本気
読者も皆さまのお陰で10万人を突破しました。
これからも頑張って書きますので宜しくお願いします。
岩山から飛び降りたマサルは魔法を使って身体中をキズだらけにしながらも何とか下に降りていた。
「格好つけて飛んでみたのは良いけど、やっぱり無理したら駄目だな…魔法が1つしか成功しなかった…完全に着地失敗したし、そこらじゅう擦りむいたな…。まぁ、治癒魔法が一番効率的で魔力の消費が少ないから結果的には良いけどな。」
ぶつぶつ言いながら王都へと歩いていく。走らず歩くのは使用した魔力を回復させる為の時間稼ぎだ。
「作戦の成功条件は敵性生物の殲滅…ビクティニアスにあんな顔させたんだ…後悔する間もなく絶対殺してやる!!」
獰猛な気配を漂わせ、少しずつ滅びは王都へと近付いていくのだった。
そして外壁の正門前………。
「じゃあ、死んで償え。大気操作っ!!」
マサルは魔法で大気中の酸素濃度を上げていき、酸素以外の気体で王都を囲む様に覆っていく。全体で言えば粗く雑な仕様の魔法だが規模は圧倒的だ、今回はそんな細かい制御は必要ないのだ。
「よしっ、次!大気操作っ!!!」
今度は王都の中に満ちた外より酸素濃度の高いエリアにアイテムボックスから出した白い粉をまんべんなく降らせていく。
ただただ静かに行われる作業によって王都は真っ白の世界へと塗り替えられていく。
「じゃあな、バゼラールカ…平和な時に来て見たかったよ。」
そう言って踵を返して王都から離れていく…。
「じゃあ、点火っと。」
マサルの手のひらから蝋燭に灯るくらいの火がゆらゆらとバゼラールカへと飛んでいく。
そして……………。
ボムッッッッ!
一瞬鳴り響いた思ったより短い爆発音に失敗したか!?と振り向いたマサルの目の前には飛来するバゼラールカの正門。
「うぇ!?」
必死に回避する側に落ちて地面を抉っていく石の塊に冷や汗をかきながら王都の方に向き直る。
「………やり過ぎた?」
マサルの飛ばした白い粉はただの小麦粉で狙ったのは大規模の粉塵爆発だ。しかもご丁寧に酸素まで送ってだ…本来これは地球で行ったのならここまでにならなかった。
粉塵爆発は実際に条件が揃えば建物を吹き飛ばす程の威力があるのだがマサルの使った大気操作に使われ切れなかった魔力の残滓がマサルの意思に反応し、酸素と小麦粉に結合して燃料と化したのだ。
結果、その爆発エネルギーは一瞬で使用され指定された王都内をとてつもない衝撃波として駆け抜けたのであった。命あるものは時に叩き潰し、時に身体の内部を直接破壊し、命なき物も吹き飛ばし、粉々にしていくという正に滅びとなって全てを一掃していった。
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《新着メッセージがあります》
まずはお願いを聞いてくれてありがとう。でも、1つ忘れているみたいだから言うけど、アイラに頼まれていたのは魔物の調査じゃなかった?頑張って調査して下さい。ビクティニアスより。
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「げっ………そう言われたらそんな気がするな。これを掘り起こすのか?………マジか。」
マサルはただただ立ち尽くすしかないのであった。
身体能力に任せて無双なんてしません。
目に見える範囲にいるくらいの相手ならそうしたかも知れませんが見せ場としては微妙かも知れないですけどね。