盗賊のアジト
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鳴海 優(20歳)
職業《転移者》
称号《無類の生産好き》《スキル収集家》《賭けの景品》《転移者》
レベル 6→9
生命力 175→186
魔力 231→243
力 119→121
体力 90→93
精神 80→82
素早さ 94→96
運 42
スキル《剣術2》《体術2》《治癒魔法1》《鑑定3》《解体2》《採掘3》《伐採1》《農業3》《鍛冶2》《石工4》《木工4》《革細工3》《調合3》《土木2》《建築1》《算術3》《美術3》《歌唱2》《言語翻訳》《収納空間》《地図》
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オオトカゲと盗賊でレベル上がってんるなとステータスをぼんやり見ていると盗賊の男が目を覚ました。蹴った時に歯が折れていたらしく血まみれの口から血液と数本の歯がこぼれ落ちる。
「た…頼む!殺さないでくれ!」
「君達の寝蔵に案内しろ。変な真似をすると殺す。具体的には俺に危害を加えようとする、偽の情報を言ったり、勝手に走ったり逃げようとした場合だ。さっきの仲間みたいに綺麗に死ねると思うなよ?」
用意しておいた脅し文句で釘をさすと首が取れそうな程に縦に振る。血が飛び散ってとても汚い。そう言えば治癒魔法が使えるんだっけと思い出し手のひらを盗賊に向けると恐怖で顔をひきつらせる。
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《治癒魔法1》
回復が可能な魔法スキル。傷をいくらか治す事が出来る【ヒール】と簡単な解毒が出来る【アンチドート】が可能。
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「動くなよ…【ヒール】!これで幾らかマシだろ?」
「傷が治っ…治癒魔法?」
「良いから立て、そして案内しろ。」
簡潔に命令し、足の縄をほどいてやる。
「腕の縄もほどいてくれないか…どうせアンタには敵わねぇ。馬鹿な事はしねぇよ。」
「断る。交渉の余地は無いな。嫌ならここで死ぬか?」
もうどちらが悪人か分かったもんじゃないなと内心苦笑しながら警戒しながら男と周囲を見張る。
「早く立て。死にたいなら早くそう言えよ?斬り殺して彼らの様に燃やしてさっさと目的地に向かうからな。」
男は膝立ちになると遺体を燃やした穴を見て慌てて立ち上がる。
「…こっちだ。」
「余計な事をするなよ?遠回りしたり他の仲間に見付からない様に移動したりすればどうなるか分かるな?遠回りすれば痛い目を見るし、君の仲間の襲撃があれば君は俺の盾になってもらう。それとも自分の命より大事なものがあるか?」
もうすっかり悪党気分である。昔スーツを着てサングラスをかけていた時にマフィアと俺の事を称した学生時代の悪友は元気だろうか…。もう会う事は無いしな。もう何年も会ってないのに少し寂しい。
30分程歩くと男は足を止め伏せる様に言ってくる。
「向こうに見える廃坑が俺達のアジトだ。見張りがいるだろ?中にはあと何人か仲間がいる…見張りのあいつ含めて7人だな。なぁ、逃がしてくれよ…あいつらに見付かったら俺殺されちまう…。」
「ちょっと待て。中は廃坑だって言ってたな?深さはどれくらいだ?あと何故廃坑になった?」
「中はそんなに深くねぇ、むしろ浅せぇ。ここから廃坑迄よりも中の通路は短けぇ。確か廃坑になったのは思ったより石が採れなかったって言ってたな。」
ここから廃坑迄は200m程。確かに中は短そうだ。
「気を付けないといけない奴はいるか?」
「元冒険者のハナードがいる。お前さんが殺した斧使いの兄貴だ。もう良いだろ?逃がしてくれよ!」
「大きな声を出すな、見張りに見付かるぞ?見付かってヤバいのは俺だけじゃないだろ?」
勿論、ここでタダで逃がしてやるつもりはない。最後の最後に散々怖いめにあって貰おう。
「いいか?これからは改心して貧しくても辛くてもしっかり働いて普通の暮らしを目指すんだ。そうすればこういう怖い思いをしなくていい。」
「ありがとうございます。兄貴…。」
腕の拘束していた縄もほどいてやり深々と頭を下げる男。こらこらまだ終わってませんよ?
「じゃな、しっかり逃げろよ!」
「えっ?」
精一杯息を吸い込み見張りに聞こえる様に大声で叫ぶ!
「てめぇ!何が他に仲間がいねぇだ!ハメやがったな!たたき斬ってやる!」
何だ?と見張りが動き出したのを確認してから小声で言う、
「ほら逃げろ、もたもたしてたら盗賊たちに捕まるぞ?」
顔色を変え走り逃げていく男を見送りながら剣を鞘から抜きゆっくりと坑道へと歩いていく。
少しずつスピードを上げていきながらトップスピードにのった所で見張りの若い男へと到達し相手の胸へと刃を突き刺す。ゴボリと口から血が溢れていくのを横目に力任せに剣を抜き歩きながら廃坑へと潜入する。
見張りの格好を見た時に半ば確信したがやはりここは盗賊の寝蔵に使われているのは間違いない。見張りの男はちぐはぐでサイズも合ってない服を着ていて、見るからに嫌々させられているこの中では一番の若手なので地位が低いであろう事は簡単に見てとれる。若く体格は良いだけあって普段から反抗的なのだろう、見張りなのにろくな武器も持たせて貰ってなかった。ホブゴブリンが使っていた物より貧相な棍棒一つだけだった。
「あれじゃあ見張りの意味が無いな。あと残り6人。」
…語る程の事も起きず制圧出来ました。中では酒を飲みフラフラな男が5人と女が一人。俺の姿を見たら倒れそうになりながらも武器をそれぞれに持ち攻撃しようとしてきたがその全てを斬り伏せた。武具が少々と硬貨がいくらか、あとは空いた木箱や酒樽。坑道だった名残なのだろう、ロープやピッケル数本も貰っていく事にした。盗賊の死体を外に出し火葬すると《採掘3》を試す事にした。
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《採掘3》
採掘の作業に補正。鉱石がありそうな場所が何となく分かる様になる。稀に鉱石の入手量にも補正がかかる。
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「入手量に補正って一個しか埋まってないのに2個出てきたり大きくなったりすんの?ファンタジーだなぁ。」
それから何となく採掘にハマって堀りまくっていると1日が過ぎていました…。最後は坑道内が崩落しかけ慌てて逃走したのでした。
穴堀りっていうのは芸術でと地球が滅亡しかけた有名な映画で隕石に穴を掘りにいったチームのリーダーのあの人が言っていましたが本当に難しい作業なのです。
人が通れる程の穴を掘ろうと思えば常に崩落との危険が付きまといます。穴堀りの歴史はそういう意味で補強作業の歴史とも言えるでしょう。掘っては補強して掘っては補強する…これぞ穴堀りマスターへの道です。皆さんは決して個人の趣味で変な穴を掘ったりしないで下さいませ…掘っても日常会話で墓穴を掘るくらいが丁度良いでしょう。