対抗策
それから10日後…。
えっ?いきなり時間立ったって?熊さん来ないんだもん!向こうも予告してた訳じゃあないし、確実にくるかは分からなかったけどさ…はい、何にもありませんでした。
その間にマサルは過去捕まえていた獲物を解体したり研究したりして過ごしていた。一番の収穫はこいつである…、
「それはワームじゃないか!どこで手に入れた!?」
急に興奮しだしたボッツ爺の話によるとワームは基本的に土の中で生き土の中で死ぬ生き物なので素材がとてもレアなんだという。
「で、こいつは何に使えるんだ?」
「そうじゃな…まずは旨い!滋養がつく中々の高級品だ!」
この世界のミミズは美味しいらしい…。
「他には?」
「そいつの胃袋は凄く頑丈でな破れたりしないし凄く伸びて腐らない。つまりはな弓の弦に使うと最高級クラスの素材となるんじゃ!ほれ貸してみろ、解体してやろう。」
数匹あるしまぁ良いかとボッツ爺に渡して解体して貰う。お礼にと胃袋以外の部位は全てあげた。嬉しそうに「今夜は焼き肉じゃあ!」と叫んでいたけど完全スルーである。
「良い弓の弦になる素材があるなら複合弓でも作るかな…流石に獣人達の持つ麻の紐みたいな弦の弓じゃあ熊の毛皮を貫通しそうにないからな…。」
獣人たちやノーム達の知恵を借り近場で採れる弓に向いた素材を探し回った結果、バオバフの様な姿の木の魔物トレントの胴がとても強度もしなりも強く弓に向いていると分かった。
「やはり最高級の弓と言ったらエルフの作るミスリル弓じゃろ!」
とのノームの長の発言により。トレントをメインとして折れやすく力のかかる中央部や外側をミスリルで覆い補強してみたのだ。試しにワームの胃から紡いだ弦を張るとその張力は獣人でも力自慢の一部の者しか引けずマサル専用の弓となった程であった。
矢も勿論特別製でノコギリ鮫の角のように多くの返しが付けられたステンレスの矢はジャイアントポイズントードの神経毒に射る直前にまで浸けられていて、手で投げたにも関わらずかすっただけでオオトカゲくらいなら死んでしまうえげつない物になった。現在は取り扱いがあまりにも危険な為アイテムボックスで封印指定されている。
「じゃあ!試し打ちします!」
と50m以上離れた場所から射た矢は木に深々と刺さり中で折れてしまった。拳銃の威力などを研究したりする破壊弾道学とかによると中で弾が破壊された方が破壊容積は大きくなる為に殺傷能力が高いと言われている事を思い出し、綺麗に矢が突き刺さる事をイメージしていたのだが改善や改良は敢えてしない事にした。
「マサルの作る武器って何だか慈悲がないわよね…。」
何て言われたのはご愛嬌だろう…死んだら終わりなのだ!
今まであの魔熊に唯一一撃くらいは通用するかもと思っていた槍も改良した。その槍はステンレス製で先端がとても鋭利で細く突き特化のもので、刃渡りは槍にしては長く60cmもあり血抜き用の溝だけが飾りらしい飾りに見える無骨で殺伐とした物だ。元々は海で大型の生き物を突いてみたいと考案されたこの槍は重量などの問題で木製の柄だったのだが今回晴れてフルメタルとなった。当然槍にも毒を塗布する予定である。
「これで完璧とまではいかないけど、あの魔熊に対抗する手段はいくらか出来たと言えるんじゃないかな?」
「そうね、この武器ならあの魔熊だって倒せそう!マサル頑張って!」
おいおい、俺が1人で特攻するみたいに言わないでくれよ。
「弓も槍も重すぎて他の人が使えないしね、皆は周囲の監視や警戒しか出来ないけどマサルならきっと魔熊を倒せるって信じてる。」
何処かに穴はあるとは思っていました…しかし、まさかの汎用性を考慮していなくて攻撃力が自分1人に集中してしまった様です。頑張っての弓を量産してやる!ミスリルはもうないけどかなりの強弓になるはずだ!急げよマサル独りで戦いたくなければ!
昨日公開したつもりが出来てませんでした(-_-;)