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虫の恐怖2

思ったより蟻の視力はよくないらしく見えている物よりも確実にする匂いを追いかける習性があるみたいで数匹はこちらに反応するが蟻たちは俺たちがいた場所へと向かっていく。

蟻の行列から150mくらい離れた場所をなぞるように走り抜けていくと途中に何かの集団が蟻に襲われておりちょっとした蟻の山となっている。


「今のは…?」


「ちょっと見えた姿からみると多分コボルトの群れね…酷いわね…あれだけの数になると普通はあんな風に生きたまま餌になるのね。」


「野生の生き物ってのはそんなものだよ…むしろ人の生き方が自然から少し離れて来ているのさ。弱ければ死に強きモノの糧となる。」


人も自然の一部とも言えるが地球にいた時の知識や経験を鑑みると自然とは少しズレてきているのではないかと思わざるを得ない。


「急ぐぞ!あまり蟻が増えると面倒だ…早く巣の方を処理してしまおう。」


蟻と最初に遭遇した場所に戻ると巣からは粗方の戦力が出尽くしたのか列はまばらになり巣の方から蟻の姿は殆どなかった。


「くそっ!残った蟻の素材はこりゃ駄目だな…何かが荒らしている…。」


「素材じゃないでしょ!まずは巣の方を何とかするんでしょ!」


「分かった…取り敢えず気をつけながら移動しよう…この蟻の死骸を食い荒らした何かがいるかも知れないからな。」


「分かったわ。マサルも気を付けて頂戴…わたし1人になったらどうにもならないからね。」


アデリナを背から下ろし蟻たちの足跡を辿りながら巣穴を探していくと思ったより近くに1つの穴の前へとたどり着いた…切り立った岩場の隙間には80cm程の大きさの深い横穴があいていてそこに足跡は続いていた。


「取り敢えず火計だな…この穴の入り口で火を焚いて熱と煙で焼き殺してみるか。」


「そんなんで大丈夫なの?少しくらいの火であの大きさの蟻たちがどうにかなる訳?」


「虫は意外と生命力強いかと思いきや繊細な生き物でね。毒とかに弱いんだよ…この場合に毒っていうのは煙の中の有害なものだね。それに虫だって呼吸しているんだ、酸素がないと生きていけないって訳さ。」


「酸素?よく分からないけど勝算はあるって事ね。」


アイテムボックスの中から傷みの多い蟻の死骸やゴブリンライダーに破壊された丸太やその破片、汚い木箱やヤニが多くて薪に使えなかった木の枝などをどんどん出していき適度に空気が入る隙間を残しつつ入り口に詰め込んでいく。


「アデリナはこの松明用の樹液をまいてから火をつけてくれ。俺は少し周りをみてくる。」


「すぐにやるわ…中から何かが出てきたらと思うとぞっとするもん…。」


「40秒で支度しな!」


「………?そんなにかからないわよ?」


言って見たかっただけです…別に空賊になる訳じゃないよ?彼も言ってただろ「○ーラだって分かってくれるさ見かけより良い人だもん」ってね。…なんのこっちゃ。


「火はついたわよ…にしても凄い煙ね…身体に悪そう…。」


「きっと虫タイプに毒は効果は抜群だ!」


あのゲームだと違ったっけ?気にしても仕方ないが。


「これからどうするの?中からは蟻は出てくる様子もないし、ずっとここにいたらさっきの蟻の行列が戻ってくるわよ?」


「そうだな…巣穴の中の蟻は多分他に出口がなければ煙で死んでいるか、動けなくなっているかしているだろうね。生きているのも時間の問題さ。」


「さっきの蟻の行列は離散してしまうと面倒だしな…あと一当てくらいやって数を減らそう…流石に放置するのは危ないしな。まずはさっきの場所に戻ってメイスが残ってないか探してみようか。」


「そうだった!メイス拾えるなら拾っておかないと!」


そうして戻ってみると俺たちは凄い光景を見る事になる…。


「何あれ…?」


「うわぁ…エグいわぁ…流石にあれは無いな…。」


そこで繰り広げられていたのは戻ってきていた蟻の行列を襲う巨大なミミズ達…数十匹のワームと呼ばれる魔物だった。身体の太さが30〜40cmもありその先端には大きく開いた口があり中にびっしりとギザギザの歯が生えていて蟻に食らい付いては砕いていく。


「あれはワームね…人を襲う事はない安全な魔物だけど蟻とかを食べたりするのね。…ホントに気持ち悪い…。」


「なるほどな…この辺りの自然が豊かなのはたくさん増える蟻とそれを食べるワーム…そしてその糞は大地を豊かにして植物を育てるって訳だ。」


「ワームが大地を育てるの?」


「あぁ、多分ね…ミミズはそういう生態をしているはずなんだけど…あいつの通った穴はどうやってるんだ?出たり入ったりしてるクセに地面に穴が出来てないぞ?」


「あぁ、ワームっていうのは土魔法が得意なのよ。進む場所と進んだ場所に干渉して自分の通る場所を動かしながら地面を移動するんだよ。」


出たよ魔法!自分の使う治癒魔法以外で始めて見る魔法がミミズの移動だなんて何ていうか夢がない話だ。


「ちょっとアデリナはそこの大きな岩の上にいてくれ、武器はほらこのメイスを使いな。」


アイテムボックスから先ほどアデリナが使っていたのと同型の量産品のメイスを出して渡す。もちろんポータリィムからパクってきた物だ。


「危なくなったら大きな声を上げるんだぞ!」


「マサルは何する気なのよ…まさか…。」


「ワームと一緒に蟻の殲滅かな…多分ワームの餌やりになると思うけど少しくらいはこっちも回収してくるさ。メイスもあったら回収してくるね。」


「言っても仕方ないんでしょ?気を付けていってらっしゃい。」


「いってきま〜す♪」


手にはモーニングスターを携え意気揚々と蟻とワームの蠢く渦に飛び込んでいく。


「うりゃあぁぁぁあぁぁぁぁっ!!」


蟻を数匹纏めて薙ぎはらいワームの加勢を始めるのだった。途中から何だかモグラ叩きをしている気分になり蟻の死骸の回収をすっかり忘れて蟻の撃滅へとのめり込んでいくのであった。

気がつくとワームはお腹いっぱいになったのか姿を消しており動いているのはマサルを除いては脚をピクピクさせている数匹の蟻だけとなっていた。


「うわぁ…全滅させちゃったの?あんだけいた蟻の大軍を…。」


「みたいだね…動いているのもいるけど脚が動いているだけみたいだね。一応、素材になるかも知れないから回収するから気をつけながら少しずつ死骸を集めるの手伝ってね。」


「うげぇ…これ全部集めるのかぁ…。かなりバラバラだし使えるとこ少ないわよ?」


「綺麗なのだけ集めれば良いよ。欲しいところだけ解体してスライムのいる崖の下に余分なところは捨てよう。残った蟻もまたワームや他の魔物なんかが食べるだろ?…おっ、メイスあったよ〜。」


「こっちは蟻にやられたワームの死骸もあるわよ。」


こうして素材として死骸を集め終わると日が傾いており、朝から食事も食べずに戦っていたのに食欲は沸かずやっと休んだにも関わらず二人して夢にまで蟻の死骸集めをするのだった。

虫が群れている画って取り敢えずなんとも言えない恐怖を感じますよね。

虫の死骸にたかる蟻をみて子供の頃に恐怖を感じたのを覚えています…生々しい命のやり取りって人じゃなくても怖いですよね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] > 出たよ魔法!自分の使う治癒魔法以外で始めて見る魔法がミミズの移動だなんて何ていうか夢がない話だ。  初めて見る
2022/03/09 12:52 退会済み
管理
[一言] 虫同士の殺し合いを魔王RPしながら眺めていた小学生の俺氏ってば・・・ しかし、自分で掘った穴を自分で埋めて帰るワーム君は賢いなぁ
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