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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編 1年度 夏期休暇~新世界編~

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協力

長らく更新が止まっていたのに、温かいコメントありがとうございます。嬉しくてパソコンの前で変な声をだしました。
----荒川 功樹 視点----

「僕を囮にしてモスクワに展開している新世界を誘引、殲滅します。ですがこれには大尉達の全面的な協力が必要です」

 俺の言葉に大尉は訝しそうな表情でこちらをみている。だが、話を止める気はないようだな。

「まず1段階目、どうにかしてある程度の抵抗をする為に武器・弾薬・その他を調達します。これは大尉達にお願いしたいのですが……、貴方達スィエールプは極秘部隊でしたよね? ならば武器の供給は政府の公式ルートではなく、武器商人からの闇ルートで購入しているのではないですか」

「……まぁ、心あたりはある。金を払うなら確実にこちらの求めるモノを提供してくるだろう。さすがに国際条約で規制されている軍用のパワースーツは無理だろうだがな」

 やっぱりな。死ぬ前に映画とか小説で見たことがあったが有名どころの武器商人は大抵、政府機関に繋がっているというのはまんざら嘘ではないようだ。武器の問題が無くなったら次は───。

「2段階目、武器の準備と抵抗をする場所を決めたら新世界側を徹底的に煽ります。恐らく新世界教主のサンドラ博士は僕の煽りなんか気にしないでしょう。ですが、その配下にいる人達や裏で支えているスポンサーはどう思うでしょうか? 彼等のようなスポンサーは恐らく信仰心ではなく何かの見返りで博士についているはずです。ならばその弱点を突きましょう」

 多分、いや確実に怒り狂って俺を殺しに来るだろうな。狂信者達は神と同義である博士の為に、スポンサー達は失敗続きの博士の実力を見るために間違いなく出撃してくる。これが合法的な組織であるノアならまだ抑えもきくだろうが、博士のカリスマ性だけで纏めているだろう新世界側はそうもいかない。
 アリスやアントンさんのように俺の大切な人達を傷つけようとした借りは絶対に返してもらう!! 出てきたくなくても必ず引きずりだしてやる。

「ふむ、相手の行動を抑制するわけか。抵抗ポイントは決めてあるのか?」

「大規模な市街戦が予想される為、旧モスクワ市街地を候補に考えています」

 40年ほど前にロシアの首都は旧モスクワ市街地から東に20キロ移動した新市街に移動している。政府が金欠の為、歴史保存名目で残されている旧市街地なら戦闘で破壊されても文句は言われない……と思う。しかも犯罪抑制だかの理由で立ち入り制限がされているはずだから戦闘が起こっても民間人の犠牲は皆無のはずだし、いきなり武装集団が大挙して押し寄せたらまともな人間なら逃げ出すだろ。

「……なるほど、確かにあそこなら地下鉄や下水道を使った擬似的な坑道戦術もとれるな。お前の事だそこまで考えたか」

 いえ、まったく考えておりません大尉殿。俺はただなるべく関係の無い一般人に被害がでないようにしているだけで、その辺りの戦術とかは大尉に丸投げするつもりだ。
 まぁ今は良い方に勘違いして話を聞く姿勢でいてくれるので突っ込むのやめよう。むしろ今の発言で思ったのだが、大尉達はマッチョとは違ってゲリラ戦が得意っぽいからこの作戦には賛成してくれそうだ。

「3段階目、ロシア政府に救援を求めます。理由は2つ、1つはこのままではシュムスキー大統領はこの事件の後で退任してしまいます。それでは折角ノアとの間で交わした契約が無効になってしまうので今後の展開に支障がでます。もう1一つは大尉達のためです」

「我々の為?」

「はい、このまま黙って亡命したら大尉達はロシアでは国を裏切った国賊として認識されます。たとえそれが事実でなくてもです。確かに一部の上層部ではスィエールプの無罪は分かっていますが他の人達はそうではありません。
 ならば最後はロシアをテロ組織から救った救国の英雄として去りましょう。今までずっと裏の世界で戦っていたのです、国を出るときくらいは大尉達を裏切った事を上層部が後悔するくらい堂々と出て行きましょう」

「英雄か……、具体的にはどうするつもりだ?」

 よし! もう直ぐ約束の10分だが、どうやら乗り気になってくれたみたいだな。もう少し、後一押しでアントンさんやスィエールプ全員をつれてロシアから脱出できるはずだ。ノアの代表としてG-88世界で演説した時をおもいだせ────。





----ユリヤ大尉 視点----

 荒川の説明が終わった。確かにコイツの影響力や母親の権力を考えれば想定通りに全てが進んだ場合、祖国も我々も英雄としてそれぞれの道を歩む事ができる。だが、どうしても疑問が残る……。

「アラカワ、なぜお前はそこまでする? 一体お前になんのメリットがある」

「そうですね、自己満足です。頼られたからその信頼に応えたという自己満足が残ります。僕はそれだけで十分です」

「そんなあやふやなモノを信じろと?」

「なら契約しますか? 僕は大尉達に日本への亡命と『なんでも好きな事をできる明日』を約束します。そのかわりに大尉達は対価として新世界を殲滅するまで傭兵になって下さい」

 明日か……。ずっと望んでも手に入れられなかったモノ、我々が一番欲しいものを対価で寄越すといっているのか。そっと視線を部屋の隅に立っているヨシフに移すとヤツも腕を組みながら考えているようだ。他の部下達の意見も聞きたい、隣の部屋に待機しているヤツらを呼ぶか。

「お前達! 入って来い」

 私の命令で扉が開き隣室で待機していた部下達が入ってくる、それを見たアラカワはここにきて初めて驚いた表情をしている。私はやっとコイツが見せた年相応の表情に若干上機嫌になりながら部下達に問いかける。

「話は聴いていたな。お前たちはどう思う?」

「いいのではないですか? どうせ日本に亡命しても消されるかもしれません。それなら最後の望みを賭けてアラカワを信じてみるのも手だと思います」

「自分もそう思います。信用できるできないの前に、我々に残された最後の希望は彼です」

 そうか、ならばアラカワに賭けてみよう。信用はしない……、だが契約という形なら依頼主として一定の敬意は抱いてやる。

「ヨシフ! 旧モスクワ市街地に移動するぞ! アキム、お前は2人つれて市内に取り残されているヤツらを回収してこい多少の交戦なら許す。他の人員は必要になる装備のリストアップだ、急げ!」

 命令に従い、慌しく出て行く部下達を視線の端に捉えながらアラカワに向き直る。アラカワは私の視線に気付くと微笑みながら首をかしげた。

「装備は懇意にしている武器商人、ウラジミール・ストリアロフから購入する。金はあるか?」

「ドルでいいのならキャッシュならあります。ただし支払う時は専用の機械が必要です」

「分かった。至急用意させよう、我々には資金がないから支払いはお前持ちだ。それと、計画の細部で粗いところは我々が詰めてやる、実際の戦闘も我々はこなしてやる。お前に必要なのは覚悟だが……できているか?」

「はい!」

 ふん、戦場も知らない餓鬼が。もし、戦闘が起きた時に実戦指揮と言いながら行動を共にした上層部の豚のように逃げ出さなかったらお前を信用してやる。いや、逃げださなかったらむしろお前の為に働いてやってもいい。頼むから失望させるなよ───。






----荒川 功樹 視点----

 俺は大尉と一緒に旧市街地のモスクワ駅跡地にある管理棟に陣取っている。ここまでの間で俺がやった仕事といえば言われるままに端末にパスワードを打ち込んで金を送金しただけだ。なにが始まるかと思っていたら、それから3時間ほどしてから残存人員を回収したついでにヨシフさんと呼ばれていたスキンヘッドがどこぞから大量の武器を駅の構内に運んできた。
 たしか、支払いの時に一瞬だけリストを見たが、個人火器の他にも戦闘ヘリや兵員輸送車両まであったと記憶している。敵の新世界側は間違いなくパワースーツを使用してくると思うのだが、あんな兵器で対応できるのか?
 そもそもいくら旧世代武器とはいえ、どこにこんだけの数があったの聞きたいのだが、肝心の大尉の姿が見えない。

「アラカワ、準備が出来たぞ。一応お前の計画にそって声明文も考えた、後はノアに連絡をいれるだけだ」

 皆が居なくなる時に渡されたピロシキと嫌がらせレベルに甘いロシアンティーを飲みながら一人で待っていると、突然部屋に入ってきた大尉は俺に新しい端末を投げつけながらそんなことを言ってきた。なるほど、取り敢えず母さんに亡命を申請するまでは俺に細部を知らせないつもりか。となると最初は通常回線でノアに通信を送ったほうが良いな。

「分かりました。通信を送ります」

 端末を操作してノアの通常回線に連絡を取る。すぐに担当のオペレーターが出たが俺の顔を見て慌てている、申し訳ないが時間がない……。質問をスルーして母さんに連絡を取ってもらう。しばらく画面の向こうでなにかを言い争っている声が聞こえていたが、やがて疲れた表情の母さんが映り話し掛けてきた。

『功樹! 無事だったのね。それと、その武装した人達は誰? まさか新世界のメンバーではないわよね』 

「あぁ、確かに全員バラクラバを被っているから旧世代のテログループみたいに見えるかもね」

 物凄く心配そうにしているが仕方ないか、どう見ても大尉達は西暦2000年代のアフガンゲリラのような格好しているから見た目だけなら敵だ。俺はなるべく不安を取り除けるように自信に満ちた口調で母さんに答える。

「この人達はアントンさんの元同僚でチェルノボグ戦闘部隊の人達だよ、まぁ何人かは工作部隊の人もいるけどね。今は僕に協力してくれて、ここ旧モスクワ市街地に陣取っている」

『ちょっと、こうちゃん! この回線は通常回線よ。新世界側に傍受されてる可能性があるのは理解しているでしょ!?』

 そんな事はいくら俺でも理解している。それを想定しているから落ち着いてくれ。母さんが本気で慌てるのはむしろここからにしてもらえないと話の流れについてこれんぞ。
 俺は隣で腕組みをして仁王立ちをしている大尉に地図を表示してもらえるようにお願いしてから、精一杯腹が立つ口調で画面を睨む。

「この映像を見ている新世界教主・サンドラ・ツェレンスカヤ博士に告げる。ホテルで俺を取り逃がしたのは随分と痛い失敗だったな? だがお前にチャンスを与えてやる。俺は旧モスクワ市街地にいるぞ、捕まえたいのか殺したいのか知らないが俺をどうこうしたいのならここに来い。

 だが、転生だか魂だかそんなオカルトを信じている馬鹿な研究者に俺の時間を割くのは勿体ないと思う。そこでだ、ここで待ってやる代わりにお前の部下がホテルで拘束しているアントン・ボルトキエヴィッチ、ヤコフ・タルコフスキー、ユーリ・パムフィロワの3名を連れて来い。その3名が既に死んでいるのならこの話は無しだ俺は直ぐにこの場所から離脱する。

 もし生きているのなら旧市街地のベケト池付近で解放しろ。解放した瞬間から俺が離脱するまでの時間がお前に与えられた俺を捕まえる時間だ。返答期限は2時間以内、方法は……どうにかして俺に伝わるように自分で考えろ、馬鹿でもそれくらいはできるだろ? 以上だ」

 言いたい事だけをいってから通信を切った俺は、気づいてくれる事を願いながら母さんの個人アドレス宛てにこれからの行動計画表を送りつけておく。これには大尉達の亡命を依頼するという事、それにロシア軍にも救援を頼む口実とロシア軍にやってもらいたい事が書いてある。
 後はサンドラ博士がどのタイミングで返答をしてくるかが問題だが、その辺は大尉と相談だな───。
大尉! アラカワは既に種族間戦争を経験しています。というわけで、ちょっと短いですが、キリがいいので今回はここまで! やっとこさ時間軸が現在にもどります(・∀・)
+注意+
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