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本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 作者:香月 美夜

第二部 神殿の巫女見習い

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閑話 貴族街訪問

 わたくしはフリーダ、8歳の商人ギルド見習いです。
 寝る前に着替えている時、ブレスレットの魔石の色が少し変わっていることに気が付きました。黒の小さな魔石が並んだブレスレットですが、そのうちの一つが透きとおっています。

「あら、もうこんな時期ですのね」

 貴族と契約している身食いのわたくしは、溢れる魔力を受け取ってくれる魔術具を契約主から与えられています。その魔石の色が変わってきたのは、魔力がかなり溜まってきた兆候です。契約主であるヘンリック様のところへ行かなければなりません。

「おじい様、ヘンリック様に面会をお願いしてくださいませ。魔石の色が変わってまいりました」

 わたくしは翌朝おじい様にお願いしました。貴族街に入るには許可が必要で、未成年であるわたくしは、おじい様と一緒に向わなければならないのです。

「もう、そんな時期か」
「えぇ、今回もお土産はカトルカールで良いかしら?」
「先方が気に入っているようだから、それで良かろう」
「では、今回はルムトプフを混ぜた物にいたしましょう」

 冬の新作カトルカールは、マインに教えてもらって作ったルムトプフを細かく切って生地に混ぜ込んだ物です。生地に混ぜるルムトプフのちょうどよい量を探すために、失敗作も多く出ましたけれど、イルゼの努力でとてもおいしく仕上げることができました。このカトルカールはお酒の香りが強く、貴族の男性にも人気が高い一品となっています。
 ただ、ルムトプフ自体が試作品だったため、それほど多くのカトルカールを作ることができませんでした。この夏はもっと多くのルムトプフを作ると、イルゼは張り切っています。

「そろそろ新しい商品が欲しいが……」

 そう言いながら、おじい様は意味ありげに厨房の方へと視線を向けました。厨房にいるだろうイルゼも、わたくしも新しい商品が欲しいとは思っています。

「マインが捕まりませんものね」

 ベンノさんが周囲に対して徹底的にマインの存在を隠そうとするので、マインを捕まえるのは大変なのです。ギルドに提出する書類関係は全てギルベルタ商会を経由して来ますし、本来ならば、ギルドを通じて行われるお金のやり取りや春に行われる年に一度の収支報告さえ、ベンノさん経由で行われます。
 商人ギルドの会員でありながら、マインは驚くほど商人ギルドに顔を出さない工房長なのです。

 その癖、売り上げは街の中でもかなり大きい工房になっています。植物紙と絵本、冬の手仕事として作られ、売られ始めたおもちゃの数々。
 マイン工房から出されているのは、一見数は少ないですが、どれもこれも高価で利益が高いものばかりです。そして、ギルベルタ商会が取り扱っている新商品の数々もマインから権利を買ったものでしょう。

「ギルベルタ商会からは次々と新商品が出ていますものね。……本来の服飾とは全く関係のない商品まで」

 リンシャン、髪飾り、新しい形のハンガーあたりは本来の仕事からそれほど離れていませんけれど、植物紙や絵本、玩具、書字板なんて服飾関係のお店には全く関係がない商品です。

「だが、マインが関わっているのは商品だけではないだろう?」
「えぇ」

 商人ギルドへと持ち込まれてくる契約書の中でも、マインの名前がついている物は、インク協会との契約、鍛冶工房のパトロンとしての大型注文、木工工房への大型の注文、ベンノさんが開く予定の食事処の共同出資者……どれもこれも大金が動くものばかりなのです。

「巫女見習いとして神殿に入ったと言っていたのに、マインは一体何をしているのかしら? 普通の商人よりよほど高額の取引をしているように見えるのだけれど」

 カトルカールの契約が切れたというのに、マインはこちらにちっとも顔を見せませんし、連絡もしてきません。カトルカールはこのまま独占していてもよいのかしら。何の連絡もないので、このまま独占するつもりですけれど。



 魔石の色が変わり始めてから十日ほどたって、ヘンリック様からの面会許可が下りました。お約束の日は5の鐘を聞いた後、おじい様と一緒に貴族街へと向かいます。

「では、行くぞ」
「はい、おじい様。お母様、いってまいります」

 馬車に乗り、おじい様と並んで座ると、バタリと扉が閉められます。ガタンガタンと揺れる馬車の中で、手首のブレスレットがゆらゆらと揺れて存在を主張してきました。

「ずいぶんと色が変わっているな」
「早くヘンリック様に渡して、空にしてもらわなければなりませんわね」

 このブレスレットをヘンリック様に渡すと、魔力を空にした状態でまた返されます。わたくしの用件はそれだけですが、魔力を空にするためには時間が必要なようで、いつも夕食に招待されるのです。

「これが昼食ならばもう少し気が楽なのですけれど……」
「夕食への招待は我々を正式な客として遇してくださっている証だ」
「お断りができないことは存じております」

 夕食に招待されると、当然のことながら閉門の時間を過ぎてしまうので、ヘンリック様の館に泊まることになります。泊りともなれば、湯浴みをしなければなりません。

「マインに言われて、少し湯につかる時間を短くするように心がけるようになってから、気分の悪さは軽減されましたけれど、熱さで少し気分の悪くなる貴族の湯浴みは、まだ好きになれないのです」
「……それは慣れるしかないな」

 くっと小さく笑うおじい様は、わたくしが長時間かけて湯浴みをさせられている間、執事と商談をしているのです。わたくしは少しだけ膨れて見せました。

「わたくしは湯浴みより商談の方が良いのですが、我慢しているではありませんか」

 馬車は大通りの突き当りにある神殿の前で右に曲がりました。神殿と同じ素材で作られている白くて高い壁がずっと続いています。貴族街と下町を区切る白い壁に沿ってしばらく走ったところに貴族街への入り口があるのです。

「数百年ほど昔は貴族街のみが街だったのでしょう? わたくし、先日習ったのです」
「あぁ、そうだ。今の領主様のご先祖様が領主となった時に街が拡大されたと言われている」

 余所の貴族が攻め込んできて、領主が街を守り切れなかった場合、次の領主は以前の領主より力が強いのが普通です。そうすると、新しい領主の力に合わせて、街が拡大されるらしいのです。

「それまで使われていた街が貴族街として一新され、南側に平民のための町が作られたのでしょう?」「そうだ。それに、検問のために旅人の足止めをしていた正門前の宿泊施設が神殿として利用されるようになったそうだ。今も貴族の方々は神殿の奥にあると言われている貴族門を使って出入りしているそうだが、我々には関係のないことだ」

 おじい様の言う通り、昔は門番のための通用門だった、それほど大きくはない門を北門として、わたくし達平民は貴族街へと出入りするのです。

 北門に立つのは、下町の兵士と下級貴族の騎士が数名です。通行料を払った後、心付けとして商品をいくつか騎士達に渡します。その後、許可証が改められ、貴族街へ入る目的や行き先を聞かれます。
 騎士の目が明らかに平民を見下したもので、心は波立ちますが、それを気にしていたら、将来ここで暮らしていくことはできないでしょう。わたくしが不愉快な眼差しにも笑顔でいられるようになるのに、それほどの時間はかかりませんでした。

「よし、では、乗り換えを」
「かしこまりました」

 下町で使われる馬車は汚れているため、北門で貴族街を走るための馬車に乗り換えます。そして、全く汚れのない美しい白の街並みを、ほとんど揺れることのない快適な馬車で走るのです。

「この馬車、下町でも使いたいといつも思うのですけれど……」
「揺れを軽減するのに魔術具が使われているらしいからな。難しかろう」

 下級貴族であるヘンリック様のお屋敷は北門から比較的近い場所にあります。門に近いほど安いのは下町も貴族街も同じなのでしょうか。

「お待ちいたしておりました、フリーダ様」

 執事が出迎えてくれ、客間へと通されます。我が家の客間と似たような雰囲気であるのは、おじい様がヘンリック様の家を真似られたせいです。我が家と違って、魔術具が当たり前に使われておりますので、見た目は似ていても大違いなのですけれど。

「待たせたな」

 ヘンリック様がいらっしゃいました。
 わたくしと契約した時が17歳だったので、今は20歳でしょうか。見た目通り誠実でおっとりとした雰囲気の貴族様です。二年前にお父様を亡くされて、若い身の上で当主として苦労していらっしゃるそうです。

 ヘンリック様には正妻とお子様がいらっしゃいますが、第二夫人はいらっしゃらず、平民のわたくしが成人すると妻の立場には数えられない愛人という立場になります。経済的には我が家に頼っている状態だと言えるでしょう。

 ヘンリック様はお金には少々苦労している貴族ですが、基本的に真面目で温厚な一族だからだ、とおじい様はおっしゃいました。後ろめたいことや、平民から無理やり搾取するようなことをしていないせいだろう、と。そのような人柄からわたくしの契約相手として選ばれたそうです。

「水の女神 フリュートレーネの癒しにより緑萌ゆる良き日、神々のお導きによる出会いに、祝福を賜らんことを。……お久し振りに存じます、ヘンリック様」

 貴族らしい長々とした挨拶を交わします。季節ごとに称える神が変わる面倒な挨拶をしている時に、マインから買った絵本のことが、ふっと頭を過りました。

 ……そういえば、眷属に関する絵本を作ると言っていたけれど、できたのかしら。

 マインが作っていたのは、表紙を好きなように作り直すことができる絵本です。白黒の絵本ですが、神様についてとても分かりやすく書かれていて、挿絵もとても美しいのです。わたくしは以前に買った神の絵本に眷属の絵本を全て揃えてから、皮の表紙を作るつもりです。

「フリーダ嬢、手を……」

 ヘンリック様の声にハッとして、わたくしはブレスレットの付いた左手を差し出しました。どこからか取り出された光る棒で、軽くブレスレットを叩くようにして、ヘンリック様が小さく一言呟きます。すると、ブレスレットは大きさを変えて、取り外せるようになるのです。

「あぁ、かなり色が変わっているな。体に不調はないか?」

 取り外したブレスレットを見て、ヘンリック様は眉を寄せました。契約をした平民が相手でも、ヘンリック様はあまり尊大な態度を取りません。とても好感が持てます。

「大丈夫ですわ。お心遣いに感謝いたします」
「では、後ほど。食事の席で」
「かしこまりました」

 ヘンリック様はブレスレットを持って退室し、その後は執事が入ってきておじい様と商談が始まります。夕食までの間、わたくしは女性の側仕えに呼ばれて、夕食前の湯浴みをして、身なりを整えなければなりません。この館へ来た時の一番の苦行が始まるのです。



 時間がかかって疲れ果てるお風呂を済ませた後の夕食の席では、基本的に下町の最近の情勢が話題となります。商品の流通やわたくしの教育についての話題を無難にこなし、イルゼが順調に増やしているカトルカールの新しい味の話をいたします。

「カトルカールは成人して家を出たばかりの弟が好んでいるのだ。私は甘すぎる菓子は得意ではないが、これは酒の香りが強くて、甘さが控えられていて食べやすい」

 どうやら、ヘンリック様よりも騎士の弟君が甘いものを好んでいらっしゃるようです。その弟君は、秋に騎士として護衛の任務にあたっていたけれど、大きな失敗をしてしまい、罰金が必要になった方です。我が家が用立てたのですけれど、一体どのような人物なのでしょうか。わたくしはまだ面識がございません。

「旦那様、少しよろしいでしょうか」

 執事がやや青ざめた顔で、何事かヘンリック様に耳打ちいたしました。ヘンリック様はすぐさま立ち上がります。

「すまない、フリーダ嬢。火急の要件ができた。今日はここで失礼する」

 ヘンリック様が食事の途中で執事と食堂を出て行ってしまいました。あれこれと詮索するのは、よろしくないので、おじい様と料理の味について無難な話をしながら食事を終えます。

「では、おじい様。おやすみなさいませ」
「あぁ、良い夜を」

 おじい様には男性の側仕えが付き、わたくしには女性の側仕えが付けられ、客間へと案内されます。わたくしが案内されるのはいつも使っている客間で、湯浴みの時も使った部屋です。

「どうぞ、フリーダ様」
「……あら?」

 確かに湯浴みの時にはわたくしの荷物が運び込まれて準備されていたはずなのですが、今はわたくしの荷物が見当たりません。
 首を傾げつつ、わたくしは寝台へと向かいました。側仕えの女性が寝台の天幕をするりとめくります。

「では、こちらの寝台を……きゃっ!?」

 側仕えの女性が悲鳴を上げました。わたくしが使う予定の寝台に横たわっている男性がいました。ヘンリック様とよく似た面差しで、きつく眉をよせ、苦しそうに呻いていらっしゃいます。

「ダームエル様!?……あ、あの、フリーダ様。執事に事情を確認してまいります」

 動転したように側仕えが踵を返して部屋を出て行きました。
 荷物の移動がされているということは、わたくしには別の部屋が準備されていて、連絡がうまくいっていなかったということでしょうか。

 ……困ったわ。どうしましょう。

 側仕えを追いかけて部屋を出るわけにもいかず、意識がないとはいえ殿方と二人だけで部屋に取り残されている状況も気まずく、わたくしはゆっくりと息を吐きました。

「大変申し訳ございません、フリーダ様」

 泡を食ったような顔で執事が部屋と飛び込んできました。
 本来ならば、ヘンリック様の弟君は騎士寮で生活をしているけれど、騎士団の任務中に大怪我をして、癒しを使える者が来るまで、貴族門からもっとも近い実家へと搬送されたそうです。弟君は意識がない状態なので、部屋を整える時間もなく、すでに整っている部屋へと運び込まれたそうです。

「フリーダ様には別のお部屋を準備させておりましたが、気が動転していて連絡がうまくいっていなかったようです。大変申し訳ございませんでした」
「旦那様の弟君が意識不明で運び込まれれば、気が動転するのも無理はございませんわ。お部屋が準備されているなら、わたくしはそちらに移動いたします」

 事情がわかってホッと息を吐いた時、窓から光の固まりが飛び込んできました。寝台で眠るダームエル様の上でくるくると回り、光の粉をまき散らします。真っ暗の部屋の中に光の粉が散る様はとても美しく幻想的な風景でした。

「……これも魔術でしょうか。なんて綺麗」

 わたくしが手を伸ばしても、光の粉は意思があるようにふわりと避けていきます。
 くるくると舞い散る光の粉に目を奪われていると、突然ダームエル様が飛び起きられました。

「無事か、巫女見習い!?」
「え!?」

 上半身を起こすと同時に、手には光る棒が握られていて、ダームエル様は何かと戦っているような険しい表情で辺りを見回し、直後、面食らったような顔になりました。

「……ここはどこだ?」

 おそらく意識が途切れた時と混同されていらっしゃったのでしょう。混乱したような顔で眉を寄せるダームエル様の前に執事が進み出ました。

「ダームエル様、お体の調子はいかがでしょうか? 意識不明で屋敷に運び込まれてまいりましたが」
「体は何ともない。光の残滓から考えても癒しが利いたのだろう」

 ダームエル様は自分の腕を見下ろして、そう言った直後、ざっと顔色を変えられました。

「私は急ぎ騎士団へ戻らなければ」
「ダームエル様、少しお体の様子を見た方が……」

 ダームエル様は、先程まで意識もなく呻いていたようには全く見えない程の身のこなしで、寝台から滑り降りると、バルコニーに向って駆け出し、大きく窓を開けました。

「護衛任務の途中なのだ! またしても、任務失敗ということになれば、私は……」

 ダームエル様が腕を振るだけで、バルコニーには白い大きな羽のついた馬が現れました。そして、それにひらりと跨って、ダームエル様は険しい顔で空に向かって飛び立ちます。暗くなった夜空に白い翼が大きく動くのが見えました。

 光の固まりが飛び込んできてから、ダームエル様が飛び立っていくまでは、あっという間の出来事で、取り残されたわたくしと執事は呆然としたまま、見送るしかできませんでした。

「……フリーダ様、お部屋に案内いたします」
「えぇ、お願いします」

 引き留めることもできず、見送ってしまった執事が我に返って、わたくしを新しく準備された部屋へと案内してくれました。

 寝台に上がって、わたくしは先程のダームエル様の言葉を思い返します。「無事か、巫女見習い」と確かにおっしゃいました。今、神殿にいる巫女見習いはマインしかいないはずです。ダームエル様が護衛の任務中に大怪我を負ったということはマインも何かに巻き込まれている可能性が高いと思われます。

「一体何があったのかしら?」

 たとえ、ヘンリック様に尋ねたところで、貴族がそう簡単に事情を教えてくださるわけがございません。わたくしがマインの友人だと言えば、もしかしたら、教えてくださるかもしれませんが、マインが巻き込まれている事情によっては、こちらにとって困る状況になる可能性もあります。わたくしとマインの関係を明らかにするのは、止めておいた方が無難でしょう。

「せめて、生死だけでも確かめなければ……」



 次の日の朝食の席で、ヘンリック様から昨夜のダームエル様に関するいざこざを謝罪されました。

「私の弟のことで連絡がうまくいっていなかったようだ。失礼した」
「いいえ、お気になさらず。わたくし、初めて貴族の方々が使う魔術を間近で見ました。とても美しく、不思議で、得をした気分です」

 朝食後、全ての魔石が黒に戻ったブレスレットを付けていただき、ヘンリック様の館を辞去して家に戻ります。

「おじい様、調べたいことがあるのです。奥の資料室の鍵を貸してくださいませ」

 わたくしは、急いで服を着替えると商業ギルドへと向かいました。
 ギルド長が許可した者しか入れない、契約魔術に関する書類を集めた部屋で、マインがベンノさんと交わした契約の書類を探すためです。誰でも閲覧できる資料室と違って、こちらに保管されている契約書類には契約者が死んでいたら、何がしかの変化があるはずなのです。

 滅多に使われることがない契約魔術の資料なので、マインが交わした契約に関する書類を見つけることはそれほど難しいことではありませんでした。

「……ローゼマイン?」

 わたくしが手にした書類には、ベンノさんとルッツとローゼマインが契約したことになっています。
 身食いとの契約ならば改名する必要がないのに、改名しているということは貴族に取り込まれたに違いありません。わたくしも話を持ち込まれたことがあるように、マインはおそらく貴族の養女となったのでしょう。

 マインのあの商品知識について知り、価値を見出した貴族がいるのです。影響がこの街だけにとどまるとは思えません。
 わたくしは書類を握って、ギルド長室へ急ぎ足で駆け込みました。

「大事なお話がございます。これを見てくださいな」

 ローゼマインへと改名されている契約魔術の書類を見たおじい様が大きく目を見開きました。

「……マインが貴族と契約をしたのか? 確かに、身食いの女子ならば、貴族の養女となることもできるだろうが、あのマインが?」

 ぎりぎりまで家族といたいから貴族とは契約しないと言っていたマイン。家族と離れるならば、死ぬ方を選ぶと言っていたマインが貴族の養女となったのです。

 わたくしは貴族になりたいのではなく、商人になりたいと思っていました。金勘定をして過ごしたいのです。それをおじい様に伝えて、最適な方と契約いたしました。
 おかげで、将来、貴族街に店を構えることもできますし、成人するまで家族と過ごすこともできるようになりました。わたくしは自分の選択に納得しております。……けれど、マインは?

「おじい様、ベンノさんを呼んでくださいませ。ベンノさんなら何か事情を知っているはずです」
 フリーダの契約相手は、感想にあった通り、ダームエルのお兄さんでした。
 怪我が治った瞬間、真っ青で飛び出したダームエルも、ギルド長の呼び出しを受けるベンノさんも、頑張れ。

 次回は、ジルヴェスター視点で、養女となる子供です。
+注意+
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