また騒動…。
獣人たちを連れノームの集落を出たマサルたち…街の建造予定地、つまり獣人たちの集落に着くとその前には騎馬に乗った人族が3人居座っていた。着ている鎧をみる限り騎士階級にいる者たちだろう。
「なんだお前たちはこの集落に何か用か?」
「そちらこそ何者だ!我等はグレイタス王国騎士団だ、ここは我等グレイタス王国の領地である!勝手に土地開発する事などは許されておらん!よってこの土地は我々が接収する!」
あぁ、騎士かと思えば何だヤクザやチンピラの類いか…。
「つまりは侵略しにわざわざやって来たって事ですね?」
「何だと!貴様は獣人に与するばかりか我等を愚弄するか!」
「グレイタス王国沿岸騎士団司令ランスロット殿に話は通しておりますし、ここは王国の領地じゃない事も確認しています。それでもと仰るなら此方も実力行使になりますが後悔なさいません様にご注意下さい。」
「わたくしは沿岸騎士団ランスロットの姪でアデリナと申します。先ほど彼が言った事には間違いがありません。もし王国がこの集落に手をかけるというなら沿岸都市ポータリィムと沿岸騎士団も敵に回すと思って頂いて結構です。それにすでにポータリィムを通し友好な関係を築き上げている場所を襲撃や侵略するのは騎士として正しいのでしょうか?」
「黙れ女風情が!なんだ?ポータリィムは我々王国を敵に回すと申すのか?必ず後悔するぞ!!」
興奮に顔を真っ赤にしながら騎士Aが剣に手をかける。BとCは静観のようだ。
「抜くなよ?抜けば殺す。分かっているだろうな…お前らは王国の名を使って話をしているんだ。軽率なマネをするなよ?今剣を抜くなら戦争だからな?」
「貴様っ!」
剣を抜こうとする騎士A…しかし剣が抜かれる前に馬から叩き落とされる。
「今言われた事が解らぬか。今剣を抜くと王国の名誉も騎士の誇りも捨て侵略として戦争となるのだぞ!」
馬上で蹴りを入れた騎士Bのおっちゃん…交渉出来るなら先に出てこいよ…マジでめんどくさいから。
「それに今戦うとどうなるか何て一目瞭然っしょ、一体何人と戦わないと逃げれないと思ってるんだよ…いくらボクとオヤジが強くても死ぬよ?」
騎士Cは軽い…君は黙っていた方が良いんじゃない?…騎士A君は…気を失ってるし…今のやり取り何だったんだよ…。
「そこの騎士のお二人さん…そいつ意識ないから聞いてないからね?」
馬具に鐙がなく鞍しかないから踏ん張れず鎧の重さも相まって変な落方をしたのだろう…やはり馬具や馬車の開発は急務に感じる。
馬から降りた騎士BとCは騎士Aの状態を診断して頬を叩いたりするが起きる様子はない。
「取り敢えず、集落に入って休ませたらどうだ?ポータリィムは経由して来たみたいじゃないしかなりの距離を移動してきたんだろ?馬も休めて少し寛げ…話はまた後にしよう。」
流石に捨て置くにはアホ過ぎて哀れ過ぎるし、ある程度の相互理解がないと本当にそのまま戦争になるだろう。何度だって言うが面倒くさい話である。
集落に入ると散りじりになった仲間たちとの再会に大騒ぎとなった。騎士たちはその間アデリナと二人で監視という名目でまったりお茶をしていた。そもそも獣人の再会には関わってはいるものの感動の再会?いや部外者なんでの世界である…持ち上げられ称えられても居場所がなく肩身が狭いのだ。
「さて、貴方たちの話を聞きましょうか…何でここにいるのか?何故あんな馬鹿な要求をしていたのかを。」
あぁ、お休みは暫くお預けらしいです…。