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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編 1年度 夏期休暇~異世界編~

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神族エンシェントドラゴン

 最初にお詫びします……申し訳ありません! 今回のお話は短い挙句に全く物語は進みません。ですがコンの出生の秘密をどうしてもカットしたくなかったので今回の投稿分となりました。
 言い訳をすると、ここで一旦切らないと微妙にしんみりした感じで帝都攻略戦に望む事になるので苦肉の策でもあります。ですので熱い展開を望んでおられた方は次回にご期待下さい。(`・ω・´)
----荒川功樹 視点----

 湾岸都市アスティーを攻略した後、俺達はリンクドブル帝国の領内を東に向かって横断するように進撃。合流予定ポイントである帝都トリエタの手前100キロで母さんとマッチョの到着を待っていた。

「クレアさん、メルカヴァ軍とウルスナ軍の到着はいつくらいになりますか?」

「予定では5時間後にメルカヴァ軍が到着、7時間後にウルスナ軍も合流します。現在までの部隊損耗率から考慮すると、同盟軍は12万の兵力でトリエタの攻略を行う事になると予想されます」

 12万って殆どノアが主力じゃん! 元の数が少ないメルカヴァ王国軍は兎も角、ヴィクトリアさんのウルスナ軍はどうしてそんな減ってるんだよ。コンのヤツが援護に行ったらしいけど……、大して意味が無かったのか? 
 そんな事を考えながら腕の端末でクレアさんから貰った情報を整理しているとアカトルさんが両手に料理を持って俺の居る部屋に入ってきた。

「宿の主人から厨房を借りて昼食を作りました。船から持って来た食材で作ったので安全ですよ」

「わざわざすみません。頂きます」

 氷山空母から降りて陸上を進撃してきた俺達は陸上戦艦を配備している母さん達と違って、基本的に占領した村や街の宿屋を簡易の司令基地として使用している。勿論ちゃんと金を払って使用させて貰おうと毎回宿屋の主人に交渉しているのだが、何故か毎回『お代は結構です』と断られてしまう。別に俺達は粗暴な態度をしているわけではなく、むしろ紳士的な振る舞いをしているので断られるのは本当に疑問だ。

「美味しいです。アカトルさんは料理がお上手なんですね」

「ありがとうございます」

 アカトルさんお手製の美味しい食事を堪能していると、端末を操作していたクレアさんが司令部から受け取ったと思われる新しい情報を教えてくれる。

「閣下、ウルスナ軍と共闘しているドラゴン族の一団が先遣隊としてこの街に飛来するそうです。お会いになられますか?」

「はい! ぜひお会いしたいです」

 コン以外でまともなドラゴンはまだ見た事がないのでテンションが上がる。アカトルさん達が乗ってきた飛竜もドラゴンといえばドラゴンなのだが、あれは亜竜と呼ばれる鳥に近い生き物だそうだ。確かにコンみたいに人間の言葉を理解している雰囲気は無かったのでガッカリしたのだが、アカトルさんの話ではドラゴン族は人間の言葉を理解する種族らしいのでいつか逢ってみたいとは思っていたのだ。

「街の中に飛んでくるのですか?」

「いいえ。情報ではマーベラス様とリリン様が飛来するので、混乱を避ける為に街の外に着地するように要請しています」

 という事は街の西側にある草原に飛んでくるのか。あそこまでは車両で移動しても多少時間が掛かる筈だ、どうせなら空を飛んでいる姿も見たいので早めに移動するか……。俺はそう結論を出して一気に昼食を口に詰め込んだ。




「閣下、偵察に出ているスーツがこちらに向かってくるドラゴンを確認しました。もう間もなくこちらでも目視出来ると思います」

 クレアさんの言葉に俺は目を皿のようにして空を眺める。キョロキョロと首を動かしていると東側の空にデカイ生き物が飛んでいるの分かった、多分あれが向かってきているドラゴン族で間違いないだろう。やがてハッキリと姿が見て取れるまで近づいてきたドラゴンは上空を旋回した後、ゆっくりと俺の目の前に着地した。

「グルゥゥウ」

 唸り声を上げる黒いドラゴンは威圧感が半端じゃなくてかなり格好良い……格好良いのだが、その頭の上にちょこんと座っているコンが居るせいで全てが台無しになっている。

「おいコン、お前なにやってんだよ」

「グラァァアア! 小僧、貴様コン様になんて口を」

 俺の発言に黒いドラゴンが咆哮を上げながら何故かブチ切れて一歩前に出ると、その様子を見た護衛のパワースーツ隊が俺を守るために一斉に銃を構えて安全装置を外したのが分かった。待て、なんでこんな一触即発みたいな事態になってるんだよ!? 
 俺なんかそんなマズイ事を言ったのか? 冷や汗を流しながらどうやってこの場を収拾しようか考えていると、ドラゴンの頭の上に乗ったコンが尻尾でペチペチしながら何かを言い聞かせるように鳴き始めた。

「コンコン、コン」

「はい、はぁ!? この小僧───、少年がコン様の主殿ですか?」

「コン!」

 黒いドラゴンが驚いているがそれを無視するかのように、コンは頭の上からパタパタと小さい羽を使って俺の胸に飛び込んでくる。…………飛んだ!? こいつ今飛んだぞ!

「お前飛べるようになったのか?」

 俺の質問にコンは尻尾の先に青い光の球を出現させると、空中に向かってその球を放り投げた。青い球はふよふよと空中に浮かんでいたが直ぐに弾けて文字が浮かび上がる。

『飛び方は目の前のマーベラスに、この魔法は向こうにいる白いドラゴンのリリンにそれぞれ教えてもらいました! それにこれだけじゃ無いですよ』

 コンは腕からパタパタと俺の顔の高さまで浮かび上がると、目を細めて一生懸命頑張りながら普段の『コン』という鳴声を調整する。

「コン、コキュー……。コーキュ、『コーキ』」

 今、俺の名前を呼んだのか? 驚きと嬉しさのあまり、無言で浮かんでいるコンをそっと抱きしめて頭を撫でると首を傾げながら俺の様子を窺っている。俺に反応が無い事が分かると必死に『コーキ、コーキ』と鳴いているが、なんて声を掛けてやれば良いのか分からず俺はただ撫でる事しか出来ない。そんな俺の姿を見つめていた黒いドラゴン、マーベラスさんが呆れたように口を開いた。

「少年、コン様は幼い為に人間の言葉を話す事が出来ない。それでも何とかして自らの主の名を呼ぶ為に鳴声の音程を変える練習をなされたのだ。そんなコン様に掛ける言葉があるだろう」

 周りを見るとマーベラスさんだけではなく、クレアさんや護衛のスーツの人達も俺の方を見ているのが分かった。そうか、そうだよなコンは頑張ってくれたんだ、だったら俺もちゃんと言葉にしてこいつに伝えないといけない。

「コン、ちゃんと伝わってるぞ。『ありがとう』」

「コン!」

 俺の言葉にコンは元気良く尻尾を一振りした後で、いつもの位置である俺の首にしがみ付いてきた───。





「それじゃあ、コンの母親は元々はこの世界のドラゴンだったんですか?」

「あぁ、コン様から感じる魔力はリーン様の魔力と良く似ている。そうでなければ、我達の上位種族であるコン様に呼ばれた所で一族全てが従う筈もなかろう」

 草原での騒動の後でコンの『ご飯が食べたいです』の一言を受けて宿まで帰ってきた俺達は、人型の形態を取ってコンと同じように飯を食べているマーベラスさんの話を聞いていた。
 街に入る前に気を利かせて人型になってくれたマーベラスさんとリリンさんは、正に美男・美女といった外見をしていて驚いたのだが……今はコンの正体のほうが重要だ。

「でもコンは別の世界で生まれたらしいですよ。その世界で仲間が居なかったから休眠状態になってた所を偶々、僕が連れて帰ってきちゃったんですが」

「うむ、そこまではコン様から直接聞いた。我も確証があるわけではないが、その前に少年はコン様の種族は知っているか?」

 コンの種族といえば『神族エンシェントドラゴン』だ。俺も前世の偏った知識でしか知らないが、全てのドラゴンの頂点に君臨する最上位種の伝説級ドラゴンだった筈だ、全く以ってそうは見えないがな。俺が知っている事を話すとマーベラスさんがナプキンで口を拭きながら話を続ける。

「ならば、我達のような普通のドラゴンとは違いエンシェントドラゴンが持つ特性は知っているか?」

「いえ、知りません」

 特性だと? 頭が良かったりするのは特性といえそうだがドラゴン族は総じて知能が高かったり魔力が高かったりする筈だ。まさかコンの特技である錬金術がマーベラスさんの言う『特性』という訳でもないだろう。俺はクレアさんの淹れてくれたコーヒーを一口飲んでマーベラスさんの次の言葉を待つ。

「コン様の種族が持つ特性は2つある。1つ目は次元を渡れるという事だ。これについては説明は要らないだろう……少年達も異世界からこの世界にきているのだ、その移動を魔力で行うかカガクギジュツとやらで行うかの違いだけだ。
 2つ目、これが重要だ。エンシェントドラゴンは他種族と関係を持つ事が出来る。そしてリーン様の人化した御姿はとても御美しかったと聞いている」

「それは、つまり───」

「少年の想像している内容で間違いない、その証拠に我がまだ幼かった時ある噂がドラゴン族の間を流れた。リーン様が『人間』の男との間に子を儲けたという噂だ。その噂を聞きつけた当時長老格だったドラゴンは真相を確かめにリーン様の元に向かった、もし真実ならば生まれてくる人間とのハーフである弱い幼竜を一族で守る為にな。
 だがリーン様は我達が生まれてくる幼竜を害すると勘違いなされたようだ。さて少年、もしも自分がその立場に置かれた時……少年ならばどうする?」

 子供を守る為に逃げるに決まっているだろう、次元を超えれるなら今の俺達のように別の異世界に逃げ込めば他のドラゴンは追ってこれない。恐らくコンの母親も同じように考えてアクロイド皇国がある世界に逃げ込んだのだ。

「ふむ、その顔ならば我と同じ結論に達したようだな。先程も言ったように確証は無い。だが、リーン様と似た魔力を放つコン様は別の世界であの方が御産みになった子供だと考えるのが一番納得できる結論だな」

「じゃあなんでコンの母親はコイツが生まれた時に居なかったのですか? アクロイド皇国がある世界に行けたって事は無事に次元を越えたのですよね」

 俺の質問にマーベラスさんは、顎に手をやって暫く無言で考えてから答えてくれた。

「通常、ドラゴン同士で子供が出来た場合は卵が産まれるまで800年程掛かる。その後、卵が孵るまで更に200年……都合1000年掛かる計算になる。これのせいで我達の種族の個体数が少なくなってきているのだが───、まぁ今は関係無いな。
 推測だが人間という弱い種族を父に持った場合、卵の中で成長するのに時間が掛かるのではないか? 過去に例が無いのでなんとも言えないが数千年掛かる可能性も捨て切れん」

 強大な力を持っているエンシェントドラゴンがあの世界の人間に討伐されるとは考えられない、つまりコンが卵から孵るのを母親は寿命で見れなかったと考えるのが可能性としては一番高い。
 それよりも、次元を渡ったリーンとその夫である男性はその後どんな一生を過ごしたのだろうか? 些細な勘違いから起きた悲劇だが、俺は異世界に逃避した2人が幸せな一生を終えたと信じたい。



----マーベラス 視点----


「アナタ、良かったのですか?」

 食事を終えて我達に宛がわれた宿の一室で休んでいると、コン様を送り届けてから一言も喋らずに沈黙していた妻のリリンが話しかけてくる。

「何の事だ?」

「あの少年……、コウキ君といったかしら。コウキ君の中には僅かながら『魔力』が存在しているのをアナタだって気付いたでしょう? しかもあの魔力はコン様に流れている魔力とそっくりなのよ、なんでその事を言わなかったの」

 その事か、あれはコン様がいつも近くに居るせいで魔力が移っただけだろう。別段珍しい事ではない、磁力を持つ物の近くに鉄を置いておけば鉄もまた磁力を持つのと同じ原理だ。リリンが何故そんな深刻そうな顔で問いかけてくるのか我には全く理解できん。少年がリーン様と何か関係がある人物だとでも言いたいのか?

「お前はあの少年がリーン様の血族だとでも言いたいのか?」

「いいえ違います。私はその逆───、父親の方だと思っているの」

 そんな事はあり得ん! 何を馬鹿な事を言っているのだ、確かに魂を持つ全ての存在は死後に別の存在へと『転生』する。だがそれは別の世界に転生する場合もあれば草木のような植物に転生する場合もあるのだ。
 それなのに再び人間へと転生してコン様と再会するなど一体どれだけ低い確率か分かっているのか? 我の意見にリリンは表情を変えずに反論してくる。

「アナタの言う通りだけどゼロではないわ。それにリーン様は神族エンシェントドラゴン……、地上でもっとも『神』に近い存在だったのよ? あの方が本気で全ての魔力と命を消費してそのような魔法を使えば理を捻じ曲げる事くらい可能よ」

 あり得ん! あり得ん! あり得ん! まさか本当にそんな事を実現させたのならそれは最早、魔法なんてちっぽけなモノではなく神の『奇跡』としか言いようが無い。

「おかしいと思わないの? コン様が産まれる前にリーン様が滅んでいる事、人間である筈のコウキ君にコン様が異常な程懐いている事、まるで母親の事を話すように私達にアリスという少女の話をする事。
 それら全てを考慮すると愛し合う者同士が時間と世界を越えて再びめぐり逢ったと考えるのが自然だわ」

「ならばリーン様は自身を触媒に途方もない規模の魔法を使用して成功させたのか……。ハッハハハハ! 幼い頃に御姿を一目見ただけだったが、まさか本当にそんな理由だけで神へと昇華するとはな」

 リリンが更に何かを言っているが我の耳には入らない。世界を支配する為ではなく、無限の力を手に入れる為でもなく───。ただただ真っ直ぐに、愛した人間と愛しいわが子の為、神にまで上り詰めた伝説のドラゴンの姿をハッキリと記憶の中から思い起こそうとして我は目を瞑った。

という訳で、ドラゴン達がノアに協力した理由と主人公とアリスちゃんにやたらと懐いている理由が分かる回でした。

 ちなみに『アリスちゃんにそんな懐いてた?』と疑問の方は42話のコンのセリフをご覧下さい。『~アリス様も皆が優しく育ててくれます。だからこのままで良い』とかなんとか言っています。

今回は作者の完全な趣味でいれたお話なので期待外れだったかも知れませんが次回は頑張りますのでどうか見切らないで下さい(´・ω・`)


追伸:編集中ですが次回はこれまでで一番長いです。
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