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本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 作者:香月 美夜

第五部 女神の化身

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儀式の研究と粛清の報告

 ヒルシュールが去った後、養父様はゆっくりと部屋の中を見回して息を吐いた。

「王族からの助言もあったようなので、私はダンケルフェルガーと共同で研究を進めた方が良いと思うが、実際に研究を進めるのは貴族院に在学している其方等だ。文官であり、領主候補生、そして、神殿長でもあるローゼマインが中心になって進めることになるであろう。ローゼマインは共同研究に関してどのように考える?」
「そうですね。……エーレンフェストの信用と好感度を上げるためにどこかの領地と手を組まなければならないのでしたら、わたくしはダンケルフェルガーが一番良いです」

 養父様は深緑の目でじっとわたしを見据えた。

「ダンケルフェルガーを選ぶ理由は? 研究ならばドレヴァンヒェルの方が周囲の信頼度が上がるのではないか?」
「わたくしが領主候補生のハンネローレ様とお友達ですから、親しい方がいない領地よりもお話を通しやすいこと。古い儀式を行っている領主候補生や騎士見習いが複数の眷属からご加護を得ているため、研究対象として適当であることが大きな理由です」

 魔術具や魔法陣に関する研究ならば、ドレヴァンヒェルと組んだ方が周囲には通りが良いかもしれない。けれど、今回の研究内容が神々のご加護に関する物だ。ドレヴァンヒェルではサンプルにならない。

「それに加えて、ダンケルフェルガーにはハルトムートの婚約者であり、わたくしの側近を希望しているクラリッサがいるため、共同研究が進めやすいですし、共同研究で成果を出せば、クラリッサをエーレンフェストに呼び寄せやすくなります」

 ハルトムートが神官長として神殿に入ったため、クラリッサの親族は婚約を解消したがるはずだ。けれど、共同研究を通じて神殿への見方が多少なりとも変わり、少なくともエーレンフェストの神殿が他の領地の神殿と違うことがわかってもらえれば解消せずに済むかもしれない。

「それに、クラリッサはダンケルフェルガーの上級文官見習いです。ハルトムートと結婚してエーレンフェストに来ることになれば上位領地の社交のやり方を学ぶことができます。上位領地としての振る舞いを求められているエーレンフェストには必要な人材ではないでしょうか」
「なるほど。至急必要な人材だ。婚約が解消されるのは避けたいな」

 王族からも指摘される程だ。エーレンフェストはできるだけ早く上位領地としての振る舞いを身につけなければならない。それを知っている者は上位領地の者だけである。
 ダンケルフェルガーと組むことに養父様が納得して頷くと、今度は養母様が自分の文官に紙とインクの準備をするように言った後、わたしを見た。

「ローゼマインは当たり障りのない研究内容にすると言ったけれど、貴女の考える当たり障りのない内容と当たり障りがある内容について教えてくださいな」
「はい。まず、祈りを捧げることでご加護を得られる確率が上がるということ。次に、真剣に祈らなければご加護が得られないこと。それから、魔力を神々に奉納する必要があること。これらは当たり障りのない部分で、ダンケルフェルガーとの共同研究で仮説を実証したいと思っています」

 ダンケルフェルガーで加護を得られた騎士見習いと得られなかった者の比較などである程度の実証ができると思う。

「ただ、ヒルシュール先生が危惧していたように、ダンケルフェルガーの研究として奪われないためにはエーレンフェスト独自の内容も必要だと思うのです。ですから、儀式の間、魔力の少ない中級や下級貴族は回復薬を使いながら魔力で魔法陣を満たしておかなければならないということを付け加えます」
「回復薬、ですか?」

 養母様が不思議そうに目を瞬いた。養母様は領主候補生なので、魔力が足りなくて魔法陣が満たせなかったということはないはずだ。

「ご加護を得るための魔法陣は大きくて複雑でしょう? フィリーネがご加護を得た時のグンドルフ先生によると、魔法陣全てに魔力を行き渡らせるのは中級以下の貴族には難しく、自分の適性のある部分を最優先に満たすそうです。お祈りを間違えなければ必ず得られる大神のご加護を得られるように。ならば、回復薬を使いながら完全に魔法陣を満たさなければ、適性以外のご加護を得ることはできないと思うのです」
「初めて聞きました」

 養母様は目を丸くしてそう言った。魔力量の違いでカリキュラムも分けられているのだ。儀式を行う際も、魔力的な意味で色々なところが省略されているらしい。

「それから、礎の魔術に魔力供給をする際にエーレンフェストではお祈りの言葉を唱えますよね? 他領では唱えないそうです。これもヴィルフリート兄様のご加護が多かった理由になると考えています。フレーベルタークではどうだったのですか?」
「フレーベルタークでは唱えていませんでした。エーレンフェストで初めて魔力供給をした時には少し驚いたものです」

 エーレンフェストではそうするのだ、と言われ、養母様は言われるままにお祈りの言葉を唱えながら魔力供給をするようになったそうだ。
 やっぱりエーレンフェストだけなのか、と思っていると、養父様が目を瞬きながら「エーレンフェストでも昔からお祈りの言葉と共に魔力供給をしていたわけではないぞ」と言った。

「え!? 昔からではないのですか!? 一体いつからなのですか?」
「確かコンスタンツェ姉上が嫁いだ頃から父上が唱えるようになったのだ。私が貴族院の二年生とか三年生とか……その辺りだったと思う」

 予想とは違って、ものすごく新しい習慣だった。かなり驚いた。

「お祈りをしながら魔力供給をした養父様は眷属からのご加護を得たのですか?」
「……それが原因か否かは知らぬが、得ている」
「父上はどのような神々からご加護を得ているのですか?」

 うぐっと言葉に詰まったまま養父様が視線を逸らす。養母様は養父様を見て、からかうように小さく笑った。

「ジルヴェスター様、子供の質問ですよ。教えてあげてはいかが?」
「……リーベスクヒルフェとグリュックリテートだ」

 リーベスクヒルフェは悪戯好きでドレッファングーアから糸を盗んでは男女を結びつける縁結びの女神で、グリュックリテートは試練を乗り越えれば幸運を与えてくれる試練の神である。

 ……貴族院時代に得たご加護だと思うと、恋愛一直線にしか見えないね。きっとフィリーネがメスティオノーラに祈るのと同じくらい真剣にお祈りしていたんだろうな。

「それで、ローゼマイン。当たり障りのある研究内容はどのようなものですか?」
「お祈りや奉納をするようになれば成人してからでもご加護が増えるか否かを調べたいと思っています。わたくしの側近は頻繁に神殿へ出入りしていますから、それでご加護が増えるかどうかを調べたいです」

 貴族院で加護を得るのに失敗しているアンゲリカの救済やダームエルが増加していないかどうかは非常に気になるところだ。フィリーネのご加護が増えているならば、他の人も増えている可能性はある。

「それに貴族院ではなく、領地の神殿でも同じようにご加護を得られるのかどうかも実験してみたいです。その辺りの検証が上手くいけば、ご加護に関しても周辺領地より大きなアドバンテージを持てると思うのです」

 領地内で成人でも加護を得られるのであれば、魔力的にはかなり助かると思う。完全に全てを公表するつもりはない、と言うと、養父様が不可解そうな表情でゆっくりと顎を撫でる。

「だが、エーレンフェストで実験するにしても魔法陣がない……其方、まさか持っているのか?」
「まだ持っていませんけれど、儀式の時に書字板に描きましたからこれから作るつもりです」

 書字板に描いた魔法陣はすでに紙に書き写してある。その通りに作れば魔法陣自体は作れるはずだ。領地でこっそり作るのであれば、誤魔化すための模様も必要ないので比較的早くできると思う。

「魔法陣の中央に立ったところで誤魔化すための模様が多くて魔法陣を把握できぬだろう? 其方の身長ならば尚更だ。一体どのように写したのだ?」

 わたしは階段の上から見たし、自分の魔力で魔法陣が光って浮かび上がっているように見えたので、簡単に書き写せた。普通はその場で書き写せるようなものではないらしい。加護の儀式で神々の像が動いて道が開くのが珍しいことはヒルシュールの口ぶりでわかっていた。フェルディナンドに相談してから公表した方が良い案件だと思う。

「ローゼマイン、どのようにして描いたのだ?」

 養父様が少し身を乗り出してきた。わたしは必死で頭を回転させる。フェルディナンドが公表しても良いと言った時のために、嘘ではなく、真実をほんのりと混ぜながら誤魔化すのだ。

「……か、神々のお導きです!」
「はぁ? 神々のお導きだと?」
「そうです。神がわたくしに写せと囁いたのです」

 わたしはニコリと笑った。嘘は言っていない。神様が上においでと道を空けてくれたのだから。養父様だけではなく、側近達も含めて部屋にいる全員からものすごく胡散臭そうに見られたので、わたしは急いで話題を変える。

「ところで、粛清の結果はどうだったのですか?」

 その途端、皆がハッとしたように養父様へ視線を向けた。養父様は表情を引き締める。貴族院の学生達にとっても大事な案件だ。これに関しては説明が欲しい。

「すでに連絡していたように、ひとまずの粛清は終わった。他領の第一夫人に名を捧げて忠誠を誓う者、それから、不正を行い、エーレンフェストに不利益を与えた者を排除できた。名捧げをしていた者以外は捕らえて取り調べを受けている最中だ」

 ゴクリと唾を呑む音が響いた。
 養父様の説明によると、今は取り調べや処分の決定などの事後処理に追われているらしい。そのため、騎士団長であるお父様はエーレンフェストから離れられないそうだ。

「名捧げをしていたことで処刑になった者だが、まず、ギーベ・ゲルラッハとその家族。それから……」

 養父様の口からゲオルギーネに名捧げをしていたことで処刑になった者の名前が発表される。マティアスやラウレンツから聞いていた名前がほとんどで、十人にも満たない。実際に処刑される者がそれほど多くなかったことにわたしはホッと安堵の息を吐いた。これならば、名捧げをしなければ生きていけない子供はそれほど多くないはずだ。

「よって、貴族院の学生で名捧げしなければ連座で命を失う者はマティアス、ラウレンツ、ミュリエラ、バルトルト、カサンドラの五名。それ以外の者はすぐにとは言えないが、家族の元に戻ることができる」

 バルトルトはヴィルフリートに、カサンドラはシャルロッテに名捧げをする予定になっているのだが、こうして親の処分が決まってしまうと、わたしに名捧げをする子が意外と多かったことに気付いた。

「残念ながら、ギーベ・ゲルラッハは自爆だ。ボニファティウスが先陣を切って突っ込んでシュタープで捕らえようとしたが、捕縛よりも自爆の方が速く、証拠になりそうなものは腕しか残らなかったと聞いている。指輪と家紋、それから残っている魔力から本人の物だと判断したそうだ」

 マティアスの家族だとわかっている。それでも、ゲオルギーネの忠臣で、わたしを付け狙っていたゲルラッハがいなくなったことにわたしは安堵の息を吐いた。これでわたしとその周囲の危険はぐんと減ったのだ。

「其方等が貴族院にいる冬の間に捕らえている者の取り調べ、及び、処分の決定を行う。罰金などの金銭で片付く者に関しては貴族院が終わる時には自宅に戻れるようになっているはずだ。処分が重く、しばらくの間労役に服す者の子供は家族の労役が終わるまで城の寮で過ごすことになる。これは孤児院で保護された子供に関しても適用される」

 マティアスの進言で粛清が前倒しになったが、最初の打ち合わせ通りに事は進んでいるようだ。もう親に会えないのではないか、と不安がっていた子供達の大半は時間がかかっても家族の元に戻れそうである。

「養父様、孤児院に集められた子供達は何人いますか? 食料や布団を運び込んでくれましたか?」
「あぁ。ローゼマインが孤児院の様子を気にする、とよく理解しているようだな。孤児院の子供に関してはハルトムートから報告書を受け取っている」

 養父様が視線を動かすと、文官の一人が書類の束を渡してくれた。わたしはその書類の束にさっと目を通す。孤児院に新しく入った子供は十七名で、名前と年齢、親の名前、ヴィルマの所感が書かれていた。やはり精神的に不安定な子供も多いようだ。けれど、貴族として育てられているせいか、5歳くらいの子供は感情を見せないように歯を食いしばって耐えていたり、泣くのを必死で堪えていたりするらしい。

 家族を恋しがって泣く子供達の姿が思い浮かんでギュッと胸が締め付けられた。わたしは家族と引き離される悲しさを知っている。家族と離れた時に自分も泣いたことを思い出して奥歯を噛み締めていると、シャルロッテが養母様に子供部屋の様子を尋ねた。

「子供部屋の子供達はいかがですか?」
「大変なことが起こったので、と一度は子供部屋の全員を一カ所に集め、粛清が終わってからそれぞれの家族に迎えに来てもらいました。今回の粛清は本当に大掛かりで、文官や側仕えの一部も参加していたので、子供達を一カ所に集める方が守るためにも都合が良かったのです」

 そして、迎えに来るはずの家族が捕らえられ、部屋に残された子供達には粛清やこれからの話をしたそうだ。子供部屋には名捧げをしなければ生きていけない子は本当に少数で、これからどのようにしたいのか、何度も話をしているらしい。

「……養母様、ニコラウスはどうなりましたか?」

 お父様の第二夫人であるトルデリーデの息子ニコラウスはわたしの異母弟に当たる。ほとんど顔も合わせたことがないけれど、時折、何か言いたげに視線を向けてくるので気にはなっていた。

「準備した子供部屋にいます。トルデリーデの処分がはっきりと決まってから、どのように扱うのかカルステッドが話し合うと言っていました」

 ただし、お父様は粛清の後始末に奔走し、この後冬の主の討伐も控えているため、ニコラウスと向き合うのはしばらくたってからになるだろう、ということだった。

 ……きっと心細いだろうな。

 わたしが一人で耐えるニコラウスの姿を思い浮かべていると、ヴィルフリートがクッと顔を上げる。

「子供達に関しては予定通りに進んでいることがわかりました。……父上、ゲオルギーネ様に名捧げしていた方の記憶を覗くことはできたのですか?」
「……数人はできた。碌な記憶はなかったが」

 騎士団が捕らえるために向かったところ、騎士団の姿に気付くや否や自爆する者が何人もいたらしい。討伐として殺してしまうならば簡単だったが、ゲオルギーネとの繋がりや証拠を得るには生け捕りにしなければならない。それが非常に大変だったそうだ。

「母上に名捧げをしている者や不正に関わっただけの旧ヴェローニカ派は多少の抵抗はあったものの、すんなりと捕らえることができた。だが、姉上に名捧げをしていた貴族は騎士団の姿を見た途端に自爆した者、ボニファティウスが少しやり過ぎた者もいて、碌に捕らえられる者がいなかった。記憶を覗くための頭があまり確保できなかった」

 死んでしまうと記憶を覗くのに色々と制限がかかるらしい。わたしの記憶を見るのにフェルディナンドが指示を出して見たいものを見ていたが、その指示が出せなくなるし、時間経過とともに記憶が急速に劣化していくそうだ。

「おまけに、残っている記憶も碌なものがなかった。姉上がゲルラッハに立ち寄ったこと、姉上の言葉に彼等が熱狂的に大騒ぎしていたことはわかったが、姉上が何を言ったのかは聞き取れなかったと聞いている。困ったことに全員分、まるで記憶が歪められているように視界も音も歪んでいたそうだ」
「何ですか、それ? 意図的にそのようなことができるのですか?」

 名捧げをした者の記憶は覗けなくなるような法則があるのだろうか。わたしの疑問に養父様は苦々しい顔になった。

「マティアスの報告の中に、夏の終わりだというのに暖炉に火が入っていて甘ったるい匂いが充満していたという言葉があったのを覚えているか?」
「はい」
「薬に詳しい文官の一人がトルークではないかと言っていた。記憶を混濁させ、幻覚を見せるような作用のある強い植物でエーレンフェストにはないが、貴族院で危険な植物として教えられたことがあるらしい」

 それが使われたようだ、と言った後、養父様は疲れたような溜息を吐いた。

「姉上はかなり用意周到だ。自分のところまで手が届かないように幾重にも手を打っていると感じた。それだけの執念と目的を達するための知識には恐れ入る」

 名捧げをした自分の臣下が捕らえられた時にどのように扱われるのか知った上で、証拠や記憶を残さないように対策を練っているゲオルギーネの周到さにわたしも舌を巻いた。考え無しと言われるわたしではとてもそんなに何重にも手を打つようなことはできないし、思いつかない。

 そんなに良い頭があるならば、他領を手に入れようとするような碌でもないことに頭を使わずにもっと建設的なことに使えばいいのに、と思わずにいられない。世の中にはもっと素敵なことがたくさんあるはずだ。

 ……そう、例えば図書館を作るとか、世界中のお話を集めるとか、本を作るとか。

 わたしがゲオルギーネの執念に溜息を吐いていると、シャルロッテはニコリと笑いながら養父様を慰め始めた。

「お父様、記憶は覗けずにゲオルギーネ様との繋がりや確たる証拠はなかったかもしれません。でも、今回のことでゲオルギーネ様に名捧げをしていた方を排除することはできたのですから十分な成果ではありませんか。マティアスの進言がなければ、粛清が失敗していたかもしれないのですよ」
「シャルロッテ……」

 養父様が驚いたようにシャルロッテを見つめる。微笑んで養父様を見つめ返すシャルロッテは養母様ととてもよく似ていた。

「ゲオルギーネ様はこれ以上エーレンフェストで好き勝手はできないでしょう? ギーベ・ゲルラッハも処刑されたのですから、礎の魔術を手に入れようと思っても手引きをする人もいないのです。ですから、落ち込まずにエーレンフェスト内を統一する方に目を向けましょう。ね?」
「……シャルロッテの言う通りだな。好き勝手できるだけの臣下はもういない。エーレンフェストにおけるローゼマインの身は安全になる」
「えぇ。何度もお姉様を苦しめた者を排除することができたのです。わたくしはそれで十分です」

 シャルロッテの言葉に養父様だけではなく、護衛としてアウブ夫妻に同行していた騎士達の表情も少し緩んだ。

「三人のギーベを処刑したので、しばらくはエーレンフェストの各地で魔力が不足しそうだが、幸運にも魔力が有り余っている者がエーレンフェストにはいる。試練の神 グリュックリテートに祈りと感謝が必要かもしれぬな」

 養父様がわたしを見ながらそう言ってニッと笑い、クイッと手を動かすと、騎士の一人がおずおずとした様子で魔石がたくさん入った袋を持って来た。

「これでしばらくは大丈夫だろう。これまで溜めた魔力を放出し、なるべく圧縮率を下げるようにしろ。そうすれば、体内の魔力量が減って、それほど問題なく魔力を扱えるようになるはずだ」
「え?」

 養父様からそんな助言がもらえるとは思っていなくて目を瞬いていると、養父様は昔を思い出すような懐かしい顔をした。

「貴族院の一年だったフェルディナンドが初めて魔力圧縮を覚えて馬鹿みたいに圧縮した時も魔力が増えすぎて扱いきれなくて途方に暮れていたのだ。その時に一度魔力を大量に使って圧縮率を下げていたと思う」

 私の記憶が確かならば、と付け足されたことで非常に不安になったけれど、貴重な助言にわたしは魔石が大量に入った袋を笑顔で抱え込んだ。

「養父様、教えてくれてありがとう存じます。これからやってみます」
儀式の研究に関する話し合いと粛清の報告でした。
おじい様が突っ込んでいきましたが、ゲルラッハは自爆しました。
ゲオルギーネ様は用意周到。記憶さえも残しません。

次は、領主候補生の講義を終わらせます。
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