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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編1年度 前期

27/77

救出

 第3部です。それと全4部と報告しましたが編集していたら3部で纏まったのでこれでアリスの誘拐編は終わりとなります。
----荒川功樹 視点----

 高度2万キロ……、弾頭に押し込められているために何も見えないが俺は確かに宇宙にいるのだろう。先ほどまでは激しい振動も感じていたが、今は俺のパワースーツが発する僅かな機械音しか聞こえない。説明通りなら今は弾頭自体が目標に向かって指向しているはずだが、果たして大丈夫だろうか? 不安が膨れ上がるのと同時に母さんから通信が入る。

「功樹、聞こえる? こちらでは正常に送信されているから大丈夫だと思うけど」

 そうだ忘れていた……俺のスーツはあくまでも試作機だから衛星軌道から地球に向かって通信を送る手段を持たない、ここにいる間は一方的に音声を受信するだけだ。

「そろそろ、弾頭から分離するわよ。衝撃と酸素が漏れていないかスーツの気密に注意して」

 僅かな振動と一緒に白い煙が視界に入った、多分弾頭内に残っていた酸素が宇宙に放出されたのだと思う。気密性も問題ない、問題ないが。

「なんで回転してんだよ!」

 思わず怒鳴った俺は悪くない、普通こういう場面では地球を眺めながら『綺麗だ……』と感傷に浸る所だろうが!! ゆっくりとはいえスーツが回転しながら進んでいるから落ち着いて地球を眺められない。

「回転しているのが疑問かもしれないけど、それは重力に引かれない為に仕方ない事よ? その方が真っ直ぐ飛ぶしね。地球見物は次の機会にして頂戴」

 さすが母さん、俺の考えている事を完全に読んでいる。地球見物は諦めるとしても、せっかくだから持って来ていたチューブ入りのジュースを取り出して浮かばせながら飲む事にする。目の前に浮かんでいるジュースにテンションが上がる中、再び通信が入る。

「再突入10分前。多分持っていたジュースで遊んでいると思うけど、そろそろ気を引き締めてね。2分後に高度1万5千メートルに達するまでスーツの姿勢コントロールを貰うわよ」

 監視カメラでも付いているんじゃないか? 浮かばせていたジュースを全部飲んで現実逃避から頭を切り替える。ここからはどんな小さなミスも死に直結する……、再び心臓が早鐘を打つが深呼吸して冷静になるように言い聞かせる。
 操作パネルの中央にある画面には前に皆で撮った写真が表示されている。チャバネ君から全力で距離を取ろうとして写真の端に写っているアリスを眺めてから座席のベルトを締めなおす。

「再突入開始、大気圏に入ったら通信は送れなくなるわ。これから何か不測の事態が起きた場合は、功樹が最良だと思う行動をしなさい」

 そう言って母さんからの通信は切れた。そして徐々に地球が大きくなる、よく考えるとパワースーツ単体で大気圏に再突入したという話は聞いた事が無い。大丈夫だよな? 皆で作って信吾が調整して母さんが仕上げを行ったスーツだ、そう簡単に壊れるはずは無いと信じたい。そんな事を考えていると振動が強くなる。

「うぐっ……」

 歯を食いしばって振動と体を抑えつけるようなGにひたすら耐える。そして急に振動が途切れる、目を開けて計器を見ると高度1万1千と表示していた。手を伸ばして光学迷彩のスイッチを入れるがランプが付くものの本当に機能しているか自信が無い、これは帰ったら信吾に頼んで確認する方法を考案してもらわないといけないな。そもそも覗き目的で作った光学迷彩など軍事的に役に立つのだろうか?


ピピピ! ピピピ!

 降下を続けていると高度2千を知らせるアラームが響く、俺はスラスターを起動して降下速度下げつつ、母さんに言われたとおりに高度15メートル以下を飛行するように心がける。
 そろそろ敵味方識別信号を出さないと島を包囲している部隊に攻撃されるか? 姿が見えなくとも赤外線や熱探知型のミサイルには簡単に捕捉される。まぁ前提としてどの方向に撃って良いのかが分からなければ当たらないけどな。


「なんだこれ?」

 識別信号を出した瞬間に俺に向かって謎の電波が飛んできた。まさかバレたのか? 冷や汗が吹き出るが何か違うようだ、メガフロートで突貫改良された時に積まれた装置で解析すると国連軍の使用する通信帯から発せられているモノだった。なにかの位置情報だと思うがよく分からんな、とりあえず味方からの電波だし許可しよう……俺はそう判断して通信を許可するスイッチを押す。
 押した瞬間、一瞬電波が止まったが送信側で俺が許可したのが分かったのだろう、凄い量のデータが俺に送信されてくる。だが残念ながら俺にそんなモンを送られても有効に使えないぞ、信吾あたりなら通信の内容も理解できそうだが俺は適当に流し見るだけだ。だがその中で1つだけ俺でも有効に使えそうなものがあった。

「こいつは誘導電波か、潜水艦から送られているみたいだな」

 どうやら島の周囲に展開している潜水艦の部隊が比較的安全と思われる進路を示しているようだ。これは本気でありがたい、俺は同じ周波数帯で『ありがとう』と返信した後に誘導電波に従い島へと接近する。




 島の上空に到達し予定通りに手当たり次第に積んできていたミサイルをばら撒く……。だが洒落にならないくらいのレベルで地上から撃ち返されている、姿が見えないといっても音は聞こえるわけであり俺がいると思われる周辺ごと対空射撃を受けている。

「無理! 無理! 無理!」

 必死に逃げつつ煙幕と妨害弾を撃ちまくるが、これ以上は本当に無理だ。死ぬ! そもそも学生がやる仕事じゃないだろーが!!! ほら、今また俺の横スレスレを曳航弾が通過して行った。もう良いだろう……撤収したいんだが。半泣きで逃げ出す算段をしていると急に通信が入る。

「こちらは降下部隊、島全体に妨害効果を確認した。これより全軍による奪還作戦を開始する!」

と勇ましい声と上空に大型の輸送機が飛んでいるのが見えた。どうやら全周波数に向けられた通信のようだ、よし帰ろう!! 俺はスラスターを全開にして島から撤収する。高度を限界まで落としジャングルを抜けて海が見えた時に俺宛の通信が入る。

「功樹君、よく頑張ってくれたね! もう脱出して構わないよ。迎えの船が居るポイントの情報を送信するからそちらに向かってくれ」

 すいません、もう島から脱出して海の上です! さっきの降下部隊の人が俺に通信を送ってきたが既に俺は海の上だ……ちょっと早めに撤収してもバレてないだろ。そう考えながら、俺は送られて来た回収ポイントを見て危なく墜落しそうになった。

「逆側じゃねーか!」

 俺が向かっている方向と逆側に回収ポイントが表示されていたのだ。ヤバイ……弾幕を避けている最中に現在地を見失って反対側から出てしまった、このままコッソリと島の外周を回って船に向かおう。
 そう決断して高度をギリギリまで下げる、海面から3メートルの所を飛行しながら島を眺めると降下部隊の人達が戦っているのが見える。頑張ってはいるようだがかなり押されているのが見て取れた、俺と違って光学迷彩が搭載されていない為に降下中にかなり数が撃墜されているようだ。

「…………」

 このまま撤収しても良いのだろうか? アリスを助けるために皆が頑張っている中で俺だけが島に背を向けている、だが引き返したところで俺が出来る事なんて無い。ライフルが撃てるわけでもないし武装も無い、せいぜいが囮がいいところだ。だが通信が切れる前に母さんが言っていた事を思い出す。





『何か不測の事態が起きた場合は、功樹が最良だと思う行動をしなさい』




 現状で最良だと思える内容は、降下部隊を安全に地上へ降ろすという事だ。なら俺の行動は決まった……先ほど誘導電波を送ってきた潜水艦に通信を送る。

「荒川です、聞こえますか?」

 日本語で話が通じるか不安だったが予想に反して日本語で返答が返ってくる。

「こちらは国連所属潜水艦、トルストイのオペレーターです。どうされましたか?」

「今から島に引き返して囮を行います、お手数ですが降下部隊の方に連絡をお願いできませんか?」

 俺がそう伝えるとトルストイ側は少し待つようにと俺に言ってきた、その場でスーツをホバリングさせて返答を待つがその間にも目の前では激戦が繰り広げられている。ジリジリと時間が過ぎていく中やっと返答が入るが内容は望んだものでは無かった。

「上層部に連絡しましたが許可は出来ないそうです。このまま撤収してください」

 いやいや!! なに役所みたいな事言ってるんだよ、お前らの仲間が戦ってるんだぞ!? さっさと連絡しろよ。そう怒鳴ろうとしたが続けられる通信に押し黙る。

「ですが先ほど『手違いで』そちらの位置情報と提案を降下部隊に送信してしまいました。すぐに取り消されましたが降下部隊からは『了解した』と返信が来ています」

 どうやら融通が利く役人だったようだ、向こうが手違いをしたならしょうがないな……俺は笑いを堪えながら返信する。

「了解しました、残念ですがこのまま撤収します。ですが被弾によりGPSが故障しました『手違いで』島への侵入コースを取るかもしれませんので誤射に注意してください」

 そう伝えた後、スラスターを全開にして島へと舞い戻る。島へ着陸した後は、光学迷彩を再び起動させ音でバレないように出力を限界まで下げつつゆっくりと動きながら、空にむかって撃ち続けている高射砲陣地に侵入する。

「ハロー」

 陣地のど真ん中で迷彩を解除して外部スピーカーで叫びながら手を振ると、突然現れた俺に驚いて高射砲が完全に止まる。そして歩兵が必死にライフルで撃ってくるが、全く通用しないと分かると高射砲が俺へと向けられる。 よっしゃ! 予定通りに完全に意識がこちらに向けられた。俺はすぐさま迷彩を再起動させて全力で逃走する、蛇行しながら逃げていると再び空に向かって撃ち始めたので今度は逆の方向から侵入する。

「オウイエー!」

 完全に相手を舐めきった感じで手を振りながら姿を現すと、カメラ越しに敵兵が顔を真っ赤にしているのが目に入る。再び俺を狙って撃ってくるのでそのまま別の陣地へと向かう、振り返って俺を警戒している為に上空を撃てないでいる状況を確認して満足する。
 そんな事を何箇所かで続けていると降下部隊が安全に降りれるようになっているのが分かった。

「もう大丈夫だろう、高射砲も完全に俺を警戒してるし潮時だな」

 俺は今度こそ回収ポイントにむけて飛行しようとして、トラックに載せられている『俺のパワースーツ』を発見した。





----アリス・アルフォード 視点----


 武器を持った人達に輸送機に押し込まれてから私は直ぐにスーツの機能を『緊急モード』にして立て篭もる事にした。功樹君のお母さんが注文したこのスーツは、息子を守るために最大限の努力が払われている要塞と言っても過言ではない物だ……バッテリーが切れるまではこの中にいれば安全のはず。何時間か飛行機で移動した後、今度は音で車に乗せられているのが分かった。私は一瞬だけメインモードに戻して外の様子を窺う。

「ジャングルが見える……それに外気温が38度? ここ熱帯地域なんだ」

 再び緊急モードに直して膝を抱える。助けてくれる人は私の居場所が分かるだろうか? 泣きそうになるのを我慢しながら父に言われた事を思い出す。

『アリスお前は特別な存在だ、もしかしたらこの先お前の身が危険になる事があるかもしれない。だがそんな時は冷静に助けが来るのを待つんだよ? 必ずパパやアリスの事を大切に想っている人達が迎えにいくから心配するんじゃない』

 あの時はこんな事になるなんて思っても居なかったが、いざこの状況になってみると恐怖と不安で押しつぶされそうになる。そんな時、左手につけている端末が目に留まり何気なく触れると前に皆で撮った写真がデスクトップに表示される。
 功樹君と斉藤君とメグミンにチャバネ君が写っていて、私はチャバネ君が苦手で写真の端に収まっている。結局最後までチャバネ君に触れなかったけどあの子には悪い事をしたと今は後悔している、功樹君は斉藤君と一緒にチャバネ君の触覚を握って笑いながら写っていてメグミンは斉藤君の服を掴んで微笑んでいる……。

「また皆に逢えるのかな?」

 どうしても弱音が口に出てしまう。その時、外から外装を壊そうと叩いている音が聞こえた! 何度も激しく叩いている様子だったが煙が出るような音と共に聞こえなくなった。侵入防止用の催涙ガスが散布されたのだと思うが私は恐怖で泣いてしまった。

「ふぇ……怖いよぉ功樹君」



 ハッとして端末を見ると2時間近く経過していた。どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、でもなぜ目を覚ましたのだろうか? 疑問に思っていると遠くで音が聞こえる。間違いない学院で聞いたのと同じでこれは爆発音だ。助けが来たのだろうか? 息を殺して様子を窺っていると何かが高速で飛び回る音と連続した爆発音が聞こえる。

「スーツを起動したほうが良いのかな?」

 私は起動ボタンを押そうとして考え直す、もし助けではなかった場合は無駄にバッテリーを消費する事になる。今はまだ大人しくしておいた方がいいだろう、そう判断してそのまま爆発音を聞きながら待機していると車が動き出すのが分かった。
 このままではいけない! やはりこの音は助けが来た音だったのだ、それで慌てて移動しようとしている。私はスーツの起動ボタンを押してメインモードに直した後で必死に立ち上がろうと操作するが、固定されているようで動けない。そして急に全ての電源が落ちる……

「バッテリーが切れたのね」

 どうやら今の足掻きで最後に残っていたバッテリーを使いきってしまったようだ。再び膝を抱えて蹲る、もうこれで身を守るスーツは無力化してしまった。後は重機でも使えば妨害無しに簡単に開けることが出来てしまう……相手もその事を理解した様子で、今までと違う重たい音でガンガンと装甲を叩いているのが分かる。

「最後に功樹君に逢いたかったなぁ……」

 そんな言葉を口に出しながら覚悟を決めていると、外から声が聞こえる。

『アリス、さっき動いてんの見えたから中にいんだろ? 早く出て来いよ』

 聞き間違いだろうか? 今確かに功樹君の声が聞こえた気がするが気のせいだと思う。助けが来たとしても彼が居るわけがないし、私の最後に逢いたいと思う気持ちから生じた幻聴だ……そう考えるが声はまだ聞こえ続ける。

『アーリースー、はよ! もうヤバイから僕本当に死んじゃうから! お願いだから出てきてコッチ乗って』

 私がスーツを解除して外に出ると、ハッチを開けて手招きしている功樹君が居た。

「早く! トラックの運転手はビビッて逃げたけど戻ってくるかもしれんから、僕のスーツに乗って逃げるぞ」

 フラフラと功樹君に近づくとスーツの手で私を掴みあげて操縦席に押し込む、そのまま自分の膝の上に私を載せてから頭を撫でてくれた。

「おつかれ、よく頑張ったね。さぁ帰ろう」

 笑いながらそう言ってから、どこかに通信を送り始める。

「トルストイ、聞こえますか? アリスを救出しました。これより回収ポイントに向かいますが、1人増えたのでスラスターの燃料が持ちません。そちらで回収してもらえませんか」

「こちらトルストイ、了解しました。浮上してお待ちしています」

 キリッとした表情で通信をしている功樹君は、本当に格好良い。私が思わず抱きついてしまうと困った表情をしていたが私も1人で頑張って耐えていたのだ、これ位のご褒美があっても良いと思う。功樹君にしっかりと抱きつきながらさっきから疑問だった事を聞いてみる。

「どうやってここまで来たの?」

「前に行ったメガフロート覚えてる? あのチャバネ君を見送った場所。あそこからロケットで宇宙に出てから地球に再突入して島まで飛行してきたんだよ」

 さらりと凄い事を言った気がする……。宇宙? つまり功樹君は私を助ける為にロケットの力を借りたとはいえ数万キロも飛行してきたと言うのだろうか。本人は大した事では無いという表情をしているが、とんでもない事を実行したという自覚はあるのだろうか?

「きっと無いと思うけど……」

 小声で私が言うと、『なんか言った?』と聞いてくる功樹君に笑顔で首を横に振る。私の大好きな彼は自分がどんなに凄い事をしたとしても、それを誇ることも自覚する事も無い。
 人によってはその事を『気取っている』とか『馬鹿なだけ』と陰口を言うが、私は功樹君は本当に『どうでもいい些細な事』と思っているんだと考えている。きっと功樹君にとって『凄い事』というのはもっともっと、それこそ人類にとって新発見と言われるような偉業を指すのだろう。そしていつか必ずそんな偉業を成し遂げる日が来ると思う……。
 私はその時に功樹君の隣に居るのかな? いや絶対に隣に居るんだ! そんな決意をしていると海上に浮上している潜水艦が見えてきた。どうやらそこに向かって飛行しているみたいだからアレが『トルストイ』なのだろう、そしてゆっくりと着艦する。

「トルストイにようこそ! 英雄をお迎えできて光栄であります」

 甲板に出てきた艦長だと思われる人に最敬礼でそう声を掛けられると、功樹君は『英雄なんかじゃないんだけど』と苦笑いしていた。




 私はその顔を見てクスリと笑う、ほらやっぱり自覚していない……。







----荒川美紀 視点----


 救出が成功して半日、まだ功樹が帰って来ていない自宅で私は修一さんと映像通信をしていた。かなり忙しかったのだろうか? 顔がやつれているのが分かるが今回の真相が知りたい。修一さんが重たそうに口を開く……

「悪いな美紀、何も分からなかった」

 どういう事だろう? 島は国連軍が完全に制圧したはずだ。証拠くらい探せばいくらでも見つかるだろう、私は語気を強めて質問する。

「まず、今回の件を計画したのは例の宗教の大司教だ。だがヤツは逃げた、あれだけの包囲網を簡単に突破してな」

 そんな事は在り得ない! 百隻以上の艦艇と衛星が島を監視していたのだ、どうやって逃げる事ができるのだ。

「そうだ在り得ない、だが現実として逃走しているんだ。間違いなく作戦に参加した国で情報を漏らしたヤツがいるな。装備もそうだ、一宗教団体が揃えられるような規模では無い。信じられるか? 条約で禁止されている核兵器まであったぞ」

 どうなっているのだ? 功樹が狙いなのではないのか。それともアリスちゃんが狙いだったのか。

「生き残りを尋問したが、鹵獲したスーツの中には功樹が居るのだと信じていたようだ。末端信者は功樹を暗殺しようとしていたと見て間違いは無い。だがな、大司教の部屋を調べたら持ち出せなかった書類がいくつか見つかった」

 そこで言葉を区切りプロの軍人としての表情を浮かべる。

「書類の中に功樹とアリスちゃんの写真があった。恐らくだが、スーツの中に居たのが功樹でもアリスちゃんでも良かったのだと思う。どちらかを消せれば満足だった……こちらではそう結論を出している」

 国が絡んでいるとしたら捜査は難航するはずだ。まして大国だとすれば尚更だ、私はその事に関して質問する。

「取り合えずは逃げた大司教の拘束が目標だな、ヤツを捕まえればすべてハッキリする。後はどの国が情報を漏らしたのかだが、それは部下のクレアに任せてあるからいずれ尻尾を掴むだろ。それよりアリスちゃんの事だがな」

 分かっている……功樹が良いのなら私達が口を挟む問題ではない。それにわざわざ事を荒立ててお嫁さんになるかも知れない女の子を傷つける事もしたくない。

「なら良い。継続してアリス計画に関しては調べる事にはなるが、俺は写真と情報でしか知らないけど良い子なのだろう? 功樹にしては上出来だ……まぁ美紀の方が美人だけどな。ところで功樹はまだ俺の事を『マッチョ』と馬鹿にしているのか?」

 修一さんが確かに脳筋でマッチョなのは否定しないが、国連の特殊部隊に所属している事を言わないのも馬鹿にされる原因だと思う。

「いや、いずれ功樹がテレビや映画を見ている時に特殊部隊が映ったりして『カッコイイ』とか言っている時にな、『実は父さん……』ってそこで初めて俺が特殊部隊に所属してい……」

聞きたい事は全て聞いたので興奮している『馬鹿マッチョ』との通信を切る。今後は警護を増やす事にしよう、アリスちゃんの警護もこちらで行う事として後は……



 功樹が帰ってくる前にやって置く事を実行しながらふと思い出す、そういえばコンをすっかり忘れていた。
 本当はトルストイの艦長視点とか……降下部隊の隊長が主人公の行動を評価して、ぜひ軍に入隊してくれーー! となるシーンがあったのですがくどくなるのでカットしました。なの今回の勘違いはアリスちゃんの、主人公への評価のみです。

 最近なんか危険な話が多かったので、次回からはまったとりした日常をお送りしたいと思います。
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