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バスルーム

夏の夜の川

作者:檸檬 絵郎

    夏の夜、一人の少女が、川辺を歩いていた。


 ヤーソレソレ、ヨーノンノン
 真夏といえども冷たいわ
 ヤーソレソレ、ヨーノンノン
 お花のかんむりサヨウナラ

    木の幹にまる夏の虫に、少女は人魂ひとだまを見た。
    見当違いな挨拶をする。

 こんにちは、真っ白なスミレさん
 明日は十四日、バレンタインですね
 いつまで綺麗でいられるかしら
 ジャスミンの香りはいかがかしら

    人魂は消えた。少女は、意地悪く笑う。
    そして、哀しげに続ける。

 お絵描きは悪くないけれど
 私の真似はしないでね
 こんなに冷たい身体だもの
 お風邪を召しちゃいけないわ
 お水のお家はいいけれど
 お風呂にけちゃハックション
 私はオダマキ、いいえ、違うわ
 なんの話をしているの

    少女は、夏柳やなぎの木の幹に身体をもたせかける。

 おはようさん、デズデモーナ
 こんなに冷たくなっちゃって
 死んじゃったの? 良くってよ
 開かぬ花はサヨウナラ
 ああ、何もかもサヨウナラ
 恋も自由もサヨウナラ
 高い峰から来たりし風よ
 お前は詩人に奉仕した

    少女は枝にのしかかり、きしませながら声を張り上げる。

 ヤーソレソレ、ヨーノンノン
 ヤーソレソレ、ヨーノンノン
 響けよ、鹿の腐りしにお
 ヤーソレソレ、ヨーノンノン

 ヤーソレソレ、ヨーノンノン
 ヤーソレソレ、ヨーノンノン
 雪の炎は花すら燃やし
 ヤーソレソレ、ヨーノンノン
 ……




    夢破れた少女の影を聴き、詩人はその場を後にした。





少女の名前はわからない。
どこかで聞いた名前かもしれないし、そうじゃないかもしれない。

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