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異世界に転生したんだけど俺、天才って勘違いされてない? <旧題  転生したんだけど俺なんか勘違いされてない?> 作者:にゅん

学院編1年度 前期

11/77

コーヒーとパワースーツとアリスちゃん

 今日は身体測定とこれから習うことになる授業の説明しかない。本格的に学生として学院で勉強するのは来週からだそうだ……。説明で早く終わる授業時間や身体測定の余った時間は生徒同士の交流で使うように言われていたんだが

「フヒ! フヒヒ!」

 目の前には斉藤君がいる。嫌じゃねーんだよ? たださ、学食の日当たりのいい席で男2人でコーヒー飲むのはどうよ。向こうにいる影の薄そうな女の子に話かけたいが斉藤君を置いてそんな事はできない、男の友情は硬いのだ! ってマッチョも言ってたしなアイツが硬いのは筋肉だけだと思うが。

「じゃあ、軍用パワースーツって今のタイプになるまで脱出機構がなかったの?」

 斉藤君は興奮したように聞いてくる。あーそうだ、母さんが開発した新しいパワースーツの概念を説明している所だった。なんでも斉藤君はミリタリー関係が大好きらしい、ボソッとそんな事を言ったので俺の母さんが開発した軍用パワースーツのことを教えてあげたら食いつきが半端じゃなかった。 パワースーツの話に戻るが、斉藤君が言ったように軍用モデルには脱出機構が付いていなかった……。俺が描いた絵にスーツの後ろから人が飛びだしているのを見た母さんが

「これ、なに?」

と聞いてきたので、脱出機構だと教えたら

「え…………」

って固まっていた。しばらくして再起動した母さんから、笑いながらそんな物必要ない。そもそも戦場での運用方法は単機での敵陣浸透作戦が主だから脱出した場合は即捕まるか殺されると説明してくれた。いやいや! そんな訳ねーだろうよ。脱出機構は必要だろ、俺は母さんに必要性を必死に説明した。

1、搭乗員の育成に対するコスト。

2、脱出できる事による安心感からくるストレスの軽減。

3、脱出した場合でも持ち帰ってくる情報の有益性。

 他にもいろいろあるが、主にこの3つだ。それを聞いてもなおパワースーツの放棄後にこだわるからちょっと面倒になった俺が

「じゃあ、パワースーツの下にもう一個パワースーツ装着すれば?」

と、すこし投げやりに言った瞬間

「あ…………」

 その言葉を最後に母さんは半日部屋から出て来なかった。やっとでて来きて、こうちゃん、これでどう!! って見せられた新しいパワースーツは、大本のスーツを装着する前に強化外骨格を着てから装着するというものだった。脱出の際はスーツの上半身を内部から手動でこじ開けて逃げ出すという感じだ。正直ダサい……。
 もっとこうさ、パッと全部の部品はずせねーの?そう言ったら母さんはしょんぼりしながら部屋に帰っていった。それから数時間、そろそろ夕食の心配をしだした俺の前に再び出て来た母さんは別の設計図を見せながら俺に説明した

「じゃあ、これは!? 脱出の際、すべての部品のつなぎ目を火薬で点火してパージ。飛ばした部品すら攻撃に使ってから脱出できるシステムよ。」

 そうこれ! こういうのだよ! 格好いいし、画期的だと母さんを褒めると嬉しそうに晩飯の準備を始めた。まぁその時に、どうせなら壊れた部品を直ぐ換装できるようにパーツ毎に製造してみたらどうだと言ってみたら結局夕食ができたのは深夜になったけどな。そうして完成したのが『試作第6世代軍用パワースーツARAKAWA』通称、荒川モデル。現在、世界中で開発されている軍用パワースーツはこの荒川モデルを参考にしている。

「それじゃ、新しいパワースーツの概念とかって荒川君が考えたの!?」

 斉藤君が腰を浮かせながら聞いてくるが、そんな事はない。あれくらいの助言……、いや助言にすらならない事だがあれくらいなら母さん1人でも十分思いつくし、なによりそれを作り上げたのは母さん本人だ。

「そ、そうなのかな?」

 そうだよ、斉藤君。あんなことで俺の手柄だーなんて言っていたら母さんと一緒に生活できないし、そもそも精神的についていけない。いいか? 家の中で核融合炉を片手間で作るような人だぞ。そういうと斉藤君は一応は納得してくれた。






 それよりも、そのケーキ3つ目じゃないのか? 身体測定で太り過ぎって言われただろ自重しろよ……。





----斉藤信吾 視点----

 荒川君にパワースーツの事を教えてもらっているとボクはビックリした。てっきりボクは荒川君のお母さんが作っているのかと思っていたがどうやら荒川君が考えているようだ……。それをなにげない感じで話している。荒川君はわかっているのかな? 生存性を高めたり部品毎に製造したりするっていうことは今までのスーツの概念と全く異なることなのに。たとえば今までスーツが大破したら修理に数週間かかっていた所を部品の換装だけだから数時間で終わっちゃうのだ。
 ボクは軍ヲタなんていわれているからそれがどういうことかものすごく理解できる。早い話、荒川モデルのスーツなら他のスーツと違って腕だけを交換してバズーカを積んだり、機関砲を積んだりと一機だけで様々なタイプのスーツの代わりになるのだ。それなのに荒川君はその手柄を誇らないで

「作ったのは母さんだから、僕は何にもしていないよ」

なんて謙遜している。そっか荒川君はきっとなんにもできないボクに遠慮してるんだろうな……。決して嫌味じゃないその心使いにボクはとっても嬉しくなった。だからボクも

「そ、そうなのかな?」 

って返答した。ちょっと苦笑いなったのは仕方ないよ! だって本当はすごい事なんだし。ボクはニコニコしながら3つ目のケーキを食べた。





----アリス・アルフォード 視点----

 私の近くで荒川君と斉藤君が座っている……。どうやら今は雑学の話からパワースーツの話に移ったようだ。私も参加したい……。私はずっと影が薄すぎて友達もあまりできなかった、居たことは居たのだが、その友達も影が薄く校外授業の時などよく先生に存在自体忘れられて置き去りにされそうになった。あ、なんか飲んでいるオレンジジュースがしょっぱい……。
 だからこそ学院に入ったばっかりの今日こそ存在感をだして友達を作ろうと頑張っていたのだが、気付いたら何時ものように1人で居てしまった。私も頑張っているのだ。だが学院の生徒はいい意味で個性が強すぎて、私にはレベルが高すぎた。
 このままではいけない! そう思いながら二人の会話を聞いていたのだが話かけるタイミングがつかめない、今いっても私にはよく理解できないパワースーツの事を話している。私ができる話はせいぜい自分の得意分野である薬学の内容くらいだ……。そうこうしているうちにどうやら話がひと段落したようだ、斉藤君がケーキを食べ始めた。







私は意を決して彼らに話かける為に席を立った。




----荒川功樹 視点----

「ねぇちょっといいかな?」

 気がつくと、めっちゃ可愛い女の子が目の前にいた。え? だれ。上がりつつあるテンションを抑えながら女の子に聞いてみる。斉藤君なんか『フヒヒヒ!』とかいいながら興奮している……、おい待て。ちょっとは落ち着け。

「私は、アリス。同じクラスなんだけど……覚えてる?」

 こんな可愛い子いたっけ? 覚えてないぞ。斉藤君も『フヒ?』とか言ってる、というかお前のその『フヒ』って言うのは鳴き声だったのか……。2人で微妙な顔をしていると

「別にいいよ、私……影薄いし」

なんて言ってる。ごめんアリスちゃん! そんなつもりじゃないんだよ。ほら斉藤君も謝って!必死に謝っているとアリスちゃんはこんな事を言った

「あの、私と友達になってください!」

 きた! きたきたきた! まってたよ。よかったー、なんかこのまま斉藤君だけと友達のまま学院生活が終わるんじゃないかと考えてしまっていた。俺が返事をしようとすると首をかしげながらアリスちゃんはこう言った。

「ダメかな? 斉藤君」

「フヒ!?」















サイトォォォォォォォォ!! お前絶対ゆるさないからな!






「荒川君も、ダメかな?」

あ、ごめん斉藤君。許すわ……。なんか1人で熱くなって本当にごめんな。




----アリス・アルフォード 視点----

「へー、じゃあアリスちゃんは薬学が専門なんだ?」

 荒川くんが興味深そうに聞いてくる。専門っていっても私はたいした業績は残していない、それこそ荒川君のお母さんや斉藤君の方がよほどすごい事をしているはずだ。とくに斉藤君は先月の電子工学の雑誌で特集が組まれていたはず、そのことを言うと

「マジで? 斉藤君そんな雑誌に載ってるの? なんで教えてくれないんだよー」

「だ、だって、その雑誌の表紙飾ってるの荒川君のお母さんだよ。ボクなんか最後の方に少しだけだから恥ずかしくて自慢できないよ」

 そう言い合いながら2人でじゃれ合っている……。私の理想とする友達像が目の前にあった、いいな私もあんな事してみたい。

「そういえば、荒川君のお母さんは薬学方面でも活躍してたよね。家でもやっぱり研究とかしてるの?」

 私がそう問いかけると荒川君はいろいろ教えてくれた。家でも自分の部屋で研究して夕食の準備を忘れるという事。突然自分の体に安全だから大丈夫だといって薬品を注射する事。よく自分のところにアドバイスを貰いにくる事。……え?今なんて言ったの

「だからさ、母さんって自分の体に」

違う違う! その後!

「僕の所にアドバイスの話?」

 あの天才にアドバイス出来るってどういうことだろう? もしかして荒川君も薬学が専門なんだろうか……。私がそれについて聞くと

「いや、僕は薬学なんか専門じゃないよ」

 なんて答えが返ってくる。そうか、ただ家族だからちょっと聞いてみただけか。私がそういう風に結論付けようとした時、斉藤君が耳を疑うような事を言った。

「そんな専門じゃないなんて言いながら、新型パワースーツも開発してたよね」

 だからソレは!なんて荒川君がしゃべっているが私の耳には入らない……。





僕は専門分野じゃなくても天才と言われている荒川美紀を超える才能を持っている。



 私には彼がそう伝えたいのが感じ取れた。そういえば、本国に居た時に研究所の大人達が『荒川美紀の研究は息子の荒川功樹の研究を代わりに発表しているに過ぎない。本来なら彼こそが真の天才、いや悪魔の子なのだ』なんて言っていたのを思い出した。私は当時は自分と年齢の変わらない子供がそんな事できるわけがないと考えていたが、今回の荒川君と斉藤君の反応を見る限り本当の事だったんだろう。私は先ほどまでと違い、畏怖の念をこめて荒川君を見つめていた。














----監視班 情報担当官 視点----

 私の仕事は荒川功樹の個人用端末に送られてくる情報の解析及び上層部への報告である。すべての情報を提出する義務があるが以前彼に新型のスパイ衛星を私専用に打ち上げてもらったことがあるので、年頃の男の子が検索するような情報は除外して報告している。まぁ彼は結構、特殊な趣味をしているとだけ言っておこう……。なんだ金髪にウサギ耳に網タイツっておっさんか!

「さて、今日のメールは……」

 ふむ、友人の斉藤信吾からのメールか。これは動物の雑学か、私の端末にも送っておこう。他には特にめぼしい所はないネットの閲覧履歴に移るか。ん、コレはなんだ『自分で作れる下剤作成講座!』ずいぶんこのページを長時間見ているな、このページから何処にジャンプしたんだ? 『ばれない薬の混ぜ方、これで薬嫌いなお子さんも大丈夫』『父親との接し方』『完全犯罪マニュアル~死体の埋め方編』…………。


「隊長、私です」

気付いたら私は隊長に通信を送っていた……。

「おう?どうした?」

 相変わらず能天気な声出す人だな、だが理解していないのだろうこの人は今とても危険な状況にあるのだ。

「私が今から教えるサイトを全て閉鎖してください。犯罪性は1件を除いて問題ないのでサーバーの凍結だけで結構です」

 私が口頭で指示しているのを面倒そうに聞いていたが『父親との接し方』を言ったあたりで現場で指揮を行っている時と同じ声になっていた。恐らく当面は隊長の生命は安心だろう……。次は内部情報を確認するか、これは日記の様だ。変だなこの前見たときはなかったはずだが更新日は2日前か。なるほど別端末からの移動だな。あとでそっちも確認しなければ。内容は……ずいぶん古くからあるな私の事も書いてあるのか?ふむ、これか

『今日はマッチョの仕事仲間だというお姉さんに会った。なんでも宇宙から地球が見たいと言っていた。母さんに相談してみようと思う』

ほう、お姉さんか……。見る目があるなこの子は。

『母さんに相談したら、ロケット花火を改良してくれるそうだ。お姉さんは喜んでくれるかな?』

あぁ、あれは嬉しかったよ功樹くん。

『打ち上げに成功した! お姉さんは衛星から届く画像をみて綺麗に見える!なんて言っていたが、お姉さんの喜ぶ笑顔が一番綺麗だった』


可愛い! なにこの子可愛い! お姉さん食べちゃいたくなるわ。







私は上機嫌で彼のブックマークのところにある隠しファイル『勉強フォルダ』の中身、バニーガールの下にそっとスクール水着を追加しておいてあげた。
 aksysさんからの要望のパワースーツの説明とpaiさんから提供していただいたネタで功樹の個人端末の監視する人の話を入れました、実は衛星の人が担当官でしたw

後、今回はメインヒロインのアリスちゃん登場です。不評のため隔日投稿にする事は止めました。活動報告の方に詳細を記載しております。
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