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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

序章

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歴史の差異

 どうも、功樹です。いやーあれからいろいろありましたね、もう15歳ですよ。時間流れ過ぎって? いやそんな事が些細なことに感じる事実がわかったんだよ! むしろ自分の意思で行動できるようになった5歳くらいから10年かけて情報を集めてたんだよ。いいか驚くなよ、まず今現在俺が暮らしている太陽系第3惑星の地球の日本時間は……

 2102年1月4日午前10時59分だ。

 俺が生きていた、転生する前にいた日本より90年近く未来に産まれたんだよ俺。だからといって車が空を飛んでるわけでもないし、個人用のテレポート技術なんてもんもない。一部軍用のパワースーツ(初めてテレビで見たときは興奮してテンションがあがって母さんにロボット? ねぇこれロボット?って聞きまくってしまった)や個人でギリギリ携帯できるレーザー兵器くらいはある。
 だがだ、たった90年でここまで文明に差異がでるのだろうか? 俺が生きていた時代2010年の時点で文明の進歩はある程度止まっていた。ある学者などこのまま緩やかに衰退していくだけだなんて公式に発表してたやつが居たくらいだ。たしか3歳くらいだったか? 俺がこんな疑問をもったのが。そこで母さんと図書館に絵本を選んでもらう時にこっそりと歴史関係の本をあさっていた。途中で母さんにばれてたようだが母さんは俺が歴史の本に載ってる写真に興味をもってると感じたようで。よく風景や綺麗な城などが掲載されてる電子書籍を俺の個人用端末に入れておいてくれる。さすがマイマザー優しい! あんまりいらんけど……。


 さて、細かいところはそれこそ中世からして違うが間違いなく俺がいた世界からずれた所から順に紹介しよう。

 1935年 第二次世界大戦勃発~史実より4年早く始まった戦争はしかし1年半で収束する。理由としてはアメリカ・ロシア・ドイツ・日本がほぼ同時期に核兵器の製造に成功したためだった。日本は最初期に真珠湾攻撃、ハワイ占領をやってのけたがアリューシャン列島からきた爆撃機に日本を核兵器の射程収められてしまった。事実上の敗戦だったがハワイからの完全撤退を条件に日本にアメリカ軍が上陸することはなかった。また軍備の縮小と憲法の再策定が行われたが無条件降伏などはしていないため、国家主権と大多数の人命は守られた。無論、核兵器も日本に使用されていない。世界各国はこの泥沼化して結局勝者が良くわからない事になるはずの戦争回避したことにより、ありあまる国力と生産力を技術の発展に使用していくことになる。

 1950年 アポロ3号月面着陸成功~20年以上早く人類は月に到達したことになる。ちなみに48年には民間飛行機会社の70パーセントがジェット旅客機を使用している。

 1951年 キューバ危機~史実と同じくアメリカとロシアが核戦争一歩手前までいったがこのときローマ法王が崩御、アメリカ・ロシアどころか世界中で厭戦ムードが高まりギリギリで全面戦争は回避された。

 1970年 世界安全保障条約会議~これは史実ではない事件だがキューバ危機を参考に全核兵器所有国(もちろん日本も所有)が核兵器保有数を制限。すべての国が23発までと定められた。

 1976年 欧州の悲劇~これも史実ではないがフランスの片田舎で発生した伝染病が世界各国で猛威を振るった。76年時点で世界人口は91億人を数えていたが84年にWHOが収束宣言をだすまでに47億人まで激減していた。

 1990年 ベルサイユの奇跡~欧州の悲劇で疲弊した各国はひとつの大きな決断を下す。全核兵器の恒久的放棄及び国家における全軍事力の80パーセント削減そして国連常備軍の発足。これは平和の勝利だという声も大きいが国軍にいる人員をすこしでも民間に返し国力の回復を行うべきと各国が結論付けた結果だという認識が強い。ちなみに欧州の悲劇とベルサイユの奇跡は絶対テストに出る。俺も習った。

 さて、そろそろだれてくるだろ?関係ない話をぐだぐだしやがっってとかおもってんだろ? 実はこれ結構関係あるんだよ! なんでって、教科書にのるような事に俺が関係してるからにきまってんだろ……。ながい?なら少し話しを飛ばすか?

 2091年 母の数式(91年に日本人のアラカワ ミキが発表した量子学を根底から覆す数式) この世界は数ある時間点の中のひとつにしか過ぎない。他の時間点には別の世界があるということ完全に証明した数式の事である。この恐ろしいまでに難解な数式をたった一人で構築、発表したアラカワ ミキの事を世界は「新量子学の母親」と呼んだ。


ごめん……それ俺のいたずら書きが元なんだわ!!!


----2090年初夏 荒川美紀 視点----

 順調に成長していく功樹を見ると安心してつい微笑んでしまう。思えばとても不思議な子だった。夜鳴きなんてしたこともなければオムツを汚すと直ぐに私を呼ぶ。ダメということは教える前に理解しているようだ、とても賢くてとても可愛い我が子。私は育児ノイローゼなどかかりもしなかった。
 最近、功樹はよくテレビや新聞を見ている。まだテレビの内容や新聞の文字など理解できるはずもないのに真剣な表情をしている。その大人びた態度がおかしくて、ついついいたずらしてしまったのだ。テレビのリモコンを取り衛星ネット放送に切り替える。それでも功樹は嬉しそうに目を輝かせてみていたので、私はまたクスリと笑いながら洗濯ものを取り込みに行った。

「おぁーー! うぉあーー!」

 その時、リビングから功樹の声が聞こえた。普段おとなしい子が大きな声を上げている!私は洗濯物を取り落として急いでリビングに向かった、そこで見たのは功樹がテレビを見ながら大きく手を叩いている姿だった。普段はこんな反応を見せる子じゃないのに……
 驚いた私はテレビの画面を向くとそこには今年から陸上自衛軍に配備されるとニュースでやっていた新型のパワースーツが映っていた。

「おかーた、おーかーた!、あえ、ろおっと?ろおっと?」

 びっくりしたと同時に私はこの子もやっぱり男の子なのね、と感じていた。この子がなにをしゃべっているのかまだわからないが、きっと買ってほしいとかそういうことを言ってるのだろう……。

「こうちゃん、アレはうちでは買えないわよ」

 そういうと功樹は何故か微妙な顔をしていたのが、そのうち寝てしまった。私は優しく功樹を持ち上げると、そっと隣の部屋に運ぶのだった。








----2090年初夏 荒川功樹----

 やべーー、やべーーよ。どうすっか……。目の前の母親は鬼の様な顔をしている。とりあえず泣いてみるか……いったん母さんも頭を冷やせば元にもどるだろ。


「うぁーーーん! おかーた、こわーー、うぇーーん」

 泣きながら何故こうなったのか俺は改めて考えていた。おそらく始まりは2ヶ月ほど前に初めて図書館に連れて行ってもらったことだ。この時代は図書館といってもほとんどの本が電子書籍化されている。イメージしやすいのはレンタルショップとかでDVDを選ぶ感じだそんな中、唯一電子書籍になっていないのが歴史関係の本だった。
 俺は下のほうにある本を床に広げて読んでいたのだが、母さんがとんでもないスピードで俺の方に走ってきてとてつもなく心配した表情で勝手に居なくなってはだめだと怒っていた。実際の所このご時勢個人用端末で居場所はわかるし図書館の出入りには個人識別用のナノチップが必要だからまったく持って心配はないのだけどな。まぁ思ったことを口にするわけにもいかないので素直に謝っておく。

「おかーた、ごめー」

母さんは優しく微笑みながら俺の頭をなでてくれた。ふと母さんは俺の手元にある歴史の本、あのときは確か古城建築の本だったと思うがそれをみつけて俺に目で問いかけてきた……


(え? お前こんな煤けた城すきなん? キモーーーー我が子ながらキモー。んで借りるの?これとお前背負って家かえんのアタシなんだけど?)


 という内容だと思う。なんか目が笑ってないし……。俺があきらめようかと思い顔を俯けると母さんは自分の選んできた絵本の電子書籍と一緒に辞典並みの厚さがある俺の本もカウンターにもっていってくれた。優しい……絶対キモーとか思ってるはずだけど優しい。それから母さんは毎日俺を図書館に連れて行ってくれた。自分の選ぶ絵本と俺が選ぶ歴史関係の本を借りるのが日課になった。
 そんなある日、母さんが選んできた絵本の中に簡単な数合わせの問題があった。何気に面白くて全部解いたあとに自分のお絵かき帳にも自分で問題を書いて解いていた。そして今日も今さっき鬼の形相の母さんに怒られるまでやっていたのだが…………。

 さてそろそろ良いか? 泣き止んで母さんがなんで怒ったのか突き止めないとな。俺はこの家で飯食ってるわけだし……母さんの機嫌を損ねると最悪捨てられかねない……。そーっと母さんの顔を見ると、あわてた顔でオロオロしていた。これはチャンスとばかりに母さんに抱きつくと優しくなでてくれた。しかし……なんでそんなに怒ったんだ?


----2090初夏 荒川美紀 視点----

 今日は功樹と初めて図書館に行こうと思う。この子は賢いからああいう静かなところでも大丈夫だろう。功樹をだっこしながらゆっくりと街を歩く、私が子供のころはまだガソリン駆動の車が走っていたが今は電気動力で動くオート自動車だ。交通事故の可能性はほぼないといっていい。もちろん車道に飛び出せば別だがこの子はそんな愚かなことはしない。
 図書館にはいると私は功樹を椅子に座らせたまま絵本を選びに行った。あの子はどんな動物やお話がすきかしら? この前テレビで動物園にいるニホンオオカミをみたらとてもはしゃいでいたからオオカミが出る話にしようかしら? そんな事を考えながらふと気づくと30分以上たってしまっていた。あわてて功樹が居るはずの椅子に行くが居ない。私はパニックになった。

「大丈夫、あの子はまだ私の識別チップもないと外に出れない。」

 そんな事は頭で理解している。だが声にださないと不安でどうしようもなかった。私が普段つけている腕時計型の個人用端末で功樹の端末の場所を検索すると、F-2と表示されていた。そこは古い紙媒体の本しかなくて今は人がほとんどこないはず……。まさか!? 変質者?
 私は功樹が居る場所に走って向かった。だがすぐに功樹を見つけることができた、なんとこの子は埃にまみれながら真剣な表情で城砦建築学の本を読んでいた。きっと理解できるわけではない。おそらくはたまたま目に留まったお城に興味を示したのだろう。とりあえず私は不安を隠すために勝手に居なくなったこと叱ることにした。功樹はすこし考えてる様子みせてから、

「おかーた、ごめー」

 と泣きそうな顔しながら謝ってきた。実際はこの子は悪くないのにだ、そもそもこの様な小さい子供を長時間一人にした私が悪いのである。しかも図書館で静かに本を読んでいた功樹を叱ったのだ。おそらくこの賢い子はそれも理解して素直に謝ったんだと思う、私の気持ちすらも理解して。だからこそ私は声を掛けれずにただ撫でるだけになってしまった。
 今の私はうまく微笑んでいるだろうか?功樹の顔を覗き込むと目をそらされてしまった。それはそうだろう悪いことはなにもしていないのに母親に怒られたのだ多少はいじけたりもするだろう。どうしようもない居心地の悪さを感じた私は、功樹の興味を示した本も一緒にもってカウンターに向かった。それが私にできるせめてものこの功樹への償いだった。


 この前の自分の行いを悔やんでいたある日、私は功樹をお昼寝させるために隣の部屋に移そうとしたそこで功樹の手元にある紙をみてしまったのだ。最近この子が一生懸命お絵かき帳に何かを書いていたのは知っている。
 だが……これは。




 私はこれが何かを知っている。そしてこれが本当だとするととんでもないことになる事も理解している。




そうこれは…………











「量子学の証明数式」








 私は思わず功樹をつかんで問い詰めてしまった。これをどうしたのか? 自分で考えたのか? 誰かに教えてもらったのか? 本に書いてあったのか? それともテレビにうつっていたのか? そして功樹は怯えたように泣いてしまった。またやってしまった、功樹は悪くないのにきつい口調で問い詰めてしまった。私はどうしようかと思った功樹は泣きやんでくれない今度ばかりは完全に嫌われてしまうのではないかという漠然とした不安に襲われてしまった。ただオロオロしていると功樹が急に抱きついてきた。私の胸に顔を埋めてくる功樹を気を取り直して優しくなでながら功樹もう一度この数式をどうしたのか聞いた。そして私は再びパニックになるのを全力でこらえなければならなかった。この子は泣きながらこういったのだ。


「ぼーく かーた!」

 僕が書いた。この子がそういった、この幼い我が子が世界中の学者が必死に探している数式を発見したのだ。私も修一さんと結婚する前は大学の研究室で量子学を研究していた、だからこそこの子の数式に気づく事ができた。こんな幼い子が数式を発見したとなってはどうだろう偶然なんかではけしてない。偶然でこの数式は導けない。おそらくこの事を公表した場合功樹は有名になるだろう。だが、はたしてそれだけか? こんな幼さでこの難問を解くなんてまるで悪魔のよう……だ……。
 ここまで考えて功樹が産まれた瞬間を思いだした。あの時の目を思い出したのだ、この子は普通の子じゃない? そんな思いが湧き上がって一瞬だけ恐怖心に変わった。だが直ぐにあの時の誓いを思い出す。




「たとえこの世界が功樹を否定しても私は功樹を守り続ける」



 そうだ、私は母親だ。この子が悪魔でもいい、それでも功樹は私のたった一人の息子だ。それからは私の行動は早かった、功樹の計算式が外に漏れてもいいように私が自分で構築した計算式として論文を書いて発表した。将来この子が大人になった時に自分の偉業を盗られたと怒るかもしれない。その時は素直に謝ろう、息子に嫉妬したと……醜い母親ですまないと……心から謝罪しよう。それでも私は功樹を守りたい。








「もし、この子が悪魔なら……私は魔王にだってなってみせる」





3月1日、統合させました。
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