安い神託
「昨日はたくさん蟻を倒したからレベル上がっただろうな…っと。」
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『新着のメッセージがあります』
鳴海 優(20)
職業《冒険者》
所属《冒険者ギルド》
称号《虫の天敵》《開発者》《開拓者》《無類の生産好き》《スキル収集家》《賭けの景品》《転移者》
レベル 16→24
生命力 210→242
魔力 267→298
力 128→136
体力 99→110
精神 88→94
素早さ 101→105
運 42→45
スキル《剣術3》《体術3》《治癒魔法2》《鑑定4》《解体4》《採掘4》《伐採3》《農業4》《鍛冶4》《石工5》《木工5》《革細工4》《調合4》《土木5》《建築3》《算術4》《美術4》《歌唱3》《言語翻訳》《収納空間》《地図》
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「レベルは凄い上がったのは良いとして、またメッセージ?…今度は何だ?」
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『ビクティニアスよ
バニーの話は忘れなさい!良い?絶対よ!せっかくヘラ様も忘れているんだから変な事思い出さないでよね。
あと私の像を作るんですって?やるんなら上手に作りなさい!良いわね?ちゃんと美人に作るのよ!』
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「やっぱり見てたか…下手な物作るとまた文句言いに来そうだな…かと言ってもヘラ様が写真送ってくれないと参考にする資料が無いんだよな…自分の記憶頼りに作れる程に造形は得意じゃないんだよな。フィギィア作りと同じ感じで良いのかな…デフォルメして萌え系とかにしたら色んなところから苦情がくるんだろうな…。」
「何を1人でぶつぶつ言ってるの?気持ち悪いわよ?」
「気持ち悪い言うな…例のビクティニアス像はやっぱり作らないと駄目か?」
「駄目に決まってるじゃない!崇高かつ重大な責務よ!」
なんでこんなにあの駄女神が信仰されているんだろうか。
「…何か問題があるの?」
「本人からメッセージが来た。」
「なっ!?それって神託じゃないの!で、ビクティニアス様はなんて?」
「神託…神託かぁ…そうだよね。これって世にいう神託ってヤツなんだよね…。」
「何よ?えっ…なんでそんな遠い目を…なにかおかしな事言った!?」
遠い目になってますか…仕方ないですよね、そうなりますよね。
「作るならちゃんと美人に作りなさいって………アデリナが作る?」
「無理よ!わたしビクティニアス様に会った事無いし、会っても神々しさとかを表現する自信ないもの!」
え?あぁ…神々しさですか?何処に落として来たんだろうあの駄女神は…そういうオプションは俺に作らしても付きませんよ?えぇ、別料金発生しても付きませんとも…神々しさのある像って何だろう…そんな風に像をみて感じた事ないんだが…。
「…うん、無理だな諦めよう。俺にそんな技術はないし、ビクティニアスの顔も何となくうろ覚えだし。美人に作れって言われても資料すらないし…。」
「なんで神様と会ってその姿を忘れれるのよ!?っていうか美人に作れって…美人なん…だよね?」
そこは疑っちゃうのね…ビクティニアスがいくら駄女神でも泣くぞ?
「あぁ、美人だよ。ちょっと小柄の可愛らしい感じの美人さんかな。」
「おお!やっぱり美人なのね!」
ピコン!と急に脳内に変な音がしてメニューが勝手に開かれた。
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『新着のメッセージがあります』
『ビクティニアスよ。像作りの為に参考資料を送っておきます。これらの画像はメニュー画面から選択し見れるようにしておくので素敵な像を仕上げて下さい。ついでに妹のアイラセフィラも像を作って欲しいらしいので一緒によろしく。』
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「あの馬鹿女神が…仕事を増やすなぁぁあぁぁぁっ!」
「馬鹿とは何よ!不敬よ!女神ってビクティニアス様の事よね?…ホントにどんな関係なのよ!?」
くそっ、思わず叫んでしまった。
「そのビクティニアスからまた神託?がありました。アイラセフィラ像も一緒に作ってくれとの事です。………次に機会があったら絶対ヘラ様にチクってやる…。」
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『新着のメッセージがあります』
『ちょっとヘラ様には内緒にしてよ!っていうか内緒よ?言わないわよね?………っていうか言わないで下さい。』
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「何回メッセージ送ってくるんだよ…何度もこんなメッセージ送るくらいなら来れば良いのに…ったく、しょうがないな…帰ったら頑張って像作りやるかな。…ちっ…ホント面倒せぇな…。」
「だから…神様だから!…って神様だよね?神様ってそんな感じだったっけ?」
「何アデリナは1人でパニックになってんだ?」
「いや、神託ってそういう感じなんだって思って…。」
なんか誤魔化したな…。
「確かにそうだよな…こんな安い神託は前代未聞だろうな。」
「神託に安い言うな!」
仕方ないじゃないか!これ以上ない安い神託なんだもん…しかし材料からクオリティから色々考えると本気で面倒な仕事になりそうだな…これはスキル先生に全力で頑張って貰おう。無理なら諦めよう…像じゃあご飯にならないのだから。