対戦
50000PV、5000ユニーク突破感謝なのです!
次の日からはポータリィムを獣人達を連れて出る為の準備に追われていた。犬人族17名、兎人族7名、狼人族28名、狐人族11名、熊人族8名、猫人族9名、羊人族4名、蜥蜴族9名の計93名の大所帯なのである。
ポンプやシャベルを量産し、様々な生活環境の改善案などを草案として書類化したりして荷車や小麦粉などの食料、集落までに必要な水等を確保を進めると同時にこっそり端材などで作った木箱等をアイテムボックスに溜め込んでいく。最初の目的だった海水を入れる為の幾つか盗賊から入手したお金で水瓶も幾つか買う事が出来た。
街から少し離れた所に貝殻が大量に捨てられていた時には小躍りしたくなるくらいに喜び、水瓶で何度も海から海水を汲み纏めて適当に洗ってからアイテムボックスへと入れた。
慌ただしく準備をすること3日。ついに明日の朝にはポータリィムを出る事になった。騎士団の皆は簡易ではあるが送迎会を開いてくれ大いに盛り上がった。
「おい、マサル!決闘ではみれなかった実力を見せて貰おう!」
と指令が吠えるとその場の盛り上がりは最高潮となり、マサルとランスロットの一騎打ちが実現したのだった。
「この剣は実に良いぞ!」
と振り回すそれはマサルが司令専用に作った大型の大剣で、鉄とクロムから作り出したステンレスとミスリル、青鉱石と呼ばれる水属性の魔力を帯びる謎鉱石を混ぜて作った合金で作られたそれは大きさの割には軽く、少し青みかかった銀に輝くそれは硬く錆びにくい他にはない一品である。軽いといってもその重量は25kgを超える超重量級で刀身はランスロット身長と同じ190cmにも及ぶ。
「…モン○ターハンターか何かみたいだな…。自分で作ったんだけど、ファンタジー過ぎるだろ…。」
大剣を振り回すランスロットを見て現実での大剣の迫力に少し戦慄を覚えつつ、自分は鍛冶場から一本の棍を持ってくる。ステンレスとミスリルまではランスロットの大剣と同じだがこちらの棍には朱鉱石と呼ばれる火の属性のこもった鉱石が混ぜられている。直径35mm長さ2mのそれは重さこそ大剣には遠く及ばないものの十分な存在感があり武器としては破格のものとなる。
「さぁ、始めましょうか。始めてこの棍を使うので手加減よろしくです。」
「手加減か…考えておくよ。…しゃあっ!」
いきなり上段から斬り降ろしが降ってきて慌てて回避するマサル。地面へと叩きつけた剣を斬り返しす為の僅な隙に距離をとり息を整える。
「ちょっと!開始とか何か合図して始めて下さいよっ!」
「…ふぅ、はぁあぁぁっ!」
言葉など無用と言わんばかりに獣の様な瞳で斬りかかってくる司令に距離を取りつつ回避に専念し反撃の機会を待つ。たまに棍を突き出しながら距離を保ち回避を続ける事20分…重い大剣を振り回し続けた司令は肩で息をしながら汗だくでマサルを追い回し続けていた。
「…くそっ…逃げるなっ…どりゃあ!…くっ…。」
体質的にも疲れづらいマサルは息も乱さず回避を続ける。打ち込み決着をつけるチャンスは何度もあったが武器での加減が分からず怪我をさせる危険を怖れて深く攻撃が出来ないでいた。元々の決闘も盾の上から適度に殴り付けたりして戦意を削るつもりだったし、何より日本で生活していた経験から知り合いで悪人でも何でもない相手に大きな傷を与える事は恐怖以外のなにものでもなかったのだ。
「このっ、オレをっ…おちょくってるのか!」
大剣を振りながらマサルを睨めつけるランスロットはその目を見て、自分以上に必死で何かと戦うその姿に立ち尽くす事になる。その心と身体のアンバランスさに危うさを強く感じたランスロットはただ言葉が見付からないのであった。
「…このあたりにしておこう…これ以上は怪我をする。」
双方ともに悲痛な表情で終わったその戦いに酒がはいり盛り上がっていた騎士たちも何も言えず立ち去り姿が見えなくなっていく2人を見続けていた。
大剣の重さですが、鉄で厚さ12mmで2m×幅13cmくらいで考えて25kgくらいになるので装飾やら色々して、ミスリルは色々な作品で軽いと表現される事も多いけど無茶苦茶軽いと武器に使えないので装飾等と打ち消しあってだいたい鉄と同じくらいの比重としました。