挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編1年度 前期

22/77

閑話~新しい家族 (挿絵あり)

今回は特に勘違いもなく、新しい家族が出てくる紹介回です。別のお話と一緒に書いたものですがこれだけで公開したほうが良いと思い、閑話として投稿しました。日暮之道吟醸さん作スキンヘッドの挿絵を追加しています。詳しくは『挿絵を頂きました』を御覧下さい。
----荒川功樹 視点----

「ただいま、母さん」

 夕方、いつもの通りに俺が学院から帰ってくると母さんがキッチンで夕食の準備をしている。ふむ、この匂いだと今日はシチューか…。俺は部屋に入り服を着替えてから再び母さんの所に顔を出す、

「母さん、おなか減った」

「もう直ぐできるから座って待っててね」「コン、コン!」

 夕食の催促をすると、少し困ったように俺に席に着いて待っているように促すので大人しく座る、暫く待ってからテーブルの上に運ばれてきた食事を母さんと一緒に食べる。学院に入学してからは、学院であった事やその日の一番印象に残ったことを話したり母さんの研究を聞きながら食べるのがルールになっている。

「あら、そんな事があったの?」「コン」

「うん、信吾のヤツ今日も相川さんに抱きつかれてたよ」

 食事を食べ終えて風呂に入ってから部屋に入るとアリスから通信が入っていた。この時間に珍しいな……、俺はそう思いつつ掛け直してみる。

「功樹君ごめんね、明日の事なんだけど」

「どうしたの?」「コン……」

 どうやら俺の研究棟で明日薬品の研究をするから、2階に立ち入る時は予めアリスの個人端末に連絡してから来て欲しいらしい。そういえば前に勝手に2階にある薬品を信吾が取りに行った時、アリスが製作中の薬剤の粉が風で吹き飛んで大変な事になってたな。俺はそれを思い出し、他のメンバーに伝えるように忠告する。

「うん分かったよ。ところでさ……ずっと聞こえてる『コン』って鳴き声みたいなの何?」

「あーこれ? なんか家に帰ってきたらドラゴンがいた」

 俺はそう答えながら目の前にいる『ドラゴン』を改めて眺めてた、端末の向こうでアリスが絶句しているのが分かる。大丈夫だアリス、俺も家に帰ってからコイツを見た時にどう反応して良いか分からずスルーしていたんだよ。
 そんな事を考えていると『なんか疲れているみたいだから、早く休んでね』と言いながらアリスは通信を切った。まぁ、普通はそんな反応だよな。それにしてもコイツは一体なんだ? 母さんが創造した不思議生物なのか……。

「おい」

「コン?」

 反応が在るという事は言葉を理解しているようだな、首を傾げながら『なに?』という感じで俺の言葉を待っているドラゴンを観察する。俺はとりあえず指でコイツの顔を突っつく

「コン! コンコン」

 どうやら嫌なようだな。必死に俺の指先に噛み付いているが全く痛くない、まぁコイツ20センチくらいしかないしな。見た目はファンタジーな世界に出演しているあのドラゴンをそのまま小さくしただけだ、一丁前に羽まで生えてやがる。ふと、そこで俺にある考えが浮かぶ!

「おい、お前飛べるのか?」

「コン……」

 無理です、という感じで羽をパタパタしているが可愛くない。じゃ次はアレだな

「火とか氷は吐けるのか?」

「コーン……」

 どうやら何も吐けないらしい、ドラゴンじゃないのか? それも質問するがそれには胸を張って答えてくる。いや飛べないし吐けないんなら、唯のトカゲじゃねーかよ! まてよ……言葉を理解するトカゲか。

「お前売れるんじゃね?」

「コ、コン!?」

 売るのは冗談だとしても、コイツの素性を調べないとな。間違いなくこんな不思議生物が家にいる原因は母さんだ、この時間なら部屋で研究しているはずだな。俺はそう考えて母さんの部屋に行きノックをするが返事が無い、地下の資料室か? 改めて地下に行くと母さんが床に魔法陣を描いて何かをやっていた。



え? なになになに!? まさかコレ母さんが召喚したの?



 俺が声を掛けると、黒魔術が書いてありそうな本をしまいながらこちらを振り向く。

「こうちゃん!? どうしたの?」

『どうしたの?』ってそれは俺が聞きたいよ母さん。天才科学者と思っていたのに裏ではこんな事をしてるなんてドン引きだよ、俺が遠まわしにそう言うと慌てて否定してくる。

「違うのよ! お母さんだっていきなりドラゴンの子供が孵るなんて思ってなかったの。研究室で仕事をしていたら、前に貰った『鱗』からいきなりその子が出てきたのよ? 動揺して本当に魔術が存在するのか試してみたくなるのは理解出来るでしょ」

 全く俺は理解出来ないが、鱗から孵ったとはどういう事だ。俺は貰う時に伝説の古龍の鱗だと説明を受けていたのだが……。母さんがクローンでも作ったのか? 俺はそう思い聞いてみる、

「貰ってからお母さんの職場の机に飾っておいたんだけど、仕事中に突然割れて中からこの子が出てきたの」

 そう言いながら、足元によって来ていたドラゴンを抱きかかえて俺の方を見る。いや、鱗から出てくるなんておかしいだろ!? 更に俺が問い詰めると自分の考えを教えてくれた。

「こうちゃん、前に異世界の事を教えてくれた時に魔物の話をしてくれたわよね? その時『ドラゴンは人間には討伐する事は難しいって聞いた』と説明してくれたけど、じゃあなんでアレが『鱗』だって現地の人は理解できたの?」

 いやだってそれは言い伝えとかじゃないのか? そもそも卵みたいな形じゃないし、あれは鱗だろう。そう考えていると母さんの説明は続く、

「恐らくね、鱗じゃなくて卵かそれに近い物だったのだと思う。お母さんは仮死状態で休眠していたと考えているの、こちらの世界でも同じような方法で数年から十数年間の長い時間を休眠する生物もいるしね。魔法なんてとんでもない技術があるのなら、それこそ数百年単位で休眠することも可能だと思うわよ」

 微妙に説得力があって腹が立つが母さんの考え通りなら、なぜ今更孵化したんだ?

「こうちゃんが、こっちの世界に帰る時に何十人もの人間が一斉に魔力と呼ばれる物質を使用したんでしょ。それが引き金になって休眠を止めたんじゃない?」

 なら俺が原因なのか……、母さんに抱かれたままのドラゴンを見ながら俺は考える。なんか申し訳ないな、ここはお前が本来いるべき世界じゃないのに。

「今は害がないからこのまま家で面倒を見ましょう。数百年も生きるドラゴンなら成長するまでに時間もかかるだろうし、それまでには元の世界に帰す方法をお母さんが見つけておくわよ」

 『見た目は珍しいトカゲで通用できるしね』と付け加えながら笑いながら話す。取り合えず明日、学院でアリス達にも相談しよう……俺はそう結論して部屋に戻った。




「可愛い!!」

「キミ火とか吐ける?」

 翌日俺の研究室棟にドラゴンを連れて来たのだが、アリスと相川さんは一目で気に入ったようだ。俺は信吾と2人でその様子を眺めているのだが適応能力の高さに苦笑いしか出来ない、もうちょっと驚けよ!

「功樹、名前とか付けたの?」

 隣で信吾が俺に聞いてくるが、そんなもん付けてない。名前か……俺がドラゴンを見つめるとその視線に気付いたように鳴きながら寄って来る、俺の手に顔を擦りながら甘えてくる姿は意外と可愛い。

「功樹君、皆で名前付けようよ」

「いいよ、皆で決めようか」

 いつまでも『おい』とか『ドラゴン』で呼ぶわけもいかない、そう考えて許可を出したのだが皆のセンスが壊滅的だったのに俺はこの時初めて気付いた。

「フヒ! ボクは『幻龍ノクターナル』が良いと思う!」

信吾、お前何歳だよ。

「駄目よシン君、この子は『ローズ・ウェルディー』にするの」

 相川さん、ウェルディーってなんだよ。そんな中アリスは真剣にドラゴンを見つめた後、俺の方を向いて名前を口にする。

「功樹君、私は『白銀の騎士クレイド』がいいと思う」

 お前もかよ!? だいたい騎士じゃねーからな? ただのトカゲもどきだろコイツは! ドラゴンは小さくなりながら『コン……』と嫌そうに鳴いている。

「お前、名前『コン』で良いか?」

「コン! コンコン!!」

 俺がそう言うと嬉しそうに擦り寄ってくる。よし、決まりだな……コイツ自身が認めるなら今日からコンだ。他のメンバーから大ブーイングだが気にしない、大体ノクターナルなんて人前で呼べねーよ! そんな時に相川さんが大声でこんな事を言った。

「そもそも、この子がドラゴンの癖に『コン』なんて可愛い声で鳴くから悪いの! もっとドラゴンぽく鳴いたらローズでもしっくりするのに」

 それを聞いた俺はコンに話かける、『別の鳴き方は出来るか?』そう聞くとコンはトコトコと机から降りて部屋の端まで歩いた後に振り返り、大きく息を吸う。そして、











グルアアアアアアアアアア!!!!!!

と今までの鳴き声ではなく、確かな『咆哮』を上げた。俺の方を見ながら『どう?』と言わんばかりに胸を張っているコンを相川さんは驚いた様子で眺めている。

「コンちゃんでいいと思う」

 アリスがお願いだからこれからも『コン』と鳴いてくれと懇願している。俺はその様子を見ながら今の咆哮の衝撃で散らばったカップ類の片づけを、原因である相川さんに押し付けようと心に決めた……。


挿絵(By みてみん)
活動報告を更新しました。まだ見ていない方は御覧ください、今後のお話の展開に関する事を書いています。

重大な追記です、このお話は『フタ』様からのネタで書いています。申し訳ありません、記述を忘れておりました。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ