【side story】ジータ少年の想い
にいちゃんが帰ってきたのは半月くらい前、獣人の仲間のみんなを一緒に連れて帰って来たんだ。
死んだお父さんの友達のおじさんや同い年のリリとルルのお父さんも帰ってきた。
みんな凄く喜んでその日は抱き締めあったりにいちゃんが街から持ってきたお酒を大人達が飲んだりしてた。獣人の大人たちはあんまりお酒を飲んだ事がなくて最初は嬉しそうに喜んでたんだけど少ししたら突然泣き出したり、吐きだしたり、最後には怒りだしたおじさん達が殴りあったりし始めた。お母さんや女の人たちが暴れるおじさん達を殴って眠らせて何とか落ち着いたけど凄く怖くて大変だったんだ。
にいちゃんは「酒は飲んでも良いけどあんな風に飲まれたらダメだぞ」とか「分かるだろ、最終的には男より女の方が強くて怖いんだぞ」と教えてくれた。倒れて白目になってるおじさんたちを見てオレは絶対にこんな大人にはならないと心から誓ったんだ。酔ったおじさんたちに怒った大人の女の人達の夢を見てあまりの怖さにおねしょをしてしまったのはにいちゃんとオレの内緒だ。
みんなが帰って来てからは大人たちはみんな大きな街を作るって言い出した。これもにいちゃんが最初に言い出したんだ。なんだか難しい話を大人たちが話し合って決めるんだ「だいひょーかいぎ」とかいう話し合いで長と1番の狩人のハイトさんが兎人族から選ばれたんだ。
「狩りは必ず同じ種族で集まって行くのではなく、出来るだ種族がバラバラになる様にチームを組んで行ってくれ!ちゃんとお互いの意見を聞きながら自分に出来ないものを持っている他の種族の仲間の能力や特性を体験して欲しい!」
そう言ったにいちゃんに最初は狩りにいく大人たちは反対したけど「1度は試してみて下さい」と にいちゃんがお願いすると仕方ないなって言いながら狩りに出掛けたんだ。
その日から大人たちは凄くたくさんの獲物を捕ってきて毎日お肉の入ったスープが飲める様になったんだ。にいちゃんが骨を煮込みだした時はみんな気持ち悪そうにしてたけど骨を煮て作ったスープは今迄食べた事ないくらい絶品だった。
にいちゃんは凄い!色んな事を知っていて何でも出来て凄く強いんだ!2年前の戦争で戦士たちが頑張っても全然歯が立たなかった人族の騎士たちと戦ってきたらしい。
にいちゃんが本気で武器を振るえば普通の騎士じゃあ逃げ出すくらいで、1番強い騎士の人にも引き分けたらしいんだ。オレも早くにいちゃんみたいに強くなりたい…お母さんと妹を守れるお父さんやにいちゃんみたいに立派な戦士にきっとなるんだ!
…妹のメイもあの時の怒ったお母さんみたいに凄く怖くなるのかな?優しい今のメイがオレは大好きなんだけどなぁ…。