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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編 1年度 夏期休暇~新世界編~

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リコリス

信吾達の現状説明回(`・ω・´)
----功樹 視点----


「疲れた……」

「コン……」

 午前中に行われた多種族同盟軍との合同訓練で、ノアの地上部隊が本気で撃ちあげてくる対空砲火を掻い潜るとかいう地獄をどうにか及第点でクリアしたがマジで疲れた。思わずコンと二人でノア島にある将官専用のラウンジで飯も食わずにぐったりしていると信吾が顔を覗かせた。

「フヒ!」

「おう、どうしたの? 珍しいじゃん信吾がそんな恰好までしてこっちくるなんて」

 信吾は一応の為に支給されている特務准将の制服を着ていた。もっともこいつは戦闘をするためじゃなくて、研究所に出入りするために与えられた階級だがな。

「うん。0式スーツを見に来たんだよ! アレさ実はかなり極秘でボクも存在は知ってたけど実際に見れなかったんだよ。それで今日から機密クラスが下がったから見に来た」

「なるほどな」

 目の前の親友はもっともらしい事を言っているが、コイツはそんな理由でネットが繋がっていないG-88に来るわけがない。今日は確か相川さんがG-88側の宇宙開発戦略の会議に出席するはずなんだが、それにでもついてきたのか? 違うな……。この俺の方を上目使いにチラチラ覗き見るとかいうキモイ行動をする理由はアレだ。

「信吾、アリスや相川さんなら可愛いと思うけどぶっちゃけその表情はキモイ。アレだろ? お前、『サタナキア』が欲しいんだろ」

「うえぇあ!? ああ、えいやああ」

「何語だよ……。ただ、間違いなくい飛行ユニットは降ろされるぞ。飛びたかったら僕たちが前に作ったプロトタイプを付けるしかない。それに父さん達が積み込んだ火器管制ユニットも降ろされると思う。もちろん今ついてる武装もね」

 いくら母さんが優しいって言っても第8世代機である『サタナキア』を軍用レベルでの装備で渡さないだろう。といってもフレームだけだと流石にどうかと思うから、2世代前の第6世代用の装甲くらいなら付けてくれると思う。それだって世界のバランスから考慮したら最新鋭の装備だ。

「本当にいいの?」

「うん、僕には0式スーツあるしね。ただ代わりさ、0式スーツの識別名の案だしてよ」

「サタナキアみたいに悪魔の名前にしないの?」

 悪魔の名前もいいかと思ったのだが、今回はアリスも一緒だから別の名前にしたい。かといっていい案も浮かばないから困っていたのだ。例えばロシアなら蜃気楼・暴風雨・稲妻などの自然現象の名前がついているし、日本のパワースーツは富士・劔・火打などの山の名前がついている。ちなみに我らがノアは全部数字で識別されているので味気ないことこの上ない。

「なるほどね。それなら日本の怪物の名前は?」

「ヤマタノオロチとかカグツチ? 恰好はいいけどアリスに似合わないだろ。それにコンも嫌だろ? お前も女の子だし」

 テーブルの上でストローから器用に野菜ジュースを飲んでいるコンに話しかけると尻尾をゆったりと横に動かした。どうやらこれは嫌だと言っているらしい。

「あ、じゃあ天使の名前は? アリスちゃんとコンも天使の名前ならいいんじゃない?」

「いいかもな! 女神系とかでも攻めてみるか?」

『多種族同盟軍の中にはご主人様達がいうところの伝承の天使と戦った言い伝えをもつ方々がいますよ。その方達から嫌な顔をされそうですね』

 コンが魔法で文字を浮かべて忠告してきた。確かに参戦予定の精霊族にはそういう言い伝えを先祖に持っている人がいたな。となると天使もダメか……、本格的に困ったな。

「そういえばアリスちゃんは? 本人にも聞いてみたらどう?」

「アリスは昼前の訓練が終わった後で母さんから呼び出しがかかったよ。装置が脳に与える影響を検査するために午後は医療棟に缶詰だって。ちなみに名前は好きに決めていいってさ」

「そっか、メグも今は仕事してるし聞けないもんなぁ」

 メグ!? いまコイツは相川さんの事をメグっていったのか!? クソ野郎が!! 忙しくてアリスとあんまり仲良くできなかったのにコイツはよろしくやってやがったのか……。

「ずいぶん仲がいいみたいだね、クソ野郎が。そういえば、信吾達は最近なにやってるの?」

「フヒ!? 今、なんか功樹の口からとんでもない罵声がとんだ気がするんだけど……。メグは少し前からG-88の衛星軌道上に打ち上げる有人プラットフォーム計画に掛かりっきりだよ。地球側だとちょっと無理がある計画……、ここだけの話なんだけど宇宙空間での出産計画とかその辺で忙しいらしい」

「おい、それって……」

「うん、地球側だといろいろといわれるような実験をこっちでやるみたい。でも被験者の研究員夫妻とちゃんと合意の上らしいし、万が一に備えて治癒魔法を使える人も一緒だってさ。ボクの方は功樹が連れてきたチェルノボグの人達の『整備』だよ」

「そっか何人かは一部を機械化してるんだよな」

「だね。あの人達も地球側だと条約違反だからこっちでやるしかないんだ。というか条約って概念が無くなったから色々と自由にしたいって人が多すぎてさ、この前は腕にチェインソーを内蔵してくれってごねられて大変だった」

 あの人達もマッチョ組と違った意味で自由だからな……。この前もメルカヴァ王国内で問題を起こして大尉に半殺しにされてたグループがいた筈だ。そのことを信吾に教えると恐る恐る何をしたのか聞いてきた。

「ちょっと前にノアが治安維持を担当している場所で魔物の群れが出たんだよ。それで出没した近くの村から緊急の早馬が来たんだけど、それを聞いたチェルノボグのメンバーが出撃───」

「フヒ、出動じゃないの?」

「あれは出動じゃない。20ミリ機関砲を搭載している装甲兵員輸送車で出かけたんだぞ! それで村についたら『ヒャッハー! 助けに来たぜ、雑魚どもは下がってな!!』とかいいながら魔物を殲滅したらしい」

「でもそれやりすぎかもしれないけど、いい人達じゃん」

「問題はその後だよ。一仕事終えて帰ればよかったのに、そのまま輸送車で近場の宿場街まで行って酒飲んでたらしい……。護身用じゃなく実弾を装填した戦闘用重火器を携行したままね」

 生体認識装置があるから登録した人以外に銃の操作はできないがそれにしたって大問題だ。というか認識制になった理由がマッチョの部隊の一部がウルスナ帝国の術者に無許可で銃を撃たせた事が理由だった筈だ。アレも美人な術者にお願いされて2~3発撃たせたとかいうアホみたいな理由だった気がする。

「まぁ、でもあの人達は人気者らしいよ。魔物を狩った後の素材とかは本人の好きにできるけど、それを換金して飲み代に使った後は袋に詰めて孤児院とか教会に投げ入れてくるっぽい。本人達はバレてないと思ってるけどね……」

 確かに地球ならバレないだろうな、でもここはG-88で化学繊維でできた軍用の背嚢なんてノアしか使ってない。そんな背嚢の中にパンパンに詰まった金貨やら銀貨、ましてや店で釣りとしてもらった銅貨をつめて投げ入れてたらおのずと誰がやっているのかわかるだろうさ。
 だからこそ大尉も半殺しと5日の営倉入りで許したのだろう……。そんな恥ずかしがり屋な隊員達の事を考えていると、ふといい名前が思いついた。

「なぁ信吾、『リコリス』ってどうよ?」

「へ? 急になに」

「0式の名前だよ! リコリス……、日本語だと『彼岸花』」

「いいかも知れないね! 見た目も派手で綺麗だし、不吉なイメージも敵からしたら戦闘用パワースーツにあってと思う。コンはどう?」

「コン! キュー!」

 どうやらコンもお気に召したようだ。確かに見た目も好きなんだが、リコリスっていう名前にしたのはそれだけじゃない。他人に理由を聞かれたら俺はこう答える……、彼岸花の花言葉は『想うのはあなた一人』、アリスの為に選んだ名前だと。でももう一つの理由は彼岸花が持っている別の花言葉、『転生』───。きっと俺にはこっちの意味の方がふさわしいと思う。
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