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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編1年度 前期

16/77

宇宙からこんにちは (閲覧注意 ゴキさんが出ます)

私と同じ様な発想をした、むぅみんさんとの合わせ技のお話です。これ迄で最大規模の勘違いをお送りします。チャバネ君が苦手な方は斉藤君の視点迄でお止め下さい。そこ迄で一応は主人公の勘違いは解決します、その後からは斉藤君とチャバネ君タイムです。
 地上から3万6千キロ……、宇宙空間にソレは浮いていた。円筒形をしているソレの側面には黒いマジックのような物で『開封厳禁』と書き殴ってある。そしてソレに近づく魚のような形をした機械があった。その機械はまるで思案でもするかのようにソレの周りを飛んでいたが暫くして止まり、やがて意を決したかのようにそっとアームを伸ばした。
 ゆっくりと、もどかしい程ゆっくりとソレをつかんだ瞬間……。まるで息を吹き返したかのようにアームから逃れ飛んでいってしまった。残された機械は困ったようにソレが飛んでいった方向を眺めている。




 レンズには、『青い地球』が映っていた。




----荒川美紀 視点----


 私は今、国連から依頼された『外宇宙探査と付随する国際宇宙ステーション』の開発を指導している。火星より外側にあるアステロイド帯に宇宙ステーションを設置し、そこを拠点にしながら外宇宙に向けて無人探査船を飛ばすという計画だ。だが難問が多すぎる。
 第1に、長期間のステーション滞在における問題だ。閉鎖空間で人間が受けるストレスというのは尋常な物ではない、試験的に運用されている『国連宇宙軍』の中でも同じ問題が浮上している。

「功樹に聞いてみようかしら」

 そんな事を呟いたが、あの子は学院で友人達と楽しく勉強と青春を満喫している。こんな事で手を煩わせるべきではない。そして、もう1つ……私の頭を悩ます問題がある。

「地球の衝突コースに乗る可能性がある小惑星ねぇ……」

 小惑星の軌道計算を行ったが、82パーセントの確率で衝突は回避される。なんらかの外的要因が関わらなければ、まず問題が無い数値だがこの件も具体的な対処案を提出しなければならない。
 それに他にもステーション完成後に火星で行う有人探査の具体的な計画や調査船の設計など、やる事は山積みになっている。そういえば今日は功樹の友人達が遊びにくる筈だ、その中の『相川恵美』という子は宇宙開発の論文が認められて学院に入学してきたと、功樹の友人を調査する報告書に書いてあった。

「私だけでは結局の所良い案も浮かばないし……仕方無いわよね」

 私は言い訳するようにそう言葉を出し、功樹の友人を迎える為にお茶の準備を始めた。




----荒川功樹 視点----


 俺の部屋に友達が遊びに来ている。斉藤君とアリスちゃんが居るのは理解できるが……、なんで相川さんまで居るんだよ!!! しかも最近、やたらと斉藤君と仲が良いし。俺に『テストで10位とれなければ』とか言っていたあの相川さんは何処にいったんだよ、斉藤君にもたれながら目を細めている乙女チックな少女なんて俺は知らんぞ! 羨ましいんだよチクショー。
 結局テストの話は『俺は受ける必要が無かった』と知った相川さんが再度激怒したのだが斉藤君が、

「荒川君は弾道ミサイルに観測機を衝突させたんだよ、そんな計算を相川さんは出来る?」

 という一言を相川さんに言った為に有耶無耶になった。アレは偶然だったが感心したんなら俺に惚れる所だろ、なんで斉藤君なんだよ! 俺がブツブツ言っているとアリスちゃんが耳打ちしてくれた

「なんかね、斉藤君が相川さんが街で絡まれてた所を助けたらしいの」

 ほう、斉藤君って意外と行動力があるんだな。それなら相川さんの態度も納得できる、不良に襲われそうな所を助けてくれた白馬の王子様だもんな。俺がそう言うと

「例のロボットを使ったらしいけどね……」

 あー、納得した。アレ使ったらどんな不良でも全力で逃げるわ。そう思いながら斉藤君と相川さんを眺めると、斉藤君が膝枕をしてもらっていた。もうお前ら帰れよ……、別に俺の部屋じゃなくても良いだろ、しかしこの流れなら俺もアリスちゃんの膝にダイブしても許されるんじゃないか? そう思い行動しようとすると

「今日は、よく来てくれたわね」

 母さんがそう言いながら、部屋に入ってきた。今良いところだったのにと思いながら母さんに文句を言おうとすると、俺以外のメンバーのテンションが物凄く上がっている。そうか、普段一緒に居る俺は兎も角、学院の生徒である皆は『天才、荒川美紀』といえば下手なアイドルより逢いたい人物だもんな。
 この前の職場見学では引率として着いて来ただけだったし、すぐに別の場所に呼ばれていったから話す機会も無かった。やはり偉大な研究者の母さんと接するのは全員の夢の1つだったんだろう……、俺は邪魔するのも気が引けるので部屋の隅で小さくなっておく。

「おばさん、みんなに相談があるんだけど」

 母さんがそう言ってみんなに自分の研究について相談する。母さん程の天才なら学院生に相談しなくても解決できると思う、しかし実際に天才と触れ合うサービスをしてくれているのだろう、やっぱり母さんは優しいな。そう思いながらやり取りを見つめていると、どうやら宇宙ステーションに関する相談事のようだ。
 アリスちゃんはストレスの緩和を薬品で解決する事を提示して、斉藤君はロボットを使用した遠隔操作で危険な作業を行ってはどうかと言っている。母さんは全ての案を熱心にメモを取りながら聞いていたが意外だったのは相川さんだった。

「私は、ステーション内の環境を地球に近い物にするべきだと思います。利点としては……」

 非常に専門的な意見を踏まえて説明している姿を見て、俺は軽く驚く。相川さんの専門は宇宙に関する事なのだろうか? 斉藤君に聞いてみる

「フヒ? そうだよ恵美ちゃんは宇宙環境が専門だよ」

「やっぱりか。というか斉藤君、相川さんの事を『恵美ちゃん』って呼んでるんだね。仲いいね」

 俺が少し冷やかしながらそう言うと、斉藤君は真っ赤になりながら黙ってしまった。俺もアリスちゃんともう少し仲良くなりたいなー、なんて思っていると、どうやら一段落ついた様だ。これからも定期的に皆の意見を聞きたいと母さんが個人端末のアドレスを交換している……。いいのかよ、それプライベート用だろ? そんな事を考えていると、ドアをブチ破りそうな勢いでスキンヘッドが入ってきた。

「緊急事態です」





お前が来る時は、大抵緊急事態だな! おい!!!








 スキンヘッドが乱入して来てから2時間後、俺達は太平洋の沖合いにある『日本宇宙開発団』のメガフロートに来ていた。ここまでスキンヘッドの用意したヘリで飛んできたのだが、生憎俺の部屋にいたメンバーは全員、機密保護の名目で一緒に行動させられていた。
 相川さんだけは『ここがメガフロートなの? 凄い!』なんて喜んでいるが、他の人間は不安そうにしているか斉藤君に至っては乗り物酔いで吐きそうになっている。

「どういう状況ですか? 私にはこの子達の安全を守る義務があります。場合によっては、夫に連絡をしてこのフロートを占拠する可能性もあります」

 母さんが、見たこともない怖い表情で施設の責任者に文句を言っている。というか母さん……、マッチョに連絡した所でどうにもならんだろ。まぁアイツなら海を泳いでここまで来そうだが、来たからって警備員に取り押さえられるだろうよ。そんな中、斉藤君とは別の意味で吐きそうになっていると思われる所長が説明を始める。

「功樹君が宇宙に向けて飛ばしたロケットをロシアの宇宙軍が発見しました。しかし、協定に背きロシア軍はロケットの接収を試みて失敗、現在ロケットは地球へ向けて帰還する為飛行しています」 

 あー! アレか……。まずいぞアレが帰ってくるだと? そんな事になったら俺の人生が詰む、今まで積み上げてきた俺の人生が本気で終わる。俺は震えながら所長の話を聞いていたが、話が続くにつれて希望が見えた。

「報告を受けた国連は、直ちに国連宇宙軍に出撃命令を発令。ロケットの迎撃を行うため、艦隊は衛星軌道上に集結中です」

よし! いいぞ、そのまま吹き飛ばしてしまえ。俺がそう考えていると

「それで私達と何の関係が? 所長はこの子達を監禁する権限がお在りですか」

「いえ、ですから……その迎撃作戦に製作した本人も参加して頂きたいと、国連からですね……」

「なら私だけで結構ですね? この子達は直ぐに帰らせます」

 まて母さん、そんなに色々な所からの圧力に板ばさみになっている所長を苛めるな。それにアレがどうなるか俺も確認したい。俺は母さんに参加する意思を告げる。他のメンバーも自分の意思でこの場に残る事を了解してくれたので、それを聞いた母さんは『仕方ないわね』と言いながら渋々ながら所長の言い分を認めた。
 しかしさっき『協定』という言葉が出たが、それはなんだろう? 俺は気になり母さんに小声で聞いてみると

「気にしなくていいのよ」

と目が笑っていない微笑で返された。これは気にしたらダメなやつだ、マッチョが前にこの感じの微笑みを見せる母さんに突っ込んだ事があったが、その結果は思い出したくはない。所長は俺達の参加を直ぐに艦隊指令官に伝えてくれたが、司令官は

「例え、体当たりしたとしてもロケットを止める」

 などと決意を述べていた。いや、そこまでしなくても良いぞ。最悪の時は俺が恥を忍べば大丈夫だ……、いくら宇宙空間にあった物でも大気圏を抜ける時に燃え尽きるだろうし、落下するにしても間違いなく海か砂漠に落下するだろう。都市に落ちるなんてコンマ以下の筈だ、そんな命を張る必要は無いし、もし責任を取るとしたら余計な事をしたロシア軍だ。

「それではロケット迎撃作戦、『パンドラ作戦』を決行します。どうか最後には希望が残りますように」

 所長がそんな事を言った。まて、なんか重大な勘違いをしていないか? アレはそんな危険なモノじゃないぞ。『迎撃に失敗したら地球は……』なんて言っているが、どうしよう? こんな大事になったせいで今更言い出せない。









 アレの中身は『処分に困ったSM系のエロ本』なんだが……。









----艦隊司令 ジェフ・オールド 視点----


 艦橋から青い地球が見える……。あの星には私の孫娘であるメアリーもいる、今回の作戦は絶対に失敗できない。そもそも、ロシアのバカ共が『アラカワ協定』に違反さえしなければ今回の事件は起きなかったのだ。欲を出したロシア軍が『アラカワ遺物』に手を触れなければ……。奥歯をかみ締めながら考えていると通信が入った、送り主は合衆国大統領でもあり、私の息子でもある『ウイリアム・オールド』だ。

「司令官、パンドラ作戦が発令された。地球の運命は貴官に懸かっている、どうか任務を完遂して欲しい。…………地球にはメアリーもいるんだ、頼むよ父さん」

 ウイリアムの通信に敬礼で答える。バカ息子が……、そんな事は言われなくても分かっておる。絶対にロケットは地球に到達させない、情報部からは中身は恐らくウイルス兵器だと報告がきている。何としてでも宇宙空間で撃墜しなければならない、決意と同時に情報担当官に配置状況を確認する。

「現在、天頂方向に駆逐艦3隻、本艦の左右に航宇機を搭載した空母が2隻づつ展開しています」

「よろしい、指示があるまでその場で待機。空母には即時発艦体制を取らせておけ」

 ここまでは予定通りだ、初めての実戦にしては良くやっている。後はレーダーで捕らえるのを待つだけだか、乗組員には何もする事が無い辛い時間になるな、頼むぞ気を引き締めて待機してくれ。

「レーダーに感あり! 目標を補足しました」

 20分程したのち担当官が急に声を張り上げた。ついに来たか、私は座席に座り直し命令を飛ばす。

「航宇機は直ちに発艦、目標を撃墜せよ。残存艦は撃墜に失敗した場合に備え、弾幕射撃の準備をしておけ」

 私の命令を受けて、全ての航宇機が目標に向かって進撃する。中央スクリーンで戦況を確認しているが、どうやらロケットの回避能力が高い為に上手くいっていないようだ。私は別の指示を出そうとしたが担当官が

「現在、太陽からの磁気嵐が発生しているため連絡がつきません。僚艦及び地球とも連絡がつかない状況です」

 と報告してきた。やはり人類が宇宙で組織的な軍事作戦を行うには、まだまだ早すぎたのか……。だがここで諦めたら地球にあのロケットが到達してしまう、私は今実行するべき最良の行動を思案しつつスクリーンを眺める。駄目だ、なにも浮かばないまま時間だけが過ぎる。
 そんな時に、この艦の後ろに居た駆逐艦が前進を開始したのが目に留まった。一体何をしているのだ! 私は指示を出していない。ただでさえ状況は最悪なのに、これ以上余計な事はするな! 私が担当官の方を向くのと同時に報告が来た。

「駆逐艦オルトーより発光信号を確認。『我、目標ニ投入ス 宇宙軍ニ栄光アレ』以上を繰り返しています!」

 馬鹿な! 自爆でもするつもりか!? 私は止めるために発光信号を送信させるが、オルトーは一切迷うことなく行ってしまった。それしか方法が無いのは分かる、だがお前達を犠牲にする必要はない。本来ならば私が行うべきだったのだ、もやは視認できる距離にいないオルトーを見守るべくスクリーンに目を移す。
 だが、そこには目を疑う光景が映っていた。謎の巨大物体がロケットに衝突していたのだ! これだけの大きさを持つ物体の衝突だ、ロケットは跡形もなく吹き飛んだろう……。展開していた航宇機も、向かっていたオルトーも全力で回避行動を取っている。しかし、アレはなんだ? 担当官に問いかける、

「解析終了、あの物体は小惑星です。しかもこれは……、大変です! 地球への衝突コースを取っています!!」






 どうやら私は絶望の淵に立たされたようだ。今の宇宙軍に小惑星を止める手立てなどない、それこそ全艦で体当たりしようが何も効果が得られないだろう……。私は一先ず地球との交信を可能にするべく、全部隊に撤退を促す発光信号を送った。





----斉藤信吾 視点----


 迎撃作戦が開始されてから直ぐに、艦隊とは連絡が取れなくなってしまった。なんでも磁気嵐が発生した為らしい、ボクはよく分からなかったが、恵美ちゃんは優しく教えてくれた。
 恵美ちゃんが言うには強力な磁気によって通信が行えなくなり、稀に人工衛星の故障の原因にもなるそうだ。ボクが感心しながら聞いていると、恵美ちゃんはロケットに積まれている中身が気になるらしく聞いてきた

「シン君、あれって本当は何が積んであるの?」

 ボクも中身を知らないと言うと、恵美ちゃんは『そっか、でも成功するといいね』って言いながら手を握ってきた。ドキドキしながら手を握り返しながらボクは考える……、他の人は『ウイルス兵器』とか『高性能爆弾』が積んであると言っているが、優しい荒川君はそんな事しないと思う。
 多分あれには、人に見せたくない日記とかその辺が積まれているんじゃないかな。そんな事を考えていると観測班の人が慌しく動き出した、しきりに荒川君のお母さんに何かを言っている。ボクは気になり聞いてみる

「コースを変えた小惑星が地球に接近しています。このままでは衝突するでしょう」

 なんて言っている。どうするの? 宇宙を良く知らないボクでも大変な事態なのは理解できる。今から小惑星に行って破壊したり、コースを変更したりする人員も、それする為の装備も無いんじゃないの? ボクがそう言うと荒川君のお母さんが困った顔で答えてくる

「恐らく小惑星同士が衝突したせいだと思うけど、斉藤君の言う通り打つ手はないわ。私の計算では衝突しないか、するにしてもずっと先の話だったの。どちらにせよ今からだと何も出来ないわ、せめて単独でプログラムされた事を実行できるロボットが……そうね、1000機も居ればどうにかなったでしょうけど」

 そういうと、荒川君のお母さんは忙しいからと向こうに行ってしまった。自立式のロボットか……、心あたりが在るには在る。恵美ちゃんが服を引っ張りながらボクに話しかける

「あの子達なら、どうにかなるんじゃない?」

 恵美ちゃんもボクと同じ事を考えたようだった。でも、そんな事をしたらチャバネ君達は死んでしまう。散々悩んだが他にいい案がある訳もなく……、ボクはその場に居る全員に向けて発言する

「自立作業を行えるロボットを大量に用意できます」

 荒川君のお母さんも開発団の人も、ボクの言葉に反応して詳細を聞いてくる。ボクは自分の開発したチャバネ君の説明をする、高度なAIを搭載している為ある程度は自分で考えて行動出来る事。自己増殖を繰り返すから、必要な数に達している筈だという事。
 それからはみんな直ぐに行動した……。自衛軍と国連軍に頼んで、チャバネ君達に取り付けるミサイルブースターを手配したり小惑星に設置してコースを変える為の爆薬を準備したりもした。肝心なチャバネ君を取りに行こうとする人にボクが

「自分でここまで来れますよ」

っていうと目を丸くしてたのはチョット笑った。






 3時間後、ボク達はメガフロートのロケット発射台に居た。目に映るのは……、空を覆い尽くす程のチャバネ君達だ。必要以上に増殖しないように言っておいた筈なんだけど、今どれくらいの数がいるのかな? そう思っていると次々に降り立ってくるチャバネ君達の中から1匹がボクの前に歩いてくる。

「マスター、お待たせしました。追加増殖も合わせて2613体、集合完了です」

「フヒ!? キミ達、喋れるまでになったの?」

 突然喋りだしたチャバネ君に驚き聞いてみると、自信満々といった感じで答えくる

「当然です! ワタシ達は、天才であるマスターが作ったのですよ? 喋れなければマスターの名を汚してしまいます」

 チャバネ君はそう言ってボクに抱きついてきた。嬉しそうに抱きついてくるチャバネ君に、ボクはこれから酷い事を言わなければならない……。『小惑星に行ってコースを変えて来い、だが帰還は出来ない』そんな事言える訳が無い!! ボクが溢れそうになる涙を堪えながら俯いていると、チャバネ君がポツリと言った

「ここに来る途中で通信を傍受していました。状況は理解しています、マスター……ワタシ達は貴方の役に立つ為に作られました。ですから、こういう時は笑って見送って下さい」

 ボクはもう、涙を堪えられなかった。ごめんね! 本当にごめん、でもキミ達を頼るしか方法はないんだ。泣きながらそういうとチャバネ君は、ただ黙ってボクの頭を撫でてくれた……。





 準備が出来たチャバネ君達から順にブースターを点火させ、宇宙へと上がって行く。そして最後に残ったオリジナルのチャバネ君がボクの方に振り向いた、

「これをお願いします。これには、ワタシ達のAIのコピーと辿った進化が記録されています。これさえ在ればまたワタシを作れますよ」

 そう言って、ボクにメモリーを渡してくる。こんな物を使っても同じチャバネ君なんか作れない……、そんな事はチャバネ君も分かっている筈だ。ボクを泣かせない為に言っているのだろう、駄目だ! 絶対に泣いたら駄目だ!! 最後だけは笑顔で見送るんだ。必死に涙を堪えながらボクは笑顔でお別れを言う

「いってらっしゃい、チャバネ君……」

「はい。行ってきます、マスター」

 そう言って飛び立って行ったチャバネ君が見えなくなった後でも、ボクは空から目を逸らす事ができなかった。恵美ちゃんが抱きしめてくれる、ボクは遂に我慢が出来なくなり泣いてしまった。『きっと、あの子達ならどうにかしてくれる』そう言いながらボクを慰める恵美ちゃんも同じように泣いていた。

「国連宇宙軍と通信が回復、通信内容は『地球から小惑星に向かって飛行している物体は何か?』です。返答はどうしましょう」

「『私達の友人が事態の解決に向かった』と返答しなさい」

 荒川君のお母さんが、通信を行っている人に指示を出す。友人か……、確かにチャバネ君はボクの大切な『友人』だった…………。今は宇宙に行ってしまったけれど、これからも大切な友人には変わりはない。ボク達はフロートの内部に戻って結果を待つ、そして報告が入った。

「小惑星の外部及び内部にて、爆発を確認。衝突コースを外れていきます!」

 チャバネ君達は作業に成功したようだ、ありがとう、本当にありがとう。ボクは悲しさじゃなくて今度は感謝の気持ちで、また泣いてしまった……。













 数百年後、宇宙探査を本格的に行うようになった人類は、ある惑星で未知の知的生命体を発見する。その生命体は既に忘れ去られつつ在った、地球言語である日本語を使用して人類の事を『マスター』と呼ぶ非常に友好的な『機械種族』だった。
とりあえず、投げっぱなしにした伏線を回収。次回からは、また新規の伏線を立てつつお話が進んできます。因みに金曜日に予約投稿を忘れて朝起きてから気付いたのは内緒。
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