帰還報告会
『『『『『ただいまぁ〜〜〜っ!』』』』』
声を揃えたその言葉に兎人族の集落は一斉にパニックの坩堝と化したのは置いといて…えっ?語らない方が良い事だってある…感動の再開?えぇ…ありましたよ?
「で、いったい何があったんですかの?」
集落の騒ぎが落ち着いた頃、マサルとアデリナに解放された各種族のリーダー達は兎人族の長の所に挨拶へと向かっていた。
「まぁ、色々ご縁と機会が重なりまして今回こちらの獣人の皆さんは人族から解放され、この兎人族の集落の皆さんと合同で街作りをしていけないかなと思いまして。」
マサルの回答に納得出来ない事だらけの長は暫く考えて1つずつ疑問を解消する事にする。
「色々というのは具体的に言えば何が起きたのですかな?」
「それは本人はあまり意識していない様なので私から説明しましょう。まずは私達を受け入れて下さり感謝致します長。私は人族の騎士団の街ポータリィムの指導者の姪のアデリナと申します。」
ほぅ?と片方の眉を上げ興味深そうにアデリナを見る長、
「先日このマサルはポータリィムの街に突如として現れ皆様が住まわれていた土地を国に任されていた私の叔父で、沿岸地区の責任者及び騎士団司令をしておりますランスロットに交渉を行い。我々人族の愚行を説き、生活環境の向上を補助する事を対価に獣人の皆様の解放を訴えました。」
「愚行ですかな?」
「皆様の住む土地を国に命じられたとはいえ戦いを行った事に、何処に正統性や正義があるのかと説かれ、そのうえ罪の無き人々を拘束したり労働力とするのは愚かな行為だと諭されました。」
「それで?」
「ウチの脳筋の叔父は元々今回のやり方が気にいらなかった事もあり、条件付きで解放を約束したのです。」
「それが生活環境の向上か?そんな事は簡単に出来きまい…それはこの2年集落を1から作ってきた我々が1番よく知っておる。」
「それを数日…いえ、翌日から成したのがマサルなのです。聞けば簡単に思える事ながら理論的に納得出来る指標を出し疑問点があれば即座に答え、きっとポータリィムはこれから少しずつ発展し大きくなります。それは国や叔父ではなく彼の助言や発案によるものがとても多いでしょう。」
「それはまた戦いの種を生むのではないかな?余裕があれば戦いを行うのが人族だろう?」
その言葉にアデリナは否定も肯定も出来ず苦々しい顔をして言葉が詰まってしまった。
「その事なら当面は心配要らないと思うよ。ランスロットは沿岸地区を王に治める様に言われた時、生涯を沿岸地区の発展と守護に尽力すると直接王の前で宣言したらしいから何か言われたらそれを盾に取りこの地を守護する事に専念するってさ。…この獣人の集落が発展して街になれば取引相手になるし街の利益にも繋がると他所から手を出させたりしないとの事だ。」
「それが本当なら良いのだけどな…彼等が動かずとも他の人族が戦いに来るのではないのか?」
「そういう事になれば自分達の生活や安全を脅かす敵として彼等も一緒に戦ってくれるそうだ。」
その言葉には長だけではなく、アデリナや他の獣人達も驚きざわめきだす。あれ?言ってなかったっけ?
「という感じで彼等を解放して貰ったんだけど、早急に食料事情と安全確保に防衛壁の設置や街の場所や規模の検討などを行いたい。」
「確かにこの人数を受け入れ共に暮らすのであれば必要になるの。具体的な案はこれから皆と相談して1つ1つ積み重ねていくしかないが当面の食料につ…。」
「あっ、小麦粉と魚の干物なんかならそれなりに集めて来たし開拓に必要な道具も幾らか都合してきた。あと大体の形なら既に考えてあるんだ…ポータリィムにいた時に少しずつ羊皮紙に書き出しておいたんだよ。足りない物を付け足ししながら街を造ると後で不都合が出やすいからね。」
「叔父に聞かせてやりたいわ…。」
次々と出てくるアイディアにポカーンと口を開けて説明を聞いていくのであった。
体調悪くて寝てたんですが更新してないの思い出して慌てて書いたので短めです(-_-;)