表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/272

議会場にて1

20000PV突破です皆様本当にありがとうございます!

翌日、俺は騎士団の下へと呼ばれるのかと思いきや議会場と呼ばれる場所へと足を運ぶ事となった。

移動の最中に街中を改めて見てみるとまず臭い…汚物が所々に見えゴミも街中によく捨てられている。これがスタンダードな街のある形なら俺はきっと街へは住めないだろう。

次に気になったのは貧しく仕事を持ってないであろう人がそこそこにいる。なぜそれが見ただけで分かるのか?それは明らかに家の前で座り込んで物乞いをしてる大人の男が目立つのだ。

少し先に行くと木材を組んだだけの家ばかりだったのに煉瓦の家や石材の家が並ぶ地区へと風景が変わっていく。どうやら富裕層の地区と貧困層の地区は完全に住み分けがされているらしい。そこまで考えたところで前を歩く騎士エルダムから声をかけられた。


「今見えている正面の建物が議会場だ。貴族の話し合いや街の運営に関する事、戦時には緊急指令本部となる事もある。本来なら別々に建物を用意すべきなんだがな見ての通りこの街はまだ貧しい。戦時を見越しての貯蓄なども必要だからとなかなか上は予算を組む事を良しとせんのだ。」


「上というのは?騎士団を含む軍部の上ですか?それとも街の有力者という意味の上ですか?」


「両方だ。街の運営は現在この騎士団の指令が兼任している。この街の貴族のトップも指令とは派閥が違うのだが騎士団に所属している。」


「それで街がこの有り様って訳ですか。なるほど、これなら獣人の解放も何とかなるかもしれないですね。」


その呟きに何をやらかす気だとあからさまに不安そうな顔をするエルダム。


「こちらは司令の命により案内してきた客人だ。至急ご確認を!」


議会場の前に立つ二人の衛士に声をかけると一人は急ぎ中へと確認に走る。暫くすると文官らしき1人の男を連れ先ほどの衛士が戻る。


「お待たせしました。わたくしゴドルダと申します。本日はわざわざ…」


「挨拶はいいから、本題へ。」


挨拶らしい挨拶も終わる前に話をぶった切って先を促すエルダムにゴドルダは怨めしそうな顔を一瞬見せたが次の瞬間には何事もなかったかの様に話し出す。


「それではマサル様でしたか?ご本人を確認させて頂く為ギルドカードのご提示をお願いします。………はい、これで結構です。では扉を入った所で武器を預けて1番会議室へと足をお運び下さい。」


「あやつは話始めると長いのだ…。」


仕方ないよ、それもお仕事だもん。良し悪しは置いといてなんて思いながらエルダムが開けてくれた扉をくぐると、外からは完全に石造りの建物だったのだが中は要所のみを石材で造り後は木造だった。床もよく磨かれワックスみたいな物が塗られているが板張りであまり土足に向いている様には見えない。


「こちらで武器をお預け下さい。」


という声に我に返り。腰に下げていた剣を剣帯ごと外し渡す。簡単なボディチェックの後この先へ進む事を許された。


「えっと1番会議室だったよね?」


「そうだ、突き当たりの1番大きな扉が1番会議室だ。」


扉を開け入室するとU字型の大きなテーブルに左右4人が座り、奥にもう1つ重厚な机が頓挫していてそこの真ん中にガタイの良い男が1人座り、その後ろには羊皮紙の束を脇に抱え立っていた。


「君がマサルかね?わたしがこの街の代表と騎士団を束ねているランスロットだ。話は聞いた獣人の解放を望んでいるのだとか?詳しい話を聞こうじゃないか、座りたまえ。」


「どうも、こらちらも要件を聞きますよっと。」


軽口を叩きながら勧められた席に座る。


「要件?君じゃないのか、要件があるのは。」


「なんだと?言ってる意味が分からないが…。」


「意気揚々と侵略したのは良いけど人が養えるだけの資産も技術も無いんだろ?身の丈に合わない戦いや開発なんてするもんじゃねぇな。」


「貴様っ!!」


あれ?横の自己紹介もされてない人がキレた。まぁ、別に誰がキレても良いんだけどね。


「ガキみたいにすぐキレるな。お前誰か知らねぇが代表なんだろ?そんなんで交渉出来んの?」


「っ!!いい加減にしろ!無礼も大概にせんと命を…」


「アドルフ!!…すまない。少しヤツは堪え性が足りないらしいな…君も少し挑発は抑えたまえ。」


思ったよりは冷静らしい。トップが冷静という事は交渉はあんまり楽にはいかないのかな?


「オッケー。じゃあ交渉に戻ろう…で、そちらは何を求めているんだ?」


「余計な交渉は要らないようだな。君は何が出来る?君が言うように我々には様々な形で困っている事がある。幾つかのスキル持ちらしいね、良ければ騎士団に来ないか?」


「それは断る!つまらなそうだしな。」


「貴様っ!名誉ある騎士団の勧誘を…」


またアドルフ君か…少し黙らさないと話にならんな。


「黙れアドルフ!!君は少しは学習しないのかね?それとも何かい?名誉ある騎士団とやらが何もしていない獣人達の住む地を侵略し、一方的に戦いをしかけ奴隷にしたんだな?答えてくれ…アドルフ。君のいう名誉や誇りってのはどこにある?」


「あんな獣ごとっきっぶぐゃっ!?」


アドルフは隣に座っていた厳ついオッサンに裏拳で殴られそのまま気を失った。


「失礼、静かにさせて貰った続きを続けたまえ。」


「貴方は?」


「沿岸騎士団大隊長のハモンドだ。気にするな私は立ち会いだ。」


と言われても横槍の入りすぎで何の話してたっけ?と悩んでいると。


「騎士団入りはクックの言った通り断るか。では君は馬車の改良が出来ると聞いたが?それは本当かね?」


「資材と設備次第では可能です。人が乗れるくらいにはしてみせますよ。」


「人がか…そういえば君はあの馬車が苦手だと聞いたな。他には?」


「あとは知識でいかがですかね?街の死亡を低くし食料事情を少しマシにします。後は街で燻っている男達の職を造り生産力と生活事情の向上を図ります。」


実のところ、多少の現代知識があればそれは難しくない。問題はどの程度すれば達成になるのか?という事だ。やろうと思えば何処までも続くのが改善なのだ。


「そんな事が本当に可能なのか?」


「で、どれ程で彼らを解放して頂けるのでしょうか?」


「1番早く成果が出るのは?」


「衛生状況を改善して死亡率を下げる事ですかね。次が馬車の改善でしょうか?すぐにある程度の成果を出してみせましょう。」


その言葉にランスロットはニヤリと笑みを見せる。


「では、衛生だったかな?それと馬車の改良が終わると同時に彼ら獣人達の身柄を君に渡そうではないか。残りに関しては指示書でも作ってくれたら良い。残りは時間がかかるであろう?」


思ってもいなかった寛大な処置にすぐに言葉が出ないマサルだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] > 「どうも、こらちらも要件を聞きますよっと。」 軽口を叩きながら勧められた席に座る。 「要件?君じゃないのか、要件があるのは。」  要件は効果を生じさせるための条件。  人への用事…
2022/03/08 17:22 退会済み
管理
[気になる点] 「頓挫」→ 「鎮座」 ではないでしょうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ