ただいま帰りました!
本日の6話目の更新なのです。
全23日の行程を経てついに戻ってきましたよマイホーム!しかし何だか街の入り口の前に人族の人だかりが見える…数はざっと20人ちょっと。近くにつれ声が聞こえてくる。
「おら!獣人どもとっとと門を開けやがれ!オレたちがここを拠点に使ってやろうって言ってんだ!」
「オレたちを誰だと思ってんだ!泣く子も黙る天下の紅蓮の船団だぞ!」
…………船団って………ここ陸やし、しかも紅蓮のって燃えてるんじゃ?
「なぁ、ウェイン…お前らとの出会いを思い出すな…。」
「オレたちアレと一緒ッスか…いや違うのは肩書きだけッスね。」
「そうだな…ザーグ君は本当に成長したよ…王に玩具認定されるくらいにな…推薦したの俺だけど。」
「やっぱり兄貴は鬼ッスね…ん?何か櫓の上で合図してるッスよ?」
「なになに…殺っちゃいますか?だってさ…気持ちは凄く分かるけどさ…あんまり新規の住民に最初から獣人たちが人族に手をかけるのを見せたくないんだよね…。」
「じゃあ、どうするッスか?」
「ウェインは冒険者の彼らと一緒になって皆を守れ俺が奴らをどうにかする。…取り敢えず戦意喪失させて屈伏させてやる…それでも逆らうなら俺が殺る。」
そう言って弓矢を出すとウェインは頬をひきつらせた。
「確かにそれ使ったら戦意は喪失するッスけど…エグいッスよ?」
「女性や子供には見るなと伝えておけ。晩飯食えなくなるぞ?」
「…了解ッス。兄貴を怒らせたらマジ怖いッスね…あの時の自分を殴ってやりたいッス。」
「お前らは一応騎士の格好してたからな…しかし奴らは明らかに野盗だから対処は違うさ。じゃあ、やるぞ…。」
そう言うとウェインは急いで後方の移住者たちの元へと駆けていき、防御の体制を整える。
…一応は忠告くらいはした方が良いよね?ふぅと息を吸い声を張り上げる。
「貴様ら!そこで何をしている!何者か速やかに名乗れ!」
やっとこちらに気付いた様で男たちはこちらに向き直る。
「あぁん?なんだてめえは?オレたちは紅蓮の船団ってもんだ!生意気にも獣人の奴らがこんなところに住んでやがるからよ、オレたちが全部貰ってやろうってわけよ!何か文句あるか!」
「まず一つ質問だ。…なぜ船団なんだ?」
「かっけぇだろ!男が海に憧れて何が悪いってんだ!あぁん?」
「そうか、ありがとう…すっきりしたよ。ただの馬鹿なんだな…じゃあ、おやすみ。」
放たれる矢に話していた男とその後ろにいた2人の男がまとめて貫かれ身体に穴をあける。
「なななな…何しやがる!」
「俺の家に襲撃を企てるとはお前らついてないな…敬愛するドラ○タの姉御がおっしゃっているぞ!悪人に人権などないのだ!」
今度は3本同時に矢をつがえ放ち5人の命を刈り取る。
「ほらほら逃げろ!くそ虫ども!お前らの血は何色だぁ!」
どんどん放つ矢は正確に男たちの身体を捉えていく…。あれ?降参も投降も無しですか?逃げるのは禍根を残さないように刈り取りますよ?
「………そして誰もいなくなった。」
アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティ…ミステリーの女王の名作…また読んでみたいな。
「ちょっと兄貴…やり過ぎッスよ…確かに盗賊や野盗は王国の方に照らしあわせても基本的に死刑
ッスけど、お前らの血は何色だはないッスよ。みんな引いてますって…。」
「ふっ…またつまらぬ物を射てしまった。」
「よく分かんないッスけど、誤魔化せないッスからね…。」
「………俺とウェインは入り口の所の野党どもを少し移動させて皆を中に…その後は俺たちは野党どもを片付けに行くぞ。」
「兄貴…俺もッスか…。」
「嫌ならいいぞ?お前とディナさんの新居は1番最後だ。」
「やるッス!やらせて貰うッス!文句なんて全く無いッスよ!……だから新居は早めにお願いするッス。あと、親父さんの家はちょっと離してくれると助かるッス。」
なかなか素直で宜しい。防音のしっかりした寝室を用意してあげようじゃないか。
「じゃあ、行動開始!」
なかなか血生臭い帰還となってしまった。野盗の死体は急いでスライムの住む崖下へと投げ入れられ、これで死体も残らない完全犯罪の成り…って違うか!アンデット化や腐敗による病原菌の繁殖等の心配はなくなった。
「っていう事で改めてただいま。アデリナも元気そうで何よりだよ。」
「おかえりなさい。なんかまた人が増えたのね。マサルは何処かに行く度に人を拾って来ちゃうのね…この人達はどんな人達?どうやって知り合ったの?」
「なんとこの人達は職人さん達だ!これで街の発展と繁栄の為にまた一歩進めるぞ!皆な王都で引き抜いてきたんだ。」
「それ、大丈夫なの?」
「あぁ、王様に直接許可貰って引き抜きしたから大丈夫さ。」
「また何かやらかしたのね…まぁ、詳しい話は後にして皆さんの寝る場所を急いで何とかしましょ。」
こうして新たな仲間たちが増えた街は賑やかさを増して発展が加速していく事になるのだった。