――ねぇ?どうしていつもソッチを向くの?……
彼は私に背を向けて、煙草をふかしている。
彼の目線はテレビの画面。
セックスの後は、いつもそう。
ベットから降り、ジュウタンの上であぐらをかく。
そして一服。
つんつん。
布団から足を延ばし、足先で彼の背をつつく。
何も反応しない。
『ねぇねぇ』
声を掛ける。それでも彼は何も言わない。
(スルだけが目的?)
考えちゃいけないのは解っている。解っているけど…時々、私は虚しくなる…。
(ねぇ?コッチを向いて…。一緒に居るのに、一人にしないでよ)
ねぇってば。
無言のテレパシー。彼に届くように背中をジッと見つめる。
(コッチを向いて)
だけど…どんなに頑張っても、やっぱり彼は振り向かない。
(本当は私のコト好きじゃないんだ。カラダだけが目的なんだ…)
疑い出すと止まらなくて、いろんな事を考えてしまう。急に心臓がキリキリと痛み出す。唇に力を込める。
我慢していても、目頭がどんどん熱くなっていく。
(きっとホンモノの彼女は他にいるんだ。私は遊びなんだ)
目いっぱいに溢れたものは、頬を伝って流れている。さらに唇を強くつむる。声を出さないように…。
『ひっ…く』
我慢しているのに、声が漏れてしまう。私の泣き声。
驚き振り向く彼。ダラダラ涙を流す私を見て、目をまぁるくする。
『なぁんだおまえ!何泣いてんの!』
彼は大笑い。
『へんな顔して泣くなよ〜』
手を延ばし、私を抱き締めた。
『どうした?』
彼の笑顔が嬉しくて。私は泣き笑いをした。そして、頭を優しく撫でられる。
私はアナタの彼女?
勝手な私の妄想。不安になると出てくる妄想。
そんな妄想も、彼に抱っこされると吹き飛んでしまう。
抱き締められ、抱き締め返し、彼の肌の匂いを吸い込む。大好きなこの匂いを…。
大丈夫。私は彼に愛されている。
こんな単純なコトで元気になれる。
だから、もう一人ぼっちじゃない。
今夜も、彼の腕の中で幸せに眠る……。
FIN |