…とあるマサルの日常その1
3万ユニークを突破しました!(12/2)
「燃焼とは物が光や熱の発生させながら、急激に酸素と反応する酸化反応のことである。先日に皆さんにお教えした空気の中には酸素と呼ばれる気体が…。」
次々と話される内容に皆は顔をポカーンとさせながら聞いている。
「つまり、今日の授業の一番最初の問題の魔法で光と熱を同時に出す時に一番効率的なのは燃やすという事なのですが、その現象は火を扱うという感覚より空気を上手く使う事が必要なのです。燃える火に酸素を多く注ぎ込めばより強い炎になるという事なのですが、取り扱いをしくじると酸素は燃焼物がなくても爆発を起こすので大変危険です。将来、炎に関する魔法を使おうと思うなら安全面に慎重になる必要があるでしょう。」
「ねぇ、マサル?」
質問があるのかアデリナが手を上げて喋りだす。
「はい、アデリナ。授業中は先生だと何度も言いましたよね?人に物を教わる時は相手が子供であろうが敬意をはらい真摯に物事を…。」
「はい、先生。酸素が爆発するってのは少し前の真夜中に神殿の部屋が凄い音をたてて崩れたアレですか?」
うっ…思い出したくもない事を…。
「はい、それですよ。ゼラフィティス様に講義を受けて試してみてたんですがあの様です。あの時は本気で死にかけましたからね…皆さんも見たでしょう?あの頑丈な白石が粉々に砕け散り破片は色んな所に刺さるし、爆風で吹き飛ばされて鼓膜は破れるし…間一髪で退避したゼラフィティス様が治癒してくれてなかったら死んじゃってたかも知れませんね。あははははっ…。」
全員が絶句である。
「ともかく、魔法というのは場所や状況を踏まえて安全に使用しなければならないと先生も心から思わされましたよ。皆さんも気をつける様に!」
自分の体験談も踏まえて明るく話したのに「オレ絶対に炎の魔法には手を出さないッス」とか言われてしまった。解せぬ…。
「まぁ、火の系列の魔法を使おうと思えば基本的に火打ち石などを用いて最初の切っ掛けを補助してやると使いやすいですね。魔力を薪と考えて燃やす対象とし、発火自体は魔法に頼るのではなく道具に頼る。これが火の魔法の初級となります。さっき話した様な事故を起こそうと思うなら王国のいうところの上級魔導師とやらでも連れてきて半年から1年以上の勉強が必要になりますので心配しないでくれて良いですからね。」
だいたい酸素がどうのと何度口で教えていても目に見えないので日本の義務教育を受けた学生でもなかなかイメージの構築は難しいだろう。この世界の文明と教育のレベルなら尚更である。
「このコップを注目して下さい。中には水が入っています…ちゃんとした仕組みを知り魔力の運用を覚え、現象に必要な魔力さえあれば…こんな事も可能になるのです!ほいっと!」
水はビキビキと音をたてながら凍りついていく。裏返して机の上にコツコツと叩いてコップの中から氷の固まりが出てくる。
「「「「「「おおっ!」」」」」」
部屋の中から歓声が響くが実はこの魔法は欠陥の大きな魔法なのである…消費魔力が40〜50程も消費するのだ国一番の上級魔導師が魔力量200程なので魔法の効率がさがると下手をすると国の最高の魔導師がコップ3杯の氷を作るのに精一杯という事になってしまうのだ。無駄ここに極まれりって感じである。
「では、今日の授業を終わりますが皆さん何か質問等はありますか?ない様でしたら終わりますが…。」
「はい!」
手を上げたのは兎人族で講習最年少のメイだ。
「おにいちゃん先生みたいな傷をぱっと治す魔法はどうすれば良いですか!」
うっ…1番ヤバい質問が来たな…。
「先生の治癒魔法はとても魔法としては効率がよく効果的なので皆さんにも是非使える様になって欲しいのですが………ゼラフィティス様によると『お前の治癒魔法は特殊な物でこの世界から逸脱している』との事です。つまり、同じ方法で覚えないと覚えられないのですが覚え方を皆さんにお話する事も出来ないし、皆さんが覚えられる物ではありません。簡単に言うと神様のお手伝いが必要な方法なので難しいのです。みんなには違う形の治癒魔法をお教えできる様に一生懸命ゼラフィティス様と考えています。これで良いかな?メイちゃん?」
「ん?がんばって使えるようにがんばるってこと?」
「はい、その通りですよ。メイちゃんよく出来ました。」
えへへっと嬉しそうにはにかむメイ…何この可愛い生物!?
「はい、これで皆さんの質問がないようなので今日は終わります。はい、起立!礼。」
「「「「「「ありがとうございました。」」」」」」
なかなか可愛い生徒達なのである。