季節は6月中旬。
太陽の光もだんだんと暑く感じてきた。
日曜日の夜、夕御飯も終わり愛は子供と三人でテレビを見ながらメールをしていた。
相手はもちろん拓斗であるが。
しばらくして、旦那の大和が帰ってきた。
「ただいま」
大和はリビングに入るなり、冷蔵庫からビールをだしている。
「ご飯は食べてきたから」
「あっそう。作ってないけど」
いつものことである。大和はほぼ済ましてくる。
愛は作っても食べてくれないご飯は作らないようにしている。
「最近お前ちょくちょく夜出ていってないか?どこへ行ってるん?」
愛はドキッとした。夜出ていってることはばれてないと思ってたからだ。
「茜のところに行ってるだけだけど。それにそんな行ってないし」
愛が茜と仲がいいことは大和も知っている。
「ふぅ〜ん。別にいいんだけどな。風呂いってくるわ」
大和はビールを飲み干し、風呂場へ向かった。
いいんだったら聞くなよ。愛はムッとした。
「桜も向日葵もお父さんに何か聞かれた?」
「何も聞かれてないよ」
桜が答えた。
向日葵も首を振っている。
「そうか。お父さんにママのこと聞かれても知らないって言っておいて」
二人はうなずいている。
「あっもう、あいつまたこんなところに服置いたまま」
愛は大和がソファーに置いてある上着を片付けようとした。
すると、上着のポケットから携帯が落ちた。
大和は今風呂の中。愛は大和の携帯をそっと覗いてみた。
携帯自体はロックしていなかった。
愛はメールを見てみたが、怪しそうなメールは一つもなかった。
『やっぱりメールは消してるな〜』
愛はこの前拓斗が教えてくれた予測機能のことを思いだし、適当に打ってみようと思った。
いきなり『あ』と打ってみると、『愛してる』という文字が最初にでてきた。
続けてみると、女らしい名前がでてきた。
『莉那』
これがこいつの女の名前だろうか…。
愛はそれから色々試してみた。
『お前だけだよ』『大好きだから』
『今度いつ会う』『この前は楽しかったね』
ほんとどう考えても女とのメールだった。
こんなことだろうとは思っていたが、愛は何故かそれほど腹がたたなかった。
自分には拓斗がいる。それだけで十分だ。
大和はただの生活の一部としか思っていない。
『好きにやってくれ』
愛は携帯をポケットの中へ戻した。
風呂からでてきた大和は、愛に携帯を見られたことも気が付くはずもなく、携帯を触っている。
愛も拓斗からのメールに返事をした。
〈愛は拓斗だけだからね。ずっと一緒にいようね〉
携帯を打ちながら、愛は寂しくなってきた。
拓斗とは、ずっと一緒にいれても今の関係のまま。永遠に拓斗の嫁にはなれないのである。
そんなことを考えていると、悲しくなってくる。
一緒にいるときは幸せだが、帰るときは悲しくなる。
『次はいつ会えるんだろう』
『このまま会えなくなったらどうしよう』
どうしても悪いほうに考えてしまう。
愛は考えれば考えるほど嫌になってきた。
〈拓斗おやすみ〉
拓斗におやすみメールを送ると愛はベットに入った。
『拓斗の奥さんになりたいな……』
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