ー

 APP 17(+1)

 LUK 18


 スキル

 ー種族スキルー

  《自己回復・微》《空腹無効》《展開:断罪の歯車(ギア・ギア)

 ー職業スキルー

 《挨拶》《家事》《気遣い》

 一般スキルー

 《魔力操作LV2》《工学LV5》《リングLV3》

【奥義】

 ・壱輪(The)廿仂(Edge)廻刃(Flow)[AO,リング]



 名前:シルル・ウォンレット・ミーネミニチ

 所持金:57

 種族:エルフハーフLV1

 状態:(栄養不足)(喜び)(期待)


 職業:貴族LV1



 STR 4(−2)【+1】

 DEX 12(−2)【−2】

 CON 12【−3】

 INT 17(+4)

 POW 8

 APP 15(+1)

 LUK 2(+3)


 スキル

 ー種族スキルー

 《魔力適正》《曼理皓歯(まんりこうし)》《Undineswor(水妖霊の誓い)D》

 ー職業スキルー

 《指揮》《塾考》《威圧》

 一般スキルー

 《魔力操作LV1》《状態異常耐性LV1》《水魔法LV1》


 ー・ー・ー



 パーティを組んだので、ステータスの見せ合いっこをした。


 僕とコノカはレベルが上がり、一つずつ奥義を覚えていた。奥義とは、その奥義にそった型の攻撃をした時に特殊エフェクトが自動で入り、ダメージボーナスが出るというもので、僕がこのゲームを始める前に見たこのゲームのプロモーションビデオの中の1vs1では、常に奥義のエフェクトを纏っていた。恐らくトッププレイヤーの動きは一挙一動全てが奥義並みに洗練されているのだろう。何それこわい。



 そして、新しく仲間になったシルル。



 職業スキルといい一般スキルといい、ザ・後衛のステータスだなと思いました。そして、その彼女は今、僕の目の前でコノカとイチャイチャしている。


 そのイチャイチャ具合といったら、思わず僕にアレを思い起こさせる程だった。


 そう、アレ。


 主人公の周りにヒロインが増えると、ヒロイン同士の仲が異常に良くなるアレだ。


 フィクションの中だと、そのヒロインたちは大体主人公に惚れているのでハーレムフラグの1つとなるくらいで対して影響がないのだが、僕の場合、コノカ達が僕にほの字とかが一切ないため、段々僕の存在がフェードアウトしていく可能性があるのだ。


 シルルを抱いて離さないコノカと、戸惑うものの、それを受け入れるシルル。本来なら、僕の相好を崩してやまないこの光景が、今ばかりは僕の存在意味を崩しそうなものとなって、僕に重くのしかかっていた。


「シルルのステータス、後衛向きですねー。私と相性いいよ!」

「え、そう、ですか?じゃあ、頑張り……ます」

「うんうん、一緒にゴブリン狩りましょう!」


 キャッキャキャッキャと騒ぐその姿を半透明のステータスウィンドウ越しに見る僕。


(いーれーて!……いや、違うな。何話してるのー?……これはダメだ。なんかキモい。……ここはカッコよく決めるべきか?)


 男児一人孤独の身である僕にとって、あまりにも苦しい状況に、今まで読んできた先達書(ライトノベル)に思わず聞きたくなる。美少女同士のイチャイチャに混ざる方法、教えて下さい。


「……皆さんのステータス、高い、ですね?」

「こんなのすぐ追いつきますよ。上がりやすさの例えを言いますと、ギアリーの職業レベルはパシれば上がるレベルです」

「コノカさん?!」

「冗談ですよ。話しかけて欲しそうにちらちらとこちらを見るギアリーへのキラーパスです」

「スルーパスがよかったよ……」


 おかげでせっかく貰えたパスも取りこぼしてしまった。






 その後も美少女による仲睦まじい光景は続き、そもそも男子一人がここにいるのがおかしいのではないのか、そう思い始めた時のことだった。


「ギアリー、服屋行きましょう服屋」

「昨日行ったばっかりだろ?……あぁ、ごめん。オーケーオーケー、そうだな」


 コノカがシルル越しに圧力をかけてくるので、思わず同意する。多分、シルルの外套があまりにもボロボロなので、僕たちの顔を隠すためにも外套を新しく買いに行きましょう、ということだろう。


「察しのいい男の子は好きですよ」

「マジですか!?」

「ついでにお金も全部出してくれたらもっと好きになるかもしれません」

「やっほーい!」



 シルルはそれを聞いて遠慮しイヤイヤをしていたが、コノカさんに説得されていた。そしてその結果、本当に言った通り全てのお金を僕が負担することになった。解せぬ。





 ー・ー・ー




 街を歩くとやたら視線を集めた。


 どいつもこいつもコノカとシルルを見てやがるせいだ。


 コノカが可愛いのはもちろんの事、今は加えて外套を取っ払ったシルルがいる。


 シルルの外套の下はホットパンツに色艶やかに光る限りなく白に違いクリーム色のヒラヒラとした短めのワンピース、そして白い真珠のようなものでできたネックレスと、限りなく現代服に近い格好だっが、水色の髪の色と見事にマッチして浮世離れしたファンタジーさを醸し出していた。


 勿論、シルルも可愛いので彼女達の目立つこと目立つこと。コノカは慣れたもので堂々としていたが、シルルは終始おどおどコノカに隠れているのでそんな様子も琴線に触れたらしい男性プレイヤーがやばい顔をして見ていた。コノカが絶対零度の視線を浴びせていたが。


 僕も万能スキル【気遣い】を駆使して周りの視線からコノカ達を隠そうとするが、いかんせん人が多い。せめて服屋まで特定されないようにそれとなく追ってくるプレイヤーを撒くべく裏路地などを駆使して蛇行した。


「ギアリーがいなかったらと思うとぞっとしますね」

「ありがと……」

「まあ、持つものとしてはやるしかないしな。それにやればやっただけコノカとシルルの姿を独り占め出来るから、やる気も出るってもんだ」


 と、そんなこんなで服屋についた。昨日入った店、『WHERE? WEAR.HERE!』である。


 オープン初日で集客に失敗したのかは知らないが、ガラガラだったので服屋の店内でも視線に晒されることはなかった。大丈夫かこの店?


 そんな服屋での一幕は、女子二人がダサいローブなどありえないと主張し1時間以上セレクトに時間を費やしたので飛ばすとする。僕は選んでいる途中『目立たないためのローブなのにダサくなくて良いの?』と思ったが、コノカとシルルの可愛い晴れ姿を見ることと天秤にかけた結果、黙認することにした。


 セレクトにやたら時間をかけた後、なにかリリーに言いたいことがあったはずなのに思い出せなかったモヤモヤが会計の時急に晴れて、「魔法少女コノカ!!!」と大声で叫んでしまいコノカにげんこつを食らうなどの一悶着あったが、なんとか無事に3人分の外套を買うことができた。


 占めて、36000円の出費だ。金を持っていることが知られているせいか、通常よりも2つ位上のランクの商品を買わされたような気がしたが、気にしたら負けだ。その内、デザインを売って得た金を全部回収されるのではないかと思ったが、やっぱりそれも気にしたら負けだ。




 というわけで、フードに身を隠した怪しげな三人組が完成した。


 僕の買った服は、女子2人の要望である『異世界らしいフード付コート』ということで、無駄に大きいベルトと銀色の装飾品が所々に配置されたでかいフード付きのロングコートだ。黒に黒を重ねるのはダサいとバッサリ切られてしまったので、臙脂(えんじ)色のラインが入った黒基調のものを選んだ。灰色のファーも付いていたけれど、フードを被ることを前提としたコートにしたかったので取り外してもらった。


 コノカとシルルはお揃いのデザインで色違いのものを買ったようだった。ただ、コノカの場合は和装なので、2つサイズ上のゆとりのあるものを買ったらしい。お陰で丈が長く、手も隠れている。切ってもらうか聞いたが、『異世界ぽくてステキ!』とのことだったのでそのまま。コノカは赤の和装に合うように若草色。シルルはジーンズのようなデニム柄。


 デニム生地がやたら完成度の高かったので、一体どうやってデニム生地の服を作るのか聞いてみたが、専用のCGソフトで読み取りうんちゃらかんちゃらと言ってたので、頑張って作ったんだろうな、と思った。


 1時間以上も拘ったお陰で、2人はフードを被っても、いや、顔が見えないからこそ滲み出る美少女感がでるようになったのは間違いないが、顔が見えないだけ良いかなと思い、これまた気にしたら負けだと自分に言い聞かせた。



……そのうち気にしてはいけないことが意識の半分を占めそうだな、と思ったがそれもまたまた云々。




 ー・ー・ー




 次なる目的地は冒険者ギルド。昨日の依頼の完了報告と、シルルの冒険者登録をするのだ。





 ということで、やってきました冒険者ギルド雅爛櫻町(がらんおうちょう)本部。


 人も多くはぐれる可能性もあるので、取り敢えず三人別々に行動するのは止め、ゴブリンの報酬の受け取りを済ませようという話になった。



 のだが、遂に恐れていたことが起きた。




「ねえ、一緒にパーティ組まない?」

「いえ、三人で遊ぶので結構です」

「そうか、じゃあ暇になったら遊ぼうね、じゃね!」



 勧誘である。一人ならまだよかった。幸いここに居るのは善良なる地球市民。断ればその人は立ち去ってくれるものの、一人が声をかけたのを皮切りに多くの人が声をかけてくれるようになってしまったのだ。


 おい、こっちはフードで顔隠してんだろ!良い加減にしろ!!と思いながら二人の前に立って近寄る人を捌く。捌かれた人を見て諦める人はいたものの、仲間に入れてくれと言ってくる人が減ることは中々なかった。向こうからすれば顔合わせ、あわよくばフレンドコードの交換が目的なのだろう。


 因みに、何でこんなにも多くのプレイヤーが寄って来るのか、という真相にはある冒険者の迂闊な行動があるのだが、その冒険者は運営に罰せられて既にいない。残ったのは美少女とついでにイケメンの仲間になりたいと、淡い期待を抱く冒険者達だけだった。


 冒険者達はよもや三人のうち実に二人のプレイヤーのステータス平均値が、全プレイヤーのステータス平均値である12を割っているとは思っていないのである。


「ギアリー、どうしますか?出直します?」


 僕が自分の2倍を超えそうな巨人に話しかけられている時、こそこそとコノカが提案する。確かにこれじゃあ登録なんて……ってあぁ!おい!お前ら巨人の後ろに列作るんじゃねえ!そんなガチャみたいに運でパーティに加えることねえから。数撃っても当たらねえから!


「いや、ここで逃げるにしても目立ち過ぎた。僕は宿屋の特定なんてされたくないぞ」

「えぇー、流石にそこまでされることはないですよ、自惚れです。自意識過剰です」

「やかましいわ!別に僕のことを言っているんじゃなくて、コノカとシルルのことを言っているんだ。僕がこいつらだったら、コノカ達と、僕らの宿を盗撮して、掲示板に乗っけるぞ」

「そんな変態さんはギアリーだけですよ」

「ギーギー……頭、変?」


 くそ、今は手が離せないが、解放されたら覚えとけよ。世の中にはいるんだよそういう奴が。ソースは僕。


 巨人さんに丁寧に断りを入れると、次の方が来る前にコノカにそっと言う。


「ここは時間を稼ぐからお前ら二人で好きな依頼を取れるだけ取ってこい。そしたら退散するぞ」


 こくりと頷くやいなや、たたたー、と二人が壁際に行くのを見届けると僕は声を張り上げた。


「すまませーん!多くの勧誘と仲間に入りたいというお願いはとてもありがたいですけれど、仲間内で楽しみたいので、全員断らせてもらいます!」


「えー!」

「せっかく並んだんだぞ!」

「え?この列そういう意味だったの?てっきりレアアイテムもらえると思っていただけど?」

「俺は装備だって聞いたぞ」



 どんな尾ひれだ。どうやらこの列の訳には伝言ゲーム的に話が広がった所為もあるようだった。


その後、【挨拶】スキルでやたら様になるお辞儀をペコペコと繰り返していると二人が戻ってきた。


「ギアリー!取ってきましたよ!」

「よし来た脱出だ!」


 僕らはこうしてギルドを抜け出した。……36000の出費の意味、殆どなかったな。











 と、なればどれだけ良かったか。




 本当に厄介な勧誘はまだ、始まってすらいなかったのだ。



 僕らが冒険者ギルドを離れた時、一人のプレイヤーが満を持して現れる。またか、と思っているとその男は自信満々に歩み寄ってきて、声をかけてきた。




「申し訳ない、俺は勝手に名乗っているギルド【夢喰い(ドリーマーズ)】のギルドマスターの『集塵(じゅうじん) 胎土(だいど)』というものだ」



 いや、知りたくねえし。



 しかし、そう言って差し出してきた名刺のような紙には、




【夢喰い】

 ギルドマスター:集塵胎土

 種族/職業:夢喰い/調弦師

 累計レベル:347LV/268LV





 と書いてあった。

 えぇ……めっちゃ廃プレイヤーじゃん。



 もしかして、パワーレベリングと仲間チートで成り上がる系の話が始まるんですか?【ปรัชญา world's δημιουργία】改め【最新鋭のVR始めたらリアルラックがカンスト気味な件】、始まっちゃうんですか?










 なんてな。流石に楽したがりで、無双ゲー大好きな僕であっても、こんな雰囲気イケメンで、ゲームシステムに未実装な筈のギルドの長を務める痛いやつの元でゲームしたいとは思わない。ぬるぬるでほんわかとしたロールプレイができれば十分なのだ。


 コノカとシルルと一緒に自由に遊びたいんだもん。もんもん(はあと)(おんぷ)



 頼むからギルド【夢喰い】の実態がギルド【面食い】じゃありませんように。



 そう思うと、目の前の男が話しかけてきた理由を聞くために名刺から顔を上げるのだった。

 失礼だが、フードは取り顔をみせるつもりはなかった。




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