挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編 1年度 夏期休暇~異世界編~

40/77

会議と冒険

投稿時間の設定を間違えました、申し訳ないです。今回は短いですが次話が長くなる予定ですのでご了承下さい。

追記です、挿絵を更新しました! ぜひご覧下さい。
----荒川美紀 視点----

 メルカヴァ王国が連合を離脱してから1ヶ月程して本格稼動を始めたノア島では、今日初めて全ての部署が顔を合わせる会議が開かれる。自室で出席者に予め送信された各部署の報告を流し読みしてから、私は時間を確認して会議室へと足を運ぶ。
 会議室へ向かう途中で軍事部が設置してある棟の廊下からドーントレス姉妹を連れた修一さんに出会った。

「おう、美紀も今から行くのか?」

「えぇ、そうよ」

 修一さんは私に質問しながらも何かを気にしているようだ。辺りをキョロキョロと見渡している彼に、『どうしたのか?』と質問してみる。

「功樹は居ないのか? あいつも会議に参加するもんだと思っていたんだが」

「一旦、地球に帰らせたわ。確か今日は引越しを終えたアリスちゃん達が箱根基地に到着する筈だしね。忘れているかも知れないけど、私達がG-88に来てから地球ではまだ3日しか経っていないのよ? あまり功樹をこっちに滞在させると向こうで違和感がでるわ。成長期なんだし」

「そうか、それで本音は?」

 さすがに夫だけあって察しが良い、即座に聞き返してきた修一さんの姿に苦笑しつつ本音を教える。

「今回の会議のメインの目的が『4カ国連合』との戦争についてだからよ、情報部が収集してきた情報を見せるべきでは無いわ。もし、亜人種が虐待されている映像を功樹に見せたらどうすると思う?」

「間違いなく、その国を滅ぼすだろうな……」

 修一さんの言葉に頷いて同意を示すが私はそうは思わない。今までノア島の外に出たがっても止めてきたのにあんな映像を見せた場合、功樹は地球での自分の立場に重ね合わせて虐待を行っている国だけではなく『この世界に人間はいらない』と本気で人類種を攻撃すると思う。
 あの子にそんな事をさせたくは無い。虐待を行っているのは一部の人間達だけなのだから、その人間達を排除すれば事足りるのだ。そして一応だがその方法も考えてある。
 まずはこの後で開かれる会議で各部署の成果を聞いてから提案する事になるが……恐らく賛成を得られるだろう。そんな事を考えながら私は会議室の扉を開いた。



「それでは、全員が集まったようなので第1回報告会を開きたいと思います。なお報告会が終了後、『対4カ国連合戦略会議』も続けて行いますので宜しくお願いします」

 今回の会議ではロベルタさんがノアの制服を着て進行役を勤めている。本来なら修一さんの部下であるドーントレス姉妹のどちらかが進行役を勤めるのだが、今回は軍事部所属として会議に出席するので進行役を辞退したそうだ。私はロベルタさんの進行に合わせて手元の端末を操作しながら会議に耳を傾ける。

「最初に技術部・魔法研究班からお願いします」

「魔法研究班です。研究班ではノア島に到着した当初からG-88に存在する『魔法』に着目して研究を行ってきました。友好国であるメルカヴァ王国の魔法騎士団に協力を頂いた結果、魔法についての初期段階の解析が終了しました。こちらをご覧下さい」

 研究班の男性が大型スクリーンを操作して写真と数値を映し出す。しかしもう解析が終了したのか、技術部は私の管轄とはいえ最近はあまり顔を出していなかった筈なのに彼らは自分の仕事を精力的にこなしていたようだ。

「電子顕微鏡で撮影した写真に写っているのが魔法の核を成している『魔力』です。便宜上、『魔力分子』と名づけましたがこの分子を体に取り入れて魔法を発動しています。団員から許可を貰って精密検査を行ったところ、地球人には存在しない臓器が肝臓の裏側に見つかりました。
 この臓器で魔力分子を変換して魔法の発動を行っていると推測していますが、残念ながら詳しくは不明です。それと臓器を培養した事で判明した事ですがこの臓器は多量の魔力分子を貯めると崩壊します。
 これにより許容量が少ない生物は高濃度の魔力が存在している地域では活動出来ませんが、そもそも最初から臓器が無い地球人には無害です。更に───」

 なるほど……、臓器がない私達に魔法は使えないが同時に高濃度の魔力が充満する場所でも普通に活動出来る訳か。実際に人体実験でも出来れば臓器の解析も進むと思うが、倫理的に問題があるので当分は初期段階の解析で限界だろう。

「ありがとうございました。次は技術部・兵器開発班、お願いします」

「ご紹介頂いた兵器開発班です、最初に御手元の資料に記載していない最新の情報を報告致します。美紀さんから開発要請されていた『アリス型陸上戦艦・3番艦ミキ』の建造が終了しました、これによりアリス型は全ての建造が終了となります。
 次に魔法研究班と合同開発していた『魔力防護服』の生産を開始しました。生産された防護服はメルカヴァ王国に無償提供され騎士団に配備後、実戦導入されます」

 やっと私の名前が付いたアリス型が完成したのか……、2番艦じゃない事が悔しいけど我慢しよう。防護服については王国の騎士団が高濃度の魔力地域で戦術行動を取るのに必要不可欠な装備だ、他の物資の生産ラインも使用させて早急に増産させるか。

「他には秘密兵器開発チームが全ての兵器の開発を終了しました。チームは解体後、それぞれが得意とする分野の開発班に編入されます。後は───」

 ふむ、という事はアレらが使えるようになった訳だ。戦略の幅が広がった事に満足しながらプランを考えていると、数部門の説明が終わった後で普段は表に出てこない『医療部』の説明が始まった。

「あぁどうも医療部です、えーと開発していた『老化抑制剤』の生産が終わりましたので各部署毎に接種に来て下さい。この薬品はゲートを潜る時に人体内のT粒子を───、やっぱり説明すると時間が掛かるので止めます。簡単に言うと老化の速度を地球時間に固定する薬品で効果の利点については皆さんで考えて下さい。以上です」

 本当にヤル気がなさそうに説明して退散した医療部の姿に会議場の全員が呆れているが、彼女をリーダーとした医療部は抑制剤を作る為に5日間程徹夜していた筈だ……責めるのは酷というものだろう。
 抑制剤はノア所属の全職員に強制接種させるが、仮にこの世界の一般人と結婚して普通の人生を歩むと決めた職員に対しては解除剤の接種も行うつもりだ。

「では最後に政治部・統括班、お願いします」

「政治部です、王国との話し合いで王国領内と他国においてメルカヴァ王国の国旗と王家の紋章を使用する許可を頂けました。また一部地域の治安維持活動も我々が担う事になり王国側と協議の結果、王国領内に5箇所の新基地を設置する事になります。それと騎士団と共同で───」

 報告会が始まって3時間、まだまだ各部署からの報告は続きそうだ。私は今頃は地球に帰ってアリスちゃん達と食事でもしているだろう功樹の姿を想像して頭を休憩させる事にした。




----荒川功樹 視点----

 コンを連れてゲートを潜ると地球では丁度昼くらいの時間だった。俺はアリスを探して基地の中をうろつくが途中で会ったスキンヘッドに残念な知らせを聞く事になる。

「アリスちゃん達なら護衛の隊員と一緒に買い物に出掛けたよ」

 そう言って去ったスキンヘッドを見送りながら、突然暇になったこの時間をどうやって潰そうか考える。昼寝でもするか? 録画したドキュメンタリーは全部見終えたし、いまさら新たなシリーズを探すのも面倒くさい。

「おいコン、どうするよ?」

「コーン」

 腕に抱えているコンに声を掛けるが、コン自身も良い考えが浮かばないらしく元気無く尻尾を揺らしている。ノア島に帰って最近ハマっている射撃訓練でもするか……、そう考えてゲートに戻ろうとした所で腕にぶら下がっているコンの才能を思い出す。
 たしかコイツは謎の力で『鉱物』を作り出せる筈だ、もしかしてあの伝説の鉱物も作り出せるんじゃないか? 俺はダッシュで自分の部屋に帰り積み上がっている本を漁る。

「これじゃない、これでもない……あった! これだ」

 ボロボロの80年以上前に作られた今では珍しい紙媒体の本を開いてコンに見せる。

「コン、お前『オリハルコン』作れるか?」

 その中の一つを指差して多少興奮しながら聞いてみる。コンは『よく見せて』というような感じで俺の近くまで寄ってくると、本の前に座り込み尻尾をパタパタさせながら考えている様子だった。やがて首から下げているコミュニケーション道具の中から、紙とペンを取り出して文字を書き始める。

『うーん多分、魔力鉄鋼だと思いますが地球では無理です。G-88なら高魔力地域にある鉱物を利用すればいけそうですね』

 向こうなら作れるのか。欲しい……オリハルコンが欲しい! どうにかしてオリハルコンを集めて王国の鍛冶屋に頼んで剣を作ってもらいたいぞ! 俺がニヤニヤしながら考えてるとコンが足元で激しく鳴き始める。

『駄目ですよ! 絶対に駄目です。高濃度の魔力地域は危険な魔物が沢山います。危険なので行かせません、お母様に言いつけますよ』

 口に咥えた紙に自分の意思を書いて俺に見せながらコンは尻尾で俺の脚をペシペシ叩く。大丈夫だって、俺のスーツでサッと飛んで行って鉱物回収してパッと帰ってくればなんとも無い。
 最近は射撃訓練でショットガンも使えるようになったし、回収作業中にスーツから降りても大丈夫だ。俺がコンにそれを伝えると必死に紙に文字を書き始める。

『駄目ですって! なんでご主人様は後先考えないで行動に移すのですか!? 絶対碌な事になりませんから反対です』

 くそ……ペットの癖に意外と俺の事をちゃんと見てやがる。どうにかしてコンを仲間に引き入れなければ、鉱物を回収してきてもオリハルコンに変換して貰えない。なにか手はないか? 考えているとノア島でコンがトマトと引き換えに母さんに金塊を作っていたのを思い出した。

「コン、無農薬トマト3箱とキャベツ1箱でどうだ? 青森産の最高級リンゴもつけよう」

「コン!?」

 コンは尻尾をユラユラさせながら考えていたが、やがてゆっくりと紙に文字を書く。

『今回だけですからね、ですが条件があります。何があっても大丈夫なように出来る限りの重装備で行きましょう』

 重装備なら大丈夫だ、俺のスーツは元々高火力装備だし今日の兵器保管庫の警備担当者はコートさんだから融通してもらえると思う。俺は足取りも軽く再びノア島に向かうゲートを潜った。




「コートさん、銃の貸し出しと兵器庫からスーツの武装を持ち出す許可を下さい」

「許可書類はあるかい?」

 笑顔で保管室前にいるコートさんに頼むと許可書類の提示を求められた。この前マッチョから貰った射撃訓練をする為の許可証を提示すると、コートさんは端末に書類の番号を打ち込んで確認を取っている。2分程で確認が終わって許可証を俺に返してくると、俺が使用を許可されている武器を教えてくれる。

「いつものようにガス圧式のショットガン1丁と訓練弾30発だね。自分で取り行けるかな?」

「あの、許可証には無いんですが実弾とスーツ用の装備も借りたいんですよ。ちょっと王都に遊びに行きたいのですが……道中が不安で」

 俺がそう言うとコートさんは眉を顰めて答えてくる。

「ノア島から出る場合の実弾携行は許可されているけど、そもそも島からでる許可はあるのかい?」

 そんなモンあるわけない! 基本的に母さんは必要な時以外は俺を島から出してくれないので外出許可がでない、何度もお願いしたのだが何故か一度たりとも許可される事がなかった。
 絶対に最後まで陸上戦艦の名前を『ミキ』と名付けなかった事に対する嫌がらせだと思う。なので今回はオリハルコンの為に心苦しいながらも嘘を付く事にする。

「一応ありますが、母さんは会議に出席しているので許可証の発行が遅れています。今確認して貰ってもいいですが……会議中の母さんに通信する勇気あります?」

「俺にそんな勇気はないね。分かったよ、スーツの武装と実弾保管庫のロックを解除しておくから自由に持って行ってくれ。持ち出した武装は置いてある端末に入力するのを忘れないようにね」

 どうにかコートさんを突破できた俺は保管庫の中に入って持っていく武装を物色する。予備の燃料パックは絶対必要だな、他には電磁投射砲の弾薬と背面部に装着するミサイル発射装置も持っていくか。30分程かけて保管室で装備を選んでから、次に俺のスーツを保管している発着場の管制官の所にスーツの発進準備をお願いしに行く。

「すいません、荒川功樹ですけどスーツの発進許可を下さい。外出許可はありますが許可証は───」

 コートさんに話した内容と同じ事を管制官に話してスーツの発進許可をしてもらう。俺は更衣室でロベルタさんのおかげで完成したエルフ語の翻訳機能付き強化外骨格に着替えながらコンに自分の考えたプランを教える。

「コン良いか? まずは実際に王都の方向に向かうぞ。ノア島から100キロ離れた時点で一気に高度2万メートルまで上昇、燃料の消費を考えて高高度飛行を開始する。そこからはお前が強い魔力を感じる方向に飛行して魔力を含んだ石の回収を目指す。
 回収したら同じ手順で帰ってきてオリハルコンに作り変えてから王都で鍛冶屋に引き渡すぞ! あ、代金を金塊で払うから普通の石の変換も頼むな」

「コン!」

 コンは『まかせろ!』といった感じで胸を張りながら答えてくる。その答えに満足して準備してある自分のスーツを装着してから発進許可を待つ。警備活動から帰ってきたスーツの回収作業が終わった所で俺の番が回ってきたらしく、管制官から通信が入る。

「こちら管制官です。識別番号OF-7-001、スーツ装着者・荒川功樹。確認完了しました、発進準備に入って……手順緊急停止! 基地指令の荒川美紀さんから発進停止命令が届いています。装着者は大至急スーツを解除、管制センターまで出頭して下さい」

 バレた、間違いなく母さんにバレた。多分コートさん辺りが疑問に思って確認を取ったのだと思うが、残念ながら俺はもう完全装備でスーツの中だ……。しかも俺のスーツは音速を超えて飛行出来るのでノア島に持ってきている航空機では追跡できない。残念だったな母さん! 息子は反抗期なのだ! 俺は管制官に通信を返す。

「こちらOF-7-001、通信が良く聞こえませんがグリーンランプを確認したので発進します。誘導ありがとうございました」

 俺はバレた事が分かったので開き直り、最初から王都に向かう進路を取らずにコンが指示する方向に向けて飛行を開始した。
現状報告の回でした。ただ状況を書くだけだと芸が無いので会議方式をとってみました。

それと主人公&コンがオリハルコンを求めて旅立ちます。オリハルコンって現実では銅系合金だった説が有力らしいですね。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ