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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編1年度 前期

24/77

光学迷彩

 このお話はイエローケーキさんのネタとL+Fさんのコメントから発想を得まして、試しにちょっとHなお話を書いてみました。下ネタ系はどんな評価なんですかね……。
----荒川功樹 視点----

 俺はこの頃ずっと考えている事がある。俺が転生したこの世界では、軍事技術が飛躍的な発展を遂げている。パワースーツや宇宙軍なんていうシロモノまである、ならばアレが作れるのではないか?
 丁度よく今日はアリスも相川さんも講義が学院外で行われる為に研究棟に来ることはない。俺はコンにトマトを食べさせながら芸を仕込んでいる信吾に真剣な表情で話しかける。

「信吾、相談がある。とっても大事な事なんだ」

 俺が普段とは違う様子で話しかけると、信吾も姿勢を正して続きを促してくる。

「信吾、僕は『光学迷彩』を造ろうと思う」

 俺がそう言うと、信吾は理由を聞いてきた。彼曰く……どうしてそんなモノを造ろうとするのかが気になるらしい、それに余りにも危険な理由なら学院長に報告する必要があるとも言ってきた。今ここで適当に真の理由を誤魔化す事は出来る……、だがそれで本当に俺は後悔しないだろうか?
親友を騙して真実を隠して光学迷彩を造っても俺はきっといつの日か後悔する時が来るだろう。心の中でそう判断した俺は、信吾の目を正面から見つめハッキリと目的を言葉にする。

「僕は、アリスのシャワーを覗きたい」

 俺の言葉を聞いた瞬間、信吾は驚いた表情で何かを口にしようとしたが手でそれを制す。俺の言葉にはまだ続きがあるんだ、どうしてもそれも信吾に聞いてもらわなければいけない。

「ここには……僕の研究棟にはシャワールームがあるのを知っているね。そしてここは相川さんも使用している研究棟でもある」

 話ながら信吾を見ると、どうやら聞く耳はあるようだ。俺は冷静になる為に紅茶を口に運びつつ話を続ける。

「もし仮に相川さんがシャワーを使う時に、信吾は大人しく待っていられるかい? キミはこう思うはずだ『覗きたい』と。しかしただ覗くだけならバレた時が怖い、そこで使用するのが光学迷彩だよ。
 もしここ迄の話を聞いて倫理的な理由で手伝うのを拒否すると言うのなら構わない、僕は信吾を責めたりはしない。ただ出来ることなら今の話は秘密にして欲しい、僕は1人でも制作に入るつもりだからね」

 一気に喋った後、紅茶が入ったカップを机に戻しつつ信吾の方を見る。そこには漢の顔をした親友の姿が……いや『同志』の姿があった。

「フヒィ! 協力するに決まってるじゃないか」



 信吾の力強い一言を貰い、俺達の『光学迷彩開発計画』が幕を開けた。






----荒川美紀 視点----


「緊急報告です」

 私が自室で研究内容をレポートに纏めていると、功樹の警備担当者と修一さんの部下であり功樹の個人端末の情報などを調査している情報担当の人物が通信を送ってきた。またあの子が何かやったのか? 私がそう考えていると、情報担当者が説明を始めた。

「先日から、功樹君の個人端末の使用量が極端に増大していたのを確認していました。我々は原因を究明、プロテクトをかけられたフォルダの中にあるものを発見しました、そちらに転送します」

 私の端末に送られてきたファイルは『秘匿計画』と名前がつけられていた。もはや嫌な予感しかしないが中身を確認する。

『光学迷彩開発計画: 個人で使用可能な光学迷彩を開発するのを目的とする。最低達成能力は、静音・防水・30分以上の稼働である。追加目的として屋外で使用する為にパワースーツに搭載可能を目指す』

 私の息子は何処かの国と戦争でも始めるつもりなのだろうか? あの子がこの前造った第8世代機もそうだし、制作の手伝いをしていたAI搭載型作業ロボットも冷静に考えたら猛烈な戦争準備としか考えられない。合衆国のような大国はともかく、小国ならあの子1人でも余裕で陥落させることが出来る。私は最悪の予想を浮かべながら2人に指示を出す。

「この件は上層部と夫に相談してから判断します。それまでは監視のみにとどめて下さい、下手に功樹を刺激した場合あなた方の命が危険になります」

 そう言って通信を切った後、私は直ぐに修一さんの個人端末を呼び出し通信を送る。

「アイツは何をする気なんだ」

 直ぐに繋がった修一さんにファイルを転送して相談すると困惑した様子で頭を抱えている。結局私達は、彼女も出来たようだし直ぐになにか危険な事を実行に移すはずがないという結論をだして厳重な監視を継続することに決めた。



 数日後、功樹の監視を行っている特別班から緊急の連絡が入った。

「功樹君と友人が試作した光学迷彩の試験稼働を実施、成功しました。赤外線探知機には反応しましたが肉眼では完全に姿が消失し、その後20分間完全に透明化していました」

「わかりました。他に報告は?」

 私がそう聞くとどうやら、小型の昆虫型ロボットに数分間だけ透明化する光学迷彩を搭載した偵察型も何体か試作したようだ。困った事になった、ここまではっきりと戦争準備を行っているのではこれ以上庇うことは出来ない。果たして何処の国に宣戦を布告するつもりなのだろうか? 私がその哀れな国家の特定作業に入ろうとした瞬間、心臓を鷲掴みにされるような報告が入る。

「緊急です! 功樹君が学院内で偵察型の実戦投入を決断。現在既に使用を開始しています」

 間に合わなかった……、あの子が偵察型に何をさせるつもりかは分からないが学院は地獄と化すだろう。私はなぜもっと我が子の心情を理解しなかったのかという後悔を噛み締めながら指示を出す。

「息子の姿をこちらにも中継してください、何をやっているのかが分かれば手の打ちようがあります。それと自衛軍に出動要請をお願いします、生徒の避難に当たらせるように伝えてください」

 私の端末に功樹の姿と音声が入ってくる。お願いだから同じ学院の生徒を殺めるのは止まって欲しい……そう願いながら功樹と隣にいる斉藤君の声に耳を澄ます。

「ロベルタ先生は水泳部の顧問だったよね?」

「フヒ、そうだよ。今の時間なら更衣室だと思う、コガネムシ君一号なら換気扇の隙間から入れるよ」

 そう言いながら端末を操縦しているのがわかる。そして、

「侵入成功!」

「功樹どう? おっぱい見える?」

「慌てるなって、見つかったら潰されるぞ。こいつは見た目はただの虫なんだから」

と盛り上がっているのがわかった。これはどういう事なのだろう、兵器実験ではないのか? 私が混乱していると『ロベルタ先生のデカイな』などと興奮した様子で喋っている。間違いない、これは本気で覗き行為を極めようとしているバカ息子とその友人だ。目眩がする中私は監視班に通信を送る。

「もういいです、撤収してください。それと自衛軍には誤報と通知をお願いします」

 そう言って通信を切った後、私は『息子の健全な成長』を喜ぶべきか『覗き行為』を叱るべきか暫しの間本気で悩むことになった。




----荒川功樹 視点----

 昨日の夜からずっと考えていることがある、どうして母さんがそんな事を言ったのか理解出来ないが事実として認めなければならない。正直悔しい思いもあるが母さんの意見を聞いて損をした覚えが無いので渋々だが、コンにバナナを食べさせながら芸を仕込んでいる信吾に真剣な表情で話しかける。

「信吾、相談がある。とっても大事な事なんだ」

俺が普段とは違う様子で話しかけると、信吾も姿勢を正して続きを促してくる。

「覗きが母さんにバレた」

「えええ!? なんでさ」

 しらねーよ!! 俺が聞きたいくらいだよ。昨日の夜いつも通りに夕食を食べていると突然『こうちゃん、興味があるのは理解できるけど覗きは駄目よ。アリスちゃんに知られたら振られるわよ? 間違いなく』って笑顔で伝えてきたんだよ。どっから情報が入ったんだ、とっても怖いんだが……。俺が全部正直に伝えると少し考えた様子で聞いてきた、

「フヒ、じゃあ完成した光学迷彩はどうするの?」

「僕のパワースーツに一応搭載して、後は信吾の次の研究発表の時にそのまま流用しちゃっていいよ」

 別に俺が研究のレポートを持っていてもなんの役にも立たないしな。ここは同志に気前良く渡して、次に何かあった時に協力関係がスムーズに結べるようにしておこう……。多少打算的に考えていると信吾が声を小さくして聞いてきた、


「あの時撮ったロベルタ先生の『写真』はどうするの?」

 そんなもん厳重にプロテクトを掛けて端末に保存するに決まってるだろ!! 俺がそう答えると、




 笑顔でサムズアップしてくる同志の顔がそこにあった。
光学迷彩についての裏話設定。

国連で使用しているのはスクリーン投影式の迷彩です。映画館なので白い布に映像を映していますよね? あれと同じ原理を使用した迷彩です。現実の世界でもアメリカ軍が研究中の技術です。

 アラカワ式の迷彩は表面処理型の迷彩で、スーツの表面に背景の映像を流しています。メタルギアソリッドシリーズのステルス迷彩や一般的なステルス迷彩といった感じのタイプです。
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