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今度は交渉するよ

寒くなりましたね。もう12月です。

インフルエンザの予防接種はもう済みましたか?

わたしは先日しました…やはり注射は独特の緊張感がありますよね。苦手では無いんですけどね。

皆さん体調を崩さないように「予防」は大切ですよ。

転ばぬ先の杖…杖持って転ぶ人もいますが大抵の場合は予防になります。

「えっと…という事で俺の背景には神様がいたりします…って何じゃこれ…。」


何か皆さんお疲れの様でぐったりしている。


「少し時間をくれ…流石に今は頭が回らん…。」


その時、謁見の間の扉が勢いよく開かれた。


「国王様!ご無事ですか!」


どうやら長々と雑談してたのに誰も来なかったのはビクティニアスたちが入れない様に何やら細工していたらしい。騎士たちが何をやっても扉はびくともしなかったそうだ。


「誰か侍女に全員分の飲み物を用意するよう伝えてくれ。あと、まだこれから大事な話があるから先程中にいた者を除いては退室するように…いや、応接室の方に移動しよう…そこの隅で寝ているギュレイを誰か医務室に運んでやってくれ。起きたら自分の執務室にて待機しておれと…あとこの後の予定は延期だ。」


アクシオン王がどんどん指示を部下たちに出していく中、ギュレイが運ばれていく…御愁傷様です。


「では、場所を移動する…ついて参れ。」


全員で応接室へと移動し、騎士たちも例外なく席へと座るように言われ全員が着席する。暫くすると侍女により全員にハーブティーがいれられその香りに少し皆の顔に冷静さが取り戻されていった。


「では、マサル殿で良いかな?…まずは女神様たちとの関係から教えて貰えるかな…さっきの話では詳しい事が分からなかったのでな、言える事だけで構わないのでお願い出来ないだろうか。」


「そうですね…彼女たちとは………何だろう?雇用主と雇用される側という関係のハズだったんだけど、色々あってビクティニアスが言った様な友達?みたいな関係で落ち着いてるんだけど…詳しいところは知らない方が良いと思うよ?」


主に女神様のイメージ崩壊の危機について…。


「なんとなく色々って所にヤバい匂いがするッスね…。」


大正解だけど流せウェイン!


「取り敢えずビクティニアスとアイラセフィラからは俺と獣人たちが作っている街に自分たちの像をちゃんと美人に作ってくれと言われている。あと、ゼラフィティス様からは魔法の発展や流布を依頼されているので双方の依頼は協力しようと思うなら宜しく。」


「その女神像についてはこの王都にも置かせて貰う訳にはいかないだろうか?勿論、ビクティニアス様がおっしゃった通りミスリルはこちらが用意させて貰おう。魔法の発展は我らにも益が大きいので是非こちらからも合同でやらして貰いたいと思う。」


「じゃあ、そっちは後日詳細をつめる事にしよう。で素材の取り引きに関してはアサルトサバンナホースの尾の毛については売却も可能です。角に関しては武器に加工予定なので…。」


獣人たちの街は慢性的に武器不足なのだ。下手をすると職人がいないので素人の手作りの武器で命をかけた戦いを強いられる事になりかねないので優秀な武具やその素材は下手に売れないのだ。


「どうしても駄目かの…実はこの王笏は初代の国王が一角の魔獣と思われる角から削り出したとされていてのぅ…一角の魔獣は我が王国に所縁があるのだ。」


「その王笏を見せて頂けますか?」


「…………………マサル殿?そっちが素か?」


「………???」


「やはりか…さっきから口調が戻っておるぞ?もう無理に高圧的に振る舞う必要もなかろう。もう余らはマサル殿を蔑む様な目マネは出来ぬよ。」


やはり普通の日本人に王様相手にタメ口とか続けるのは難しかった様でストレスから口調が戻ってしまっていた。


「やっぱりバレるよなぁ…基本的に一般人だからなぁ…。」


「マサルが一般人とかどんな冗談だ?世の一般人に謝れ!」


うるせぇよフリード!さっきまで固まってた癖に!


「じゃあ、ちょっと王笏借りますねっと…んっ?」



******

【グレイタス王国の王笏】

初代国王が単独で倒したユニコーンの角で出来ている杖で粉末にすると様々な毒を解毒する魔法薬になる。

******



「………ねぇ、王様?この杖と角を交換しません?どうせなら新品作っちゃいません?」


「おい、マサル…悪巧みしてる時の顔になってるぞ?」


「………ザーグ君よ………たまには気付かないフリしても良いんやで?」


たまにこの困った君のザーグは賢いというか良い観察眼を見せる。


「何か分かったのか?」


「…これは一角の魔獣ことアサルトサバンナホースの角ではないです。ユニコーンという生き物の角で粉末にして処方すると様々な毒に効果のある魔法薬になるらしいですよ。まさに王のための杖ってところじゃないですか?」


「それを知って交換などと言ったのか?この様な交渉の場で騙す様な事を…。」


近衛の騎士の1人が憤慨して言う。


「じゃあ、俺に献上してみるか?」


「止めておけ…もともとはこちら側の粗相からだ。ギュレイと同じ過ちをするな。」


マサルの言葉に近衛騎士に対しフリードが静止促す。


「尾の毛はこちらで買い取ろう。ところで尾の毛は取り引きしてくれるのは分かったのだが毛皮の方はどうなっている?そちらも良ければ引き取りたいのだが…。」


「あぁ、そっちは人にあげたんだ。ちょっと色々と迷惑もかけてるし苦労もしてるからな…ブーツにするんだってルンルンだった。」


「沿岸都市のランスロット殿の姪らしいです。今は彼女は獣人たちの中で街の建設に携わっているのだとか。なんでしたらランスロット殿の方から交渉なされては…。」


フリードの報告と提案に悩み始めるアクシオン王。


「止めといた方が良いぞ?女のお洒落の邪魔をすると後が怖いし…あと間違いなく加工は既に始まっている!それに贈り物を横から取り上げる様な無粋なマネを国王様とやらがやらない事は確信している。」


「…ごほん…そ、そうだな。その様な無粋な事はする訳にはいかないな。」


ご理解ありがとうございます。文句言われるのは多分こっちになるんで切実に止めて下さいませ。


「あと、フリードから聞いたんだがステルスジャイアントパイソンの素材もならなか高価で希少だと聞いたんだけど…そっちなら丸々一匹傷無しの優良品ですよ?何に使うかは知らないけれど買い取りします?」


「買おう!傷無し…自然死か…その様な大物の自然死の死体なんぞ探しても見付かるものではない。」


「いや、自然死ではなく毒殺なんですけどね。もう毒を与えたものは外に出てるけど念のため食べるのは止めといた方が良いですよ。」


「…あっ!あの熊なんかは売らないんスか?あれこそ凄く高く売れるんじゃないッスか?」


ウェイン…こいつ要らん事を思いだしやがるな…。


「なんじゃ?あの熊というのは?」


ほら王様興味持ったじゃないの!…でもあれも毒殺してるし食べれないから毛皮の処理とか面倒だし邪魔なのは確かか…。


「今ウェインが言った熊とは4本の腕を持ち森の木々より遥かに大きな黒い巨熊で、一角の魔獣を餌として捕らえ喰らっていた(つがい)の魔獣のことですよ。コイツらを見たら一角の魔獣が可愛く見えますよ…先程に話題にあがってたランスロットの姪のアデリナ嬢も一角の魔獣を見て可愛いって言ってましたし。」


「それほどの魔獣がいたというのか………。」


部屋の中がざわめき始める。


「初めて出会った時には目を見たらヤバいと思って背中を見せない様にゆっくり下がってたんですが、あまりの威圧感に意識は保てずいつヤツが去ったのか分からなかったくらいですよ。」


ゴクリと誰かが唾を飲んだ音がした…。


「ついでなんでその番の魔獣も買います?少し色を付けてくれるならお譲りしますけど?多分剥製にでもして城にでも飾れば最高の見物になりますよ?主に初めて見て驚く人の顔が…。」


「それは中々面白そうじゃ!間違いなく我が城に箔がつくな!」


おいおい、王様が少年の様に目をキラキラさせるんじゃありません。まったく…男ってのは何歳になっても子供(ガキ)なんだから…人の事は言えんが…。


「お買い上げありがとうございます♪」


何だかホームセンターに勤めていた時に誰が買うんだって思ってた巨大な噴水が売れた時くらいに嬉しいぜ!


「あと、ものは相談なのですが…国に小麦の備蓄って余ってません?余っているなら大量に購入したいのですが…あぁ、今年取れた新しい物なんて贅沢は言わないですよ?」


「確かに備蓄は少し過剰気味なくらいにはあるにはある!しかしそれは出兵や長期の遠征、災害などの為の備蓄なのだ。また、場合によれば硬貨の代わりとして交換できる品目だ。よって国から取り引きできる量は知れているのだよ。」


「出兵しなければ良いじゃないか。ポータリィムでランスロットとも話して確信したのだが、自分の住む土地の地盤も固めずに侵略をくれ返すといずれ国は滅びるぞ?まずは自分たちの住む国内を豊かにする事が先決だ。現状何処の国にも属してない場所が多くあるからといって、その地の人々を蔑ろにするなら俺が国ごと潰してやるからな。」


…全員が沈黙する。


「豊かになるヒントはポータリィムに置いてきたから、しっかり勉強して正道にて国を導いていく事を願う。…あぁ、ついでに言っておくよ…俺も人族になるんだろうけどさ…人族が特別とか思わない方が良いぜ。人族も獣人も魔族も分け隔てなく神様(かれら)にとって命は我が子なんだと思うよ。」


日本人にとっては当たり前…でも所変われば命さえ軽くなってしまう事を思い少しだけチクリと胸が痛んだのだった。

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[気になる点] 「出兵しなければ良いじゃないか。ポータリィムでランスロットとも話して確信したのだが、自分の住む土地の地盤も固めずに侵略をくれ返すといずれ国は滅びるぞ?まずは自分たちの住む国内を豊かにす…
[気になる点] 度々細かい誤字脱字があり、読みにくい箇所がいくらか見受けられます。
[一言] 「あと、フリードから聞いたんだがステルスジャイアントパイソンの素材もならなか高価で‥」→素材もなかなか高価で
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