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手の中
作:枝豆


もし、もしも、あなたの彼氏を好きだといったら、怒りますか??





私には好きな人がいます。
小さいときから大好きな彼。
告白をしようと思った。でも、今までの「幼馴染」を壊したくなくて、
他の言い寄ってきたへらへらした男たちと遊んでいた。
彼は、「そんなやつらと一緒にいるなよ!!」といった。


「なら、君が朝まで一緒にいてくれる??」


冗談のつもりだった。もちろん、彼が迎えに来てくれたのにこんな奴等と一緒にいる意味なんてない。


一瞬戸惑った彼だが、
「いいよ、別に。お前の家親いないもんな。」
そういって、彼は私に手を差し出してくる。私はその手をしっかり握り締めて、立ち上がる。

私の両親は、父親・教師 母親・看護師
どちらも、公務員である。
私は、小さいときから一人でよく留守番をしていた。
そこには、よく彼も一緒だった。
彼の両親は離婚していて、家には母親しかいない。
彼の母も、看護師だ。

私の母と彼の母は、同じ病院に勤めていて、家も近い。
なので、よく一緒に留守番をさせられた。


そのころの私は、男の子と女の子の違いなんて何もないと思うほど子供だった。
実際、4・5歳だから子供なのだが。



そのころから彼は、優しかった。今と同じように、いつもは無口なのに、時々見せる笑顔や
差し出される手は、温かかった。その手をしっかり握り締め、私は立ち上がる。
私は、その手があったから立ち上がれた。立ち上がった後の彼の笑顔がまたなぜか嬉しくなった。






それから、約十年。男の子と女の子の違いを知らなかった私は、遠い昔の話である。
精神的にも肉体的にも、根本的にも、全てが違うことにこの十年で嫌でも気付かされた。



私に、彼氏ができた。とてもいい人だ。優しいし、それなりにかっこいい。頭もそれほど悪くなく、スポーツも他の男子に比べてできる。こんな人に告白された私はどんなに幸せ者だろう。
でも、「彼氏のこと好き??」と聞かれると、言葉を濁してしまう。



あの彼にもいつの間にか彼女ができていた。
美人とはいえないが、彼は彼女とうまくやってるようだ。



彼に彼女ができてから、私は彼と話ができなくなっていた。
彼が彼女といると、思わず顔を背けてしまう。








私は、そのたびに感じる。いや、ずっと前から気付いていた。


私はまだ彼のことが好きなのだと。小さいときに感じた、あやふやなものではなく、はっきりとした気持ち。




小さいころ。私が男女の違いを知らなかったころ。
私に向けて、私だけに向けて差し出されたあの温かい手のなかに、今は違う人の手がある。



恋人同士が手をつなぐのは当たり前のこと。私たちもつないでいる。




でも、私はどうしても彼たちのほうを見れなかった。特に登下校のときは。
いつも、二人仲よさそうに手をつないで笑顔を浮かべながら。

私は、その光景を見るたび泣きたくなった。
 
「もう、もうあのころには戻れない。。。。」

私は、昔に戻りたかった。あのころに。彼の手のなかに私の手があったころに。


数ヵ月後。私は彼と別れた。

彼を忘れられなかったから。彼とやり直したかったから。


私は学校の帰り彼に会いたいと思った。
私の足は彼の家へと向けて歩いていた。


彼の家に近づくとなんだか周りが騒がしい。やけに顔の青い人がおおい。
黒い服を着た人達がほとんどだ。


私は、嫌な予感がした。足が次第に速くなり、いつの間にか走り出していた。
家が近いため、5分も経たずに家の前へとついた。彼の彼女もいた。彼女は無表情で立ち尽くしていた。

「おばさん、要は??」

「あ、夏輝ちゃん今連絡しようとしていたところなのよ。要が大型ダンプに轢かれて」

そこから先の意識はない。ただ泣いた。泣いて泣いて泣きまくった。

私は、心に決めた。もう好きな人を失うのは嫌だ。
「幼馴染の関係のままで。。」と考える自分も嫌だ。
彼女がいようと関係ない。もう自分の気持ちさえも伝えず、好きな人を手放すことはできない。


要、君にはちょっと遅かったね。でも、君の手とっても温かかった。今はもう冷たいけど。
大好きでした。君の手があったから、私は今ここにいると言ってもおかしくないよ。
本当は、目の前で言いたかったよ。



今までありがとう。 大好きでした。




これが、私が要に告げる最初で最後の言葉。

ありがとう。大好きでした。


読んでいただきありがとうございました。
前の、短編と終わり方がかぶってしまいました。
今回は目を瞑ってあげてください。お願いします。














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